きゅうけつきさん④-転生していた吸血鬼
「わしは、吸血鬼の始祖なんじゃぞ?そりゃあ縛りなんてもんは効かぬよ」
私が質問すれば、きゅうけつきさんはそう返してくれた。
「――本当に……始祖――なんですねえ、おどろきです」
心のままに私はそう言う。本当に驚いた。
「まあ、この身体は転生体でな。訳あって本体は――封印中なんじゃ。」
「転生体――?」
「わしは……何千年か前、封印された。精神ごと肉体も、じゃ。それでな、なんとか精神の封印は解いたんじゃがな――」
「肉体の封印が解けてないんですよね、だから、新しい身体を――」
「そう、だから新しい身体を作成し、精神を移したのじゃ。新たな身体が何処に出現するかはギヤンブルではあつたがな。極東の――日本。夏は暑さが地獄の国じゃった……イギリスはもっとすっきりする夏じゃて……」
ホームシックなのかどうなのかは良く分からないが、一つ腑に落ちた。
「成る程!だからこんなに弱いんですね」
「ストレイトじゃなあ!オブラアトに包まぬか!………………まあできたてほやほやの身体じゃから蓄積可能な魔力の量も雀の涙程度であるし……使える魔法魔術のたぐいも殆どしょぼくれているし……それに身長も………幼児のように見られるのも仕方がないがな……威厳とかさ、感じないものなのか?皆は」
私はきゅうけつきさんの身体を眺めた。
「改めて見ても……うん、野球で言えば4対7くらいしか無いですね」
「……4点はどっから出てきたのよ?」
「四分の三は私の慈悲です!」
「…………満塁ホームランなら逆転の範囲内じゃし……」
「ポジティヴですね」
私はそう答えた。




