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学校帰り買い食いしちゃう病⑨-現代の日本で必要な人材


***


「なあ、きゅうけつきはん」

「何……じゃ?」


小音は、あることをきゅうけつきさん(仮称)に聞く。

とある東京の喫茶店。綾の一番のお気に入りの、柔らかな木のテーブルでの話である。

ひとり綾は席を離れていて、そこにはふたりだけが座っている。


冬も深く、外の日はもう沈みきり、月が登っていた。夜を照らす街の光が窓から入って来る。

老若男女の人々はまだ、その照らされた街道を歩いている。


「嘘ついとるやろ?」

「…………!!??」


きゅうけつきさん(仮称)は不意をつかれた鳩のように驚いた。


「…………な、何のことじゃ……?」

「名前のことや。しかもホントはあだ名が、あるんやろ?」

「……その通り、だが何故………………分かる………………?」


名前を隠していることならまだしも、自分に……あだ名があった。


と、当てられたきゅうけつきさん(仮称)、は目に見えて動揺した。

何故分かったのか、何故当てられたのか。


「勘や」


小音はそう、あっさりと語る。


「…………………………まア……ご名答じゃ。……隠している訳にも……いかないか…………」

「ああ!…私はそれを隠してる理由を追求したいんやないんよ。ただね」


「……ただ?」

「…………綾ちゃんは、いい子や。やから、抱え込む。しかもタチの悪いこと悪いこと、綾ちゃんはそれを自覚してへん」

「………………………………」


「……やから、こんなこと言われても、うっとうしいだけかもしれへんけど」

「あだ名……を、教えてやれ…………と」


「……せや。勿論、強制もせん。けど……綾ちゃん、真剣に悩んどるから」

「………………………………」


きゅうけつきさん(仮称)は、何か。

決意のような。不安のような。そんな感情を、抱いていた。

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