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働けきゅうけつきさん⑥-マジマジ


刃が触れて――とは言っても、食器用ナイフなので何も断てはしないだろうが。


「な、何を――?」

「いいから見ておけ。あと香登、少しちこうよれ」

「――?分かったわ」


森さんが彼女の近くに歩み寄ったその瞬間に――少なくとも私は人生の中で一度でさえ見たこともない優しい光が、ふたりを包んだ。紅く、しかし穏やかな光である。


音も無く現れて、そして音も無く消えた。


「――これで、良いかな」

「魔法……ですか?これは」


魔法。


科学に……とうの昔に敗北してしまったそれ。故に現代、日常では少なくとも見ることは無いと云える神秘の一つだ。



……そして、例外がある。


ひとつ、私のように何故だか魔力を宿している人間。

そして人間の姿をした化け物、吸血鬼。


これらは――失われたはずの魔法を使うことが可能らしい。



「いかにも。そしてこれは、()()()()()魔法。この魔法は不思議なことに、使えるのは、吸血鬼の中だと――始祖であるわしだけらしいのだよな。そして今――始祖の特性のほんの一部だけを、香登に分け与えたのだ。」

「……分け与えた?」


森さんが首を傾げている。


「――つまり……お前さん、太陽の下に出られるようになったと言うことじゃ!」

「…………マジで?」


成程。


曰く、始祖の特性を持つ吸血鬼は人間の呪縛を無効にしている。その特性を分け与えーー森さんの呪縛を緩和した。


ふむふむと頷く私の隣で、森さんは事務イスから立ち上がった。

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