27話 魔導書
「見つけたぞ、おい、そこのひまわり頭!」
「んっ?」
振り向くと、魔法使いの格好をした、男がいた。
「なんでしょう?」
「おまえだな、俺の魔導書を持っているのは! 返せ!」
「魔導書?」
「とぼけても、無駄だ、探知魔法で、おまえが、持っていると、出ていたんだ」
「まったく、言いがかりだ」
んっ!?
魔導書、魔導書……本!?
「もしかして、あれか? 少し待っていろ」
「逃げるなよ」
自宅に戻り、一冊の本を取ってくる
「これだ」
「なんだ、これ」
「占い屋のババアの水着写真集だ」
「誰が、ババアの写真集持ってこいって言ったあああ」
「って言っても、本って、それしかもっていないんだが」
「なんで、そんなもん持ってんだ」
「俺だって、ほしくて、持ってんじゃないわ」
これも違うとなると、他に手掛かりが、ない。
「魔導書は、俺が指を鳴らすと、光る本だ、覚えておけ」
そう言い、男は、指を鳴らすと、ババアの写真集は、光った。
「なんで、光ってんだああ、この本!」
「魔導書、なんじゃないですか?」
「なんで、こんな姿になってんだあああ、おまえ、なにかしたのか!?」
「おれじゃないです」
そんなやり取りをしていると、同じく魔法使い恰好のツインテールの女の子が、やってきた。
「ダーリン、魔導書見つかった?」
「ハニー見つかったんだが……」
ダーリン? ハニー? こいつら、カップルか!?
「これなんだが……」
そう言い、ハニーさんに、見せると、ダーリンさんの顔にパンチが入り、吹き飛んだ。
「ダーリンのエッチ! エッチな本は、もう買わないって、約束したじゃない!」
「待ってくれ、ハニー、誤解だ!」
カップルと思っていたら、別れそうだ。
「ダーリン、なんて、知らない! 馬鹿あああ!」
彼女さんが、走っていく。
早っ!
「待ってくれ、ハニーいいい」
というこが、あって、もう1時間ぐらいになるのだが……
「いつまで、落ち込んでいるんですか?」
「もう、だめだ……」
「はぁ」
このまま、放っておくのも、可哀そうだし、しかたない。
「その魔導書をそんなことにした犯人かもしれない人物を知っている」
「なに!?」
「まあ、その魔導書というもののことを聞きましょう」
また、ここに来ることになるとは
「いらっしゃい、あら、この前の坊やと知らない坊やだねぇ」
「ちょと聞きたいことが、あって来たのですが」
「あら、なにかしら」
「これのことです」
占い屋のババアの水着写真集(魔導書)を出した。
「あら、私のグラビア本じゃない」
「この本を、どこで拾ったんですか?」
「それは、元々、道に落ちていたのよ」
「落ちていた?」
「ええ、中身が、真っ白だったから、私の水着写真を貼り付けたのよ」
「なるほど……」
やっぱり、この婆さんが犯人か。
「なにやってくれてんだ、このババアあああ!」
占い屋のババアの胸倉を掴む、魔導書の元々の持ち主さん。
さすがに、暴力は、いけないし、止めるか。
「いやー、やめて、服を脱がせないでえええ」
「脱がしてないわあああ」
案外、余裕そうだな、婆さん。
「ダーリン!?」
驚きの声が、響いた。
それは、さっき会った、ハニーさんだった。
また、最悪なタイミングに、来たものだ。
「ハニー!?」
「服を脱がそうとしてるって……」
「待ってくれ、ハニー! 誤解だ!」
「最低……」
それは、彼氏さんを軽蔑する目だった。
「うわあああん」
泣きながら、走っていく、ダーリンさん。
「ダーリン、なんて、ダーリンなんて……」
「でも、ダーリンのことを嫌いになれない女なのさ」
占い屋のババアが、なんか言ってる。
「えっ」
「ここに来たのは、ダーリンとの仲を戻したいから、違うかしら?」
「それは……」
「男なんて、エッチな生き物、グラビア本ぐらい見てしまうさ」
いや、あんな本は、見たくないと思います。
「それが、悪いというのは、女も悪いのかもしれないわね」
100パーセント、魔導書をあんたの水着写真集にした、あんたが、悪いだろ。
「うう、そうなのかもしれないわ」
ええっ!?
「さあ、道は、開いた」
水晶に、ダーリンさんが、映る。
崖の上に立っている……
「もしかして、自殺!?」
「ダーリン!」
「早く行ってやりな」
「こっちです、ハニーさん」
「はい」
「ふっ、若いっていうのは、いいわね」
よし、崖についた。
底なし穴と言われる、ここは、エリカさんに絶対に行かないようにと言われていたが、しかたない。
「ダーリン!」
「ハニー!」
何度目だろう、このやり取り。
「来るな、ハニー、俺は、もう死ぬしかないんだ」
「ダーリン、私が、まちがっていたわ」
「えっ」
「私、ダーリンが、他の女に、目がいってるのが、許せなくて、それで……」
「ばか、おまえ、以外、目が、いくか!」
「ダーリン!」
「ハニー!」
くそう、リア充カップルども、うざったい。
「あっ」
その時だった、ダーリンさんの崖が、崩れた。
「ダーリン!」
まずい、このままじゃ、死んでしまう。
「んっ!?」
占い屋のババアの水着写真集が、光っている!?
そして、飛んだぁ!
ページ一枚、一枚が、ばらけていく。
そして、ダーリンさんの元に向かって行く。
「なにいいい」
ダーリンさんが、飛んでいるぅ。
本の1ページ、1ページが、羽のように、なって、俺たちの元に、ダーリンさんを運んでくる。
「ダーリン!」
「ハニー……」
羽となった、ババアの水着の写真集は、ダーリンさんを地上に下ろすと、光となった。
そして、ダーリンさんの中に入っていった。
「おお、わかるわかるぞ、魔導書に書かれていた、上級魔法の数々が……」
「ダーリン!」
「ハニー!」
なんか、よくわからんが、めでたしということか?
まあ、魔導書(ババアの水着写真集)が、処分できて、よかった。
「俺たちの村に帰ろう、ハニー」
「うん、ダーリン!」
ダーリンさんは、光の羽をだし、ハニーさんを抱きかかえ、空に消えた。
俺の存在……
忘れられてないか!?
「んっ?」
なんか一瞬、体が、消えかかったような。
いや、透明になってるぅ。
なぜだ。
あいつらに、忘れられかけたからか!?
とにかく、完全に消える前に、エリカさんに相談だあああ。
「エリカさああああん」
「って、ヒグルマさん、うわっ!?」
「なんか、半透明になって、しまったんです」
このままだと、消えそうなんだが……
「なにか、元に戻る方法ないでしょうか?」
「ふむ……ちょうど、今日、博士が、戻ってきたみたいなので、行ってみましょうか」




