学校帰り買い食いしちゃう病①-夜型の朝
から森香登の呪いを解いたきゅうけつきさん(仮称)。
彼女は初日から、随分な働きを見せるのだった。
表情に抑揚が無く、つまり殆ど無表情。そこから感情は伺えない。だが…その顔つきは少女らしく、かわいらしい。
黒く長い髪に日本人らしい真っ黒な眼。
その美しい髪は風になびかれ踊っている。
しかしその立ち姿は、精悍そのもの。
そんな少女は、だらだらと眠っている。
少女のずぼらさのお陰で、一週間洗濯されていない敷物が引かれたベッドの上で。疲れた身体をぐっすりと休ませていた彼女は、その瞼をゆっくりと開く。そして少女は、自分に学校から課せられた其れが残っていたことに気づく。つまるところ宿題である。
寝転がったまま手をわきわきと動かしていた少女は----
日曜の夜のこと。
また怒られちゃうな。
少女はそう思って…また瞼を閉じた。
***
土曜のドタバタズンタカで日曜日はほぼ寝ていた私。
しかしそれでも月曜日はやってくる。
朝、それも月曜日の朝というのは時間が倍くらい早く進んでいるのではなかろうか。
「お……は……よ……」
時刻は午前七時三十分。
歯を磨き顔を洗い、ついでに保湿やらなにやらを済ませて洗面所から立ち去った。
時計の秒針は無慈悲にも進んでいる。
私は、戸を開けて食卓につく。朝ごはんだ。
「相も変わらず朝に弱いわね〜」
朝食作りを終えて、ちゃぶ台で待つ森さんがいる。
彼女は心なしかいくばくか元気に見える。太陽の光を浴びても問題ない身体に変化したからなのだろうか。
「…………………………」
「吸血鬼よりも朝に弱いなんてねえ……寝癖も直ってないし」
「だいじょーぶです…………これはパーマ……ですから……」
「なわけあるかい、直してきなさい」
「はーい………………」
しぶしぶ私は洗面所に向かう。
時刻は七時五十分。
寝癖頑固パーマを直し、学校の鞄を持つ。
「相も変わらず鞄が重いわねえ……まじめに学校生活送るのよ〜」
「それなら私、少なくとも忘れ物はしませんよ」
「…………そりゃー教科書全部鞄に突っ込んでたら忘れないわよ」
……ご尤も。
「お前……案外ずぼらなのじゃなあ。あとお早う」
会話を聞いていた、寝起きのきゅうけつきさんが言った。




