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学校帰り買い食いしちゃう病⑧-注意:彼女は特殊な身体構造をしています


「…………思いつかないですね……あだ名って意外と………………」

「こだわるなあ、綾ちゃん…………」


きゅうけつきさんと小音が会話している裏で、ずうっとあだ名を考えているが、やっぱり思いつかない。

時計は六時を指している。


未だ良いあだ名は浮かんでこなかった。そも、ネーミングセンスに欠ける私には、あだ名を考えることはやっぱり難しい。


「……お前、珈琲のおかわり何杯目?」

「10杯……ですかね?」


「…………そんな珈琲好きなの?」

「……そこそこ、です」


何分ぶりかにきゅうけつきさんと会話をした。



きゅうちゃん、きゅうさん、きゅうすけ、きゅうベ……


「そ、そんなに気を使う必要もないのだぞ?あだ名ひとつに……」

「いや……絶対に良い感じのあだ名を考え……るんです……!」

「ムキになっとらんかお前!?」


コーヒーが苦くて飲めなかったきゅうけつきさん。

ティラミスを小音に分けてあげたきゅうけつきさん。

きゅうけつきさんは、優しい。

森さんに太陽の光を見せてあげられるようにしたきゅうけつきさん。

森さんに気をつかって、自分は野宿生活を続けるつもりだったきゅうけつきさん。


彼女は、優しい。

けれどそれゆえに、そういう人ほど、抱え込む。


「綾ちゃん……」


彼女は学生生活を楽しみにしている。あだ名を持つなんて、学生生活で定番中の定番だろう。


だから……あだ名に立派とか……おかしいかもしれないけれど……

それくらいは、やってあげたい。


………………と思う。のだ。


「ちょっと…………お手洗いに行ってきますね」

「行ってらっしゃい〜」


「………………………………」


私が席を立ち始めたてから手洗いのドアを開けるまで、何故だか、きゅうけつきさんは黙っていた。

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