表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

生きる意味について

作者: きゅうび

初めから、生きる意味なんて与えられていないし、存在なんてしていないと分かった。


ずっと、生きる意味を探し続けていた。私たちに与えられた使命は何だろうか。私にしか出来ないことは何か。私の存在意義は何か。探していた。


ずっと、「心」と身体を別にして考えてきた。

いつも、生きる意味を自分の「心」に問うてきた。私の「心」は何を思うべきなのか。考えてきた。


ある日、分かったことがあった。親は、私の人生のことを何も考えずに生んだということ。

彼らの「子どもが欲しい」という漠然とした思いや、彼らの両親の「孫が欲しい」というぼんやりとした思いだったり、あるいは、世間体を保つなどの思いによって生まれた。


申し訳程度に、「優しくなって欲しい」という思いから優介と名付けられた。その10年後、画数が良かったという話があったことも分かった。


結局、生まれ落ちた私の身体には、願いなど何も込められていないということがひとつ。


さらに、もうひとつ分かったことがある。身体と「心」は同じであるということ。

これは常識だった。笑顔になれば気分はいくらか晴れて、悲しければ涙が出る。ただ、私は人生について、一向にこれを認めようとしなかった。


「心」というものは特別なもので、「思い」だとか「気持ち」といったことをとりわけ大切にする教育を受けてきたから、「これだけは確かだ」というものとして私に根を張っていた。


だからこそ、この「心」に、私を定義してくれる何かが眠っているのだと信じていた。


でも、友達と遊んで笑顔になり、擦り傷ができて泣いてしまう。その心と体の積み重ねが人生だとわかった。特別な「心」などは無かった。(そもそも、心は脳みそにあるらしい)


つまるところ、私の身体にないのだから、心に使命などはあるはずも無かった。




私はどうすればいいのか分からなくなった。


生きる意味が無いことは、私が死ぬことを止める理由がないことを意味した。


かといって、死ぬ理由もなかった。

死ぬ事で私にメリットがあるならば、死んだ方がいい。また、逆も然りである。が、それを知る術などないのは考えなくとも明白だった。


生に対しての意味がない上、死のメリットやデメリットも測れなかったので、私は何も行動を起こすことができなくなってしまった。


次に、生きるメリットやデメリットについて考えた。積極的に生きるための「意味」がなくとも、「メリット」があれば、消極的に生きることはできると思った。


でもメリットなんて分からなかった。

生きる利益など想像もつかなかった。

生きて得たものなんて、死んだ後何にでも変わりうると思ったからだ。


ユダヤ教の価値観では、生前に善い行いをすれば、最後の審判の際に、天国へ行けるらしい。

ただ、私は真逆の宗教を考えることも出来た。あらゆる悪行をして法に逆らい、自らの意志を貫いたものだけが、天国へ行けるなんて言い伝えのある宗教があったらどうだろうか。


そもそも、宗教なんて枠に当てはめずとも、死後、どんな行動を基準にして結果どうなるかなんて、無限の場合が考えられた。


私は、何を信じて、何を行ったとしても、それが死後に利益になるか判断できなかった。




私は生きている間だけでも、利益と思えるようなことをするしかないと思った。


失ったものと得たものに対して、得たものが多ければそれは利益だ。


必ず時間は失い、行動によっては他にも失う。


得るものは行動によって様々、捉え方によっても様々。


自分にとって、行動の価値が時間の価値を上回ることが何か分かれば、1歩を踏み出せると思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ