アニメブログ
やはり、何をどう頑張ってみても比企谷八幡には勝てない、というのが数多のアニメ化ラノベを観てきた感想である。どうやってあれに勝つんだ、という疑問が尽きない、というかどうしようもない。
結局のところ、あの本に救われたラノベ作家が多過ぎるんだろう。ラノベでラブコメをやろうと考えた時、どうしても読者層を考えるとあの方面に偏って行ってしまうのは仕方のないことだ。そして、第二、第三の「俺ガイル」を名乗るには、あの看板は重過ぎるのだ。そう、全ては彼が悪い。
ということにしておく。
だって書けるわけねぇ、そして勝てるわけがないのだ。圧倒的な文才というものに押し潰されてしまう。
言いたいことは彼が全部言ってくれるし、書きたいことは全部あの本に書いてあるのだ。
で、あるならば。俺が筆をとる理由は、キーボードと画面を睨めっこする理由なんてのはどこにもないじゃないか。
そうか、そういうことか。
あはははははは
「ナニ夢見事抜かしとんじゃボケェ!」
後頭部に鋭い刺激。結構、いやかなり痛い。
ハリセンというものは現実に存在するらしい。漫画の中だけだと思ってた。というか、最近の漫画には登場すらしない気がする。ギャグ漫画はあんま読まないからわかんないけど。
ああでもガキつか?だっけ?紅白と肩を並べるお笑い番組に出てきてたような気もしなくもない。そっちもほぼ見たことないから妄想で喋っていますが。
こんにちは、こう見えて、ジャンプよりマガジン派です。
「それどこで買ってきたんですか?トライアル?ドンキ?経費で落ちるんですか?」
「モチ。執筆関係費、で領収書出してもらったもんな」
かわいそう、ワケのわからない領収書を書かされた店員さん。尻が激しく痛む俺の次の次くらいに同情して挙げようじゃないか。南無三。
「で、今日は何しに来たんですか?まだ締め切り先でしょ?」
「は?お前が私の監視下じゃない状況で書いたことあるか?」
「いや、今もこうして書いてたじゃないですか。」
「お前が今書いてたのは原稿じゃなくてイタイ個人ブログだろ、しかも高評価より低評価が多い類の。」
「おお、少しはこの業界のことがわかってきたんですね〇〇さん。やっぱり、俺が育てただけあるなぁ。でもね鴨茂さん、低評価が多いのは当然の結果なんですよ。」
「なぜなら、ここは、傷の舐め合い場だから」
天高く両手を広げた俺の熱演は、始まるか否かのところで再びハリセンの中断を受けた。
「ほら、さっさと書く。こっちも年末進行で色々と忙しいんだから。」
「あ、彼氏とデートとかですか?全然そっち行って大丈夫ですよ。」
「お前は、私が、独り身なのを知って、わざと言っているな?」
「いやぁそんなわけないじゃないですか」
鴨茂さんが再びハリセンを握るのをみて、「婚活も婚期も僕には知ったこっちゃないですよ」という言葉をグッと飲み込む。
「で、進捗は?」
「0パーセントです!」
新規フォルダ、と書かれた真っ白なWord画面を見せる。
暖房の効いた室内に、無情なハリセンの音が響き渡った。