学校帰り買い食いしちゃう病⑤-ノートに個性は出る
午後五時、放課後。
……振り返れば今日は色々ある一日だった。
学生生活を夢見るきゅうけつきさんがやってきた、ホームルームから……いつもよりも少しだけ、違う一日であったのだ。
私の横で、きゅうけつきさんは授業をしっかりと聞いていた。
勉強好きだというのはホントらしく、それは一日でノート一冊を全て埋めるほどだった。……ただし授業中の内容、会話まで全てを記録していたので、まるで裁判の記録みたくなっていた。
……手がマシンガンのようになっていたし、字はひらがなばかりだった。しかも汚い。
ちなみに本人曰く、授業内容の意味のほぼ全て理解できなかったらしい。本人曰く特に国語。
…………果たしてそのノートに意味はあるのだろうか……?
そして授業の内容丸々を記したと聞いて小音は大笑い。
はや笑い泣きしそうになっていた。
「会話まで写さなくてええんよ?」
「嘘じゃろう!?じゃあ皆はノートに何を書いてるんじゃ!?」
「私はこれを書いてますよ。」
「これはマンガ……?」
「……綾のは参考にしたらあかんで。」
という会話は昼休みのことだったか。その後小音に怒られた。
きゅうけつきさんは購買で菓子パンいくつかを買って、うましうましと食べていた。
「吸血鬼なのに……パン食べるんや」
「わしは食べるな、まあ血を吸うた方がエネルギー効率やらが良いし、そも存在を維持するための魔力を補給するのにはどっちにしろ血は吸わないとならないのだがな。」
「きゅうけつきさんは……私を食べてますよね」
「――――――――!?」
「そうじゃな。ありがたく頂いておるぞ」
「絶対………………なんか言葉選び間違うとるで…………」
「?」
「???」
そこで……確か、昼休みの終わりのベルが鳴った。




