学校帰り買い食いしちゃう病③-絶対痛いやつ
「……良くきけい!わしの名はきゅうけつき!」
ひらがなで『きゅうけつき(本名でない)』と黒板に書いて、きゅうけつきさんはその名を名乗る。ペチンと黒板を叩いて。
「彼女はイギリスからの転校生なの〜だから日本の文化に拙い所があるかもしれないけど〜。仲良くね〜」
本名じゃないんですか―?
目が赤い、それはコンタクトなの―?
なんて質問が飛ぶ。
わしの名を記すには黒板の余白がちと狭過ぎる。
これは全く自前だぞ、吸血鬼じゃからな。
ときゅうけつきさんが返し、ホームルームが進行する。
さて、なんできゅうけつきさんが学校に来ているのだろう。
のじゃじゃのじゃ。といった、のんきな雰囲気で先生の横に立つきゅうけつきさんの目は明るい。
その上興奮して、いまにも跳ねそうな顔をしている。
「あの人、伝説の吸血鬼なん?」
「……そーだよ。頭に残念がつくけど」
「そーなん?……けど伝説っていうのは、たしかにマジっぽい感じはするなあ」
こちらから目線を移し小音は、きゅうけつきさんの方を向く。
「じゃあ〜きゅうけつきさんにはその〜。秋葉原さんの隣に座ってもらおうか〜」
「承知した!しかし学校というのはぶへ――――!」
「きゅうけつきさん!?」
きゅうけつきさんは教壇との段差ですっ転んだ。
「…………確かに、頭に残念がつくお人やなあ」
小音が……そう言った。
 




