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25話 ヒグルマ走る

 出されたトマトを全部食べたら、満足したのか、ミスタートマトは、消えていた。

 あっ、さっさとマッチョ先生の尻子玉を戻してあげないと。


 「ぬぅ……」

 「マッチョ先生、今、元に戻します」


 人の尻に入れるの嫌だが、しかたないか……

 さっさと尻子玉持って入れてしまおう。

 うわぁ、尻子玉って、ぶよぶよしてるんだな。

 丸い玉のようなのに、不思議な感触だ。

 さてと、さっさと入れてしまおう。

 尻子玉は、マッチョ先生の尻の近くに持っていくと、尻の中に吸い込まれていった


 「ぬふん」

 「変な声出さないでください」


 これで、大丈夫なはずだ。


 「おお、力が戻ってきた、すまないな、ヒグルマ君」

 「いえいえ」


 あ、リリーベルさんは、どこに行った?


 「リリーベルさん、どこです?」


 呼びかけるように、声を森に響かせた。


 「ここだよ」

 「んっ、どこにいたんです?」

 「戦いになりそうだから、隠れていたんだよ」

 「なるほど」


 逃げ足の早い妖精さんだ。


 「それよりも、隠れるとき、もう一個、尻子玉を見つけたよ」

 「ほんとですか!?」

 「こっちこっち」

 「おお」

 

 半分だけ、地面に埋まったバケツがあり、その中に尻子玉が、一個あった。

 この尻子玉が、ルカの尻子玉で、正解だろう。

 まあ、見分ける方法ないから、そう思うしか、ない。


 「よし、これで、ルカを元に戻せる」

 

 んっ!?


 「この尻子玉、光が弱くなっているような……」

 「もしかたら、河童を倒したことで、尻子玉が、消えかかってるとか」

 「急いだほうが、良さそうだな」

 「見たいですね」


 バケツに入っていた、尻子玉を手に持った。

 急がなくては!


 「ヒグルマ君、急いでいるのなら、君ごと、私が、抱えて、走ろうか?」

 「マッチョ先生、お気持ちは、ありがたいのですが、先にパンツを履いてください」


 このまま、抱えられて、走られると、さすがに、カオス町だろうと、まずいだろう。


 「それに、マッチョ先生の元で、走ることが、多かったので、走るのには、自信があるので、大丈夫です」


 あのマッチョ先生の石造に、何回、追いかけられまわされたことか……


 「うむ、頼もしい限りだ!」

 「では、行ってきます! マッチョ先生!」





 ルカの家まで、全速力で、走った。

 走っている間も、光は、弱くなってきている。

 光らなくなったら、ルカを元に戻せないだろうか?


 「よし、ついたあああ」

 「ヒグルマちゃん、急ごう」

 「ああ」

 「クロエさん、ヒグルマですけど、ルカを治せるもの持ってきました!」


 いつもなら、クロエさんが、出迎えてくれるけど、今は、いないみたいだ。


 「クロエさ~ん!」


 大声で、呼んでも返事が、ない


 「むっ」


 やばいな……

 どんどん、尻子玉の光が、弱くなってる、このままじゃ、やばいな。

 しかたない、さっさと、この尻子玉を戻したほうが、良さそうだ。


 「勝手におじゃまします」


 ルカの部屋は、こっちだったけ。

 おっ、いたいた、ベッドで、寝ているみたいだ。


 「あれが、ルカちゃんかな?」

 「ああ」

 「さっさと、この尻子玉を入れてしまうか」

 「それが、良さそうだね、尻子玉の光が弱くなってきてるし」


 まず、仰向けに寝てるルカを、うつ伏せにしてっと。

 ルカのズボンを半分下ろし、パンツも下ろす。

 よし、尻子玉よ、戻れい!

 弱まった尻子玉の光は、もう一度、輝きを取り戻し、光になり、ルカの尻に吸い込まれていった。


 「ふぅ、これで、一安心だ」


 尻子玉を尻に戻たら、すぐ、ルカが、目を覚ました。


 「んっ、ヒグルマ?」

 「目を覚ましたか?」

 「ああ、そういえば、川から、出てきた、緑の奴に……」


 そう言い、ルカが、自分の尻のほうを見る。


 「って、きゃあああああ」


 その悲鳴は、部屋中に響き渡った。


 「びっくりした、女みたいな悲鳴をあげるんじゃない」

 「んっ? ヒグルマちゃん、わからないの?

 「なんのことです? リリーベルさん」

 「この子、女の子だよ」

 「なにいいいいい」


 こんどは、俺の声が、部屋中に響き渡った。

 その時だった、部屋の窓ガラスが、割り、一人のメイドが入ってきた。

 クロエさんだ。


 「ルカ様あああ」


 んっ!?

 やばいな、この状況。

 部屋には、ケツを丸出し、悲鳴をあげた女子。


 「変態が、この屋敷に入ってるみたいですね」


 殺気だ。

 このままじゃあ、殺される。


 「クロエさん、誤解なんです!」

 「話は、後から、聞きましょう」


 って、言いながらナイフを取り出し、近づいてきてる。

 無事では、すまなそうだ。


 「おじゃましました」


 そう言い、部屋のドアから、飛び出た。

 後ろを、振り返ると、ナイフが、飛んできていた。


 「いやあああ」


 なんとか、回避し、玄関を、出て、逃げた。

 町の中なら、隠れるとこ、あるかもしれないが、どうしたら、いいんだ、これから……


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