きゅうけつきさん⑥-馬力バツ燃費大バツ
「わしの身体は燃費がだいぶ悪くてなあ、今までエネルギーを節約しとったんじゃが……お前に魔力を貯められるだけぜーんぶ回復してもらったんで、調子に乗ったらすぐ切れてしもうた……すまん」
「…………やれやれ、です」
「………………いやあ、すまんが……また血を分けてはくれんか……?」
「………………えー……………………」
きゅうけつきさんは、ねだる。
ねだっている。……私はぶっちゃけ、困っている。
「……………………………………」
「やめてください、うるうるとした目で私を見るのを辞めて下さい」
「……うるうる……してたか?」
「はい。」
即答する私。
そりゃーもうね。
「……………………」
「はい、どうぞ。……全く、手間のかかるお人ですね」
けれど、まあ。
この人にならいいかなと、何故か私は心でそう割り切れていた。
不思議だった、それは自分でも。
「………………あ、今は……学校帰り……」
「…………?どうした?」
「今、血を出すためのナイフを持ってないんです。……消毒液もないし……そうですね、じゃあ、私の家に来て下さい」
「へーえ?……どんなところなんじゃ?」
「吸血鬼殺し本部です」
一瞬怪訝そうな顔をして、きゅうけつきさんは言う。
「…………吸血鬼を招くのか……?」
「構いませんよ、うちのボスも吸血鬼ですから」
「あ、そーなのか」
とりあえず家に帰ることにしよう、雀荘『雀猫』に。
今日はきゅうけつきさんと、ふたりで。




