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おもしれー女とやべー女と変態と①-噂の露出狂さま

自身の名前を、綾とその友人家令小音に明かしたエリザベス(きゅうけつきさん)。彼女達は喫茶で楽しい時を過ごしたのだった。

表情に抑揚が無く、つまり殆ど無表情。そこから感情は伺えない。だが…その顔つきは少女らしく、かわいらしい。


黒く長い髪に日本人らしい真っ黒な眼。


その美しい髪は風になびかれ踊っている。

しかしその立ち姿は、精悍そのもの。


そんな少女は、また月を見ている。


いつも同じ窓からそれを除く。そしてそのたびに、少女はひとり思う。



いつか月だけが突然、消えてはしまわないだろうか?


誰かが持っていってしまうではないだろうか?


かぐや姫が月に連れていかれた様に、突然に。

そんな時、自分はどうするのかなと考えるのだ。


…そして、月は雲に隠れた。

青く、そして黒を足したような雲だった。


***


「上半身裸の……不審者ですか?」

「せや。しかもな、それ。女の人らしいんよ」


小音と与太話を交わす。この教室に人気はない。ベスは森さんと話があるからと、先に帰路についた。ゆえにここは私と小音だけ。


放課後。


私は日直だったので居残りしていて、小音は暇だから、と言って、一緒に残ってくれた。私たち以外誰もいない教室で、小音が会話の花に水をやる。


私はいつもどおりに、会話の受け側。


小音は察しがいい。表情の変化が異様に少ないと良く言われる、私の気持ちをうまく汲み取ってくれる。


私の数少ない友人のひとりだ。

私の出来る限り、大切にしたいと思う。


「初耳です」

「先生の話聞いてなかったん?ホームルームで言っとったで。性別までは言ってなかったけど。ウワサじゃ、おんぼろスカートに薄手のコート一枚、だそうな」


「冬も深いのに、元気ですねえ」


たった今この教室でさえ、ペンを持つ手が震えるくらいなものなのに。その不審者の温度感覚は死んでいるのだろうか?


「上裸で街に出る不審者……一体何を考えてるんでしょうね」

「さあ?けどひとつだけ言えるわ、そんな街に上裸で出る人間の気持ちなんか知りたくもないってことは」

「同感です」


会話の途切れ途切れに、私は日誌にそれらしいことを書き連ねる。

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