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ヒーロー幻想論  作者: TT
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ここは東映撮影所の一箇所ある人気特撮シリーズの撮影がいま行われている。主演は今売出し中の若手俳優。彼が変身アイテムをかざし変身の台詞を言うとカット。

カメラは切り替わり、次はミニチュアの中で暴れる怪獣(の着ぐるみ)とヒーロー(のスーツ)。ヒーローと怪獣は戦っており、ヒーローが怪獣を叩き伏せるとカット。

画面は切り替わり、次は合成の段階。ヒーローが持っている武器から光が発生し、怪獣を一刀両断する。

 これが人気特撮シリーズのルーティンである。ディレクターS氏はご満悦。視聴率も良く、玩具も売れている、人気シリーズの名に恥じない売れっぷりだった。

「俺はテレビの中に幻想を映し出している、そしてそれはその中では本物だ」

 これが彼の口癖だった。彼は幻想と現実に拘っており、それは虚構を特撮という手段で現実にしてみせることが出来るという理由から、この人気特撮シリーズを手掛けるこの会社に入社したのだという。

彼は幼いころから空想癖のある子どもだった。無論子供はみなそうであるというのはそうだ。だが彼の場合成長してもそれは収まらなかった。辛い現実から逃げる為、虚構に傾倒していった。

学校、家、それらの現実は彼に辛すぎて、生きづらすぎた。故に逃避先としてフィクションが選ばれた。アニメ、漫画、特撮、中でも現実の中で虚構が存在しうる特撮に彼は興味を惹かれた。

『これなら現実から逃げる為だけじゃなく……現実を虚構で上書き出来るかもしれない‥…』

そのころから彼の夢は特撮を手掛けることに変わっていった。現実に対する挑戦、反逆である。現実はいつも彼を苦しめてきた、だが今日からは違う、反撃するのだ、現実を虚構で書き換えるのだ。

その夢がある意味実ったのが今の仕事である特撮番組のディレクターという立場だった。


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