働けきゅうけつきさん⑦-ドア開け日に当たる系吸血鬼
「サプライズ成功…じゃな?」
「……え?本当に?マジ?」
「ふ……驚け慄けそして喜べ!ついでに讃えていますぐに!」
「よかったですね、森さん」
「いやいやほんと!?ーーほんと…なんで?」
「そりゃー……恩返しじゃ。お前には良くしてもらったからの。魔法が健在なのか試したかったしな」
「やったー!!!これでアレとかソレとかができるのかッ……!!!」
予想外な程に森さんは喜んでいる。
……私の見たこともないくらいの勢いで、ガッツポーズをして。
「ありがとうきゅうけつきさん!!ほーんとありがとう!」
「ははは、これでふぇあー、というやつなのじゃろ?」
きゅうけつきさんは胸を張る、その対で森さんは感動に胸を震わせていた。こんな森さん見たことない。
「…………………………あの」
「どしたの?綾。」
「いや………………森さんのことを……気遣えていなかった、と言うか。縛りのことを……気にしていたのに。森さんは……」
「……いいのよ綾。どうしようも無いことでしょう、綾には。私、綾の鈍感さを責めるよりも、縛りが解けたってことを喜びをシェアしたいのだけど?」
ウィンクと手振りをしながら、森さんはそう言う。
森さんは、そう言う人だ。
そして今もそう、それは変わらないのだろう。
変わらないで、いてくれる。
「ーーありがとうございます」
笑うのは苦手だ、だけれど。
私は、できる限り微笑んで。
彼女にはきっとそうすべきだと思った。
だから私は、精一杯の笑顔を返した。
---しかし、その時。
きゅうけつきさんが一瞬だけ暗い顔をしたのは私の気のせいか。
今、のは。
ほんの気のせいかもしれない。
けれど、考えてしまう。
だとしたら、それは何故だろうと。




