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15話 VSトイレ

 「ファイアボール!」


 ダンボールゴーレムが、燃えていく。

 おれは、あんなの食らうところだったのか……


 「すごいですね」

 「ふふ、これが、文字魔法の力さ!」

 「文字魔法って、文字召喚とは、違うのですかね?」

 「文字魔法は、出したい魔法の名前を文字を消費して、発動させる魔法さ」

 「そんなものが、あったとは、おれも習得してみたいものですな」

 「う~ん、それは、無理かな、文字魔法が、使えるのは、選ばれた人間だけなのさ」


 自慢するが、ごとく、自分の胸に手をあて、答える


 「まあ、文字召喚と同じで、出すもの練習をしないといけないから、大変なのさ」

 「自分は、文字召喚が、難しい体質らしいから、覚えたかったのだが、残念ですな」

 「文字魔法の力がいるときは、私に頼りたまえ!」

 「その時が、きたら、お願いするとします」


 文字魔法か、この世界には、まだまだ、知らない力とか、あるんだろうか


 「おっ、着きました」


 ルルナさんが、指を差した先には、宝箱が、あった。

 いかにも宝が、入っている感じで、罠にも見えてくる。


 「この宝箱にあるよ」

 「了解」


 まあ、開けてみるか。

 開けてみると、中には、ギルドの紋章の入ったコインと蓋の裏に、貼り紙が、あった。


 「なになに……冒険者試験を受けに来たものは、このコインを一枚とって、帰ってくること」


 なるほどな。

 説明通り、一枚コインを取り、ポーチの中にしまって、持って帰るか。


 「んっ? さっき来た時、こんな扉あったけ?」

 「扉?」


 それは、ダンジョンには、似つかわしくない扉だった。

 学校とかにある感じの、スライド式の扉が、あったのだ。

 

 「なんだろ、これ」

 「なんか、怪しい扉だな、これもギルド試験に関係あるのですかな?」

 「それは、隠しダンジョンの扉だ、間抜けども」


 えらそうな、声が、響き渡る。

 この声は、ルカだな。


 「もう、ここまで、たどり着いたとは、早いものだ」

 「フッ、こんな試験、僕には、余裕さ」


 ルカは、宝箱の中から、コインを一枚取り、ポケットに入れた。


 「ヒグルマ君、この子は?」

 「こいつは、ルカと言います。 まあ偉そうなクソガキですな」

 「だまれ、変態ひまわり」


 ルカは、そう言い、扉の前まで、行く。


 「ふん、お前たち、いいものを見つけたな」

 「んっ? この扉のことか?」

 「ああ」


 ちょと待て、これが、隠しダンジョンなら、エリカさんが、注意していたような。


 「エリカさんの注意事項で、隠しダンジョンには、入るなと言われなかったか?」

 「それは、弱いやつに限る、ぼくは、強いから、問題ないのさ」

 「そんな考えじゃ、危ないぞ」

 「ふん、お前たちは、さっさと帰りなよ、じゃあな」


 ルカは、扉を開き、中に消えていった。


 「う~ん、ヒグルマ君、どうする?」

 「エリカさんに、知らせて、応援呼んできてもらうのが、最善の方法かな?」


 中が、どれくらい危険なのか、わからない以上、ダンジョン初心者の俺たちより、その方が、いいだろう。


 「でも、これが、隠しダンジョンの扉なら、いつ消えるか、わからないよ?」

 「扉が消える?」

 「聞いたことがあるんだけど、隠しダンジョンの扉の入り口は、そんなに、長いこと出現しないらしい」

 「だったら、出るときは、どうなるんです?」

 「出るときは、壁をすり抜ける用に出れるらしい」

 「ふむ、なるほど」


 助けを呼ぶにも、それを待っていたら、隠しダンジョンの入り口が、消えている可能性が、あるかも。

 こうなったら、しかたない。


 「ルルナさん、ギルドに戻って、事情を説明お願いします」

 「ヒグルマ君は、どうするの?」

 「自分は、隠しダンジョンに、入って、ルカを連れ戻してきます」

 「君も危険じゃないのか?」

 「まあ、自分には、必殺の能力が、あるので、大丈夫です」


 光の手の能力で、文字さえ、盗めれば、どんな魔物でも、一撃で、消せるだろう。

 まあ、危険だろうが。


 「わかった、早く戻って、応援を頼んでくるから」


 ルルナさんは、そう言い、走って行った。

 さて、俺も行くか。

 スライド式の扉を開け、隠しダンジョンの中を進んでいった。

 ルカに追いつくため、全力で、走りながら、突き進んだ。

 一本道で、走りながら、だったから、ルカの後ろ姿は、すぐ見えた。


 「ちょと待て、ルカ」

 「おまえも来たのか、ひまわりタイツ」

 「危険だから、帰るぞ」

 「ふん、臆病者め」


 くそ、来たのは、いいが、こいつを説得するのは、無理そうだ。


 「んっ?」


 ルカは、なにかに気づき、走る。

 その先は、また扉が、あった。


 「なにもない一本道ばかりだったから、飽きてたところだ」


 ルカは、迷うことなく、その扉の中に入ろうと扉を開けようとした。

 だが、鍵が、かかっているのか、一向に開こうとしないドア。

 むっ、これは、チャンスか、引き返す理由が、できた。


 「これ以上は、進めなさそうだぞ」

 「鍵が、かかっているな」

 「鍵なんか、ないし、引き返すしかないな」

 「そんなものは、必要ない」


 ルカは、腰につけていた、レイピアを抜き、構える。

 ドアに向かっていて、構えているが、ドアでも、壊す気か?

 普通に無理だろう。


 「ハァ!」


 ルカが、レイピアを突く瞬間、レイピアの剣先が、光ったように、見えた。

 そして、突かれたドアは、吹き飛んだ。

 その光景には、驚いて、声が、でなかった。

 この世界には、こんな技もあるのか……


 「これで、入れる」


 まったく、人の気持ちも、知らないで、あのやろう。

 まあ、行くしかないか。

 扉の中は、一気に、ダンジョンの中とは、思えない感じに。変わった。

 なんだ、この部屋?

 壁も床も一面、白いタイルで、できているのだ。

 そして、部屋の中央には、洋式トイレが、ぽつんと一つある。


 「なんだ? あのトイレ」


 ルカは、トイレに近づいて行っている。

 その時だった、機械音と共に、トイレの蓋が、開いていく。

 そして、棒状のノズルが、出ている。

 あれは、トイレのお尻洗浄機能じゃないか?

 なんか、あのトイレから、嫌な予感が、する。

 標準が、ルカのほうに向いているからだ。


 「避けろ、ルカ!」


 ルカを掴み、真横に飛んだ。

 その時だった、トイレのノズルから、凄まじい威力の水が、発射された。


 「なっ!?」


 ルカは、それを見て、驚いた様子だ。

 大体予測していたが、俺も驚いた。

 トイレのお尻の洗浄機能で、温水が、出るのは、知ってるが、普通なら、こんな威力じゃない。

 念のために、ルカを避けさせたが、正解だったみたいだ。


 「おい、ひまわりタイツ、あれを、知ってるのか?」

 「おれが、知っているのと似ているが……自動で、動かないし。あんな水圧してないぞ」

 「まあ、いい、倒せばいいことだ」


 ルカは、レイピアを抜き、剣先を光らせた。

 そして、トイレに向かって、突っ込んでいく。


 「ハァ!」


 だが、トイレのノズルから、また、凄まじい水圧の水を発射した。

 それが、ルカの持つ、レイピアをへし折ったのだ。


 「なに!?」


 ルカは、それを見て、トイレから、距離を取る。


 「くそう、ぼくのレイピアが……」


 しかたない、光の手を使う。

 能力を使い、手を光らせると、トイレの名前が、表示された。

 ふむ、トイレミミックという名前なのか。

 まあ、いいか、文字をいただく。

 トイレミミックに、突撃するように、走っていくと、トイレは、移動した。

 まるで、氷の上をすべるようにだ。

 文字を取ろうとしたのを察知したからか、逃げるように、距離を放される。


 「くそう……」


 そして、ノズルから、凄まじい水圧の水を、こちらに向けて、放ってきた。


 「かべ」


 ルカは、そう言い、壁を張る。

 だが、その壁も5秒も持たず、崩れていった。

 放たれる温水の水圧が、凄まじいのだ。


 「かべ」


 俺も、マッチョ先生姿の壁を召喚する。

 だが、その壁もトイレのレーザーのような水圧の前では、無力に等しかった。


 「かべ」


 マッチョ先生姿の壁が、ボロボロになった時、ルカが、壁を出す。

 くそう!

 このまま、守りは、できるが、どうしたものか……

 来た道を引き返して、逃げる方法もあるが、あの道は、一本道。

 壁を出しながら、戻ったとしても、手持ちの文字にも限界がある。

 なくなった瞬間終わりだ。


 近づけさえすれば、光の手の能力で、文字を盗み、あいつを消すことが、できるが……

 なにか、方法が、ないか……


 「かべ」 


 ルカの壁が、崩れかけていた方、壁を、また召喚した。

 マッチョ先生姿の壁を見て、思い出してくる。

 授業を逃げようとすると、この壁に追いかけられたことを……

 くそう、こんな記憶と共に、死ぬのは、いやだ……

 むっ!? ちょと待てよ。

 マッチョ先生も、文字で、壁を召喚して、追いかけてくる壁を作ったんだ。

 俺にも、それが、できるんじゃないか?


 「ルカ、このまま、壁を召喚して、時間を稼いでいてくれ」

 「ん? なんかするのか?」

 「ちょと試してみたいことが、あるのさ」


 いつものように、文字を掴む。

 そして、ここだ、たしか、イメージだ。

 あの、授業を逃げようとして、追いかけてきた、壁のトラウマを思い出すんだ。


 「かべ!」


 いつものように、マッチョ先生そっくりの壁が、召喚される。

 あの、トイレミミックを捕まえてくれ。

 そう思った時、マッチョ先生壁は、動き出した。

 発射される水を避けながら、タックルするように、突っ込んでいく。

 そして、トイレミミックに、掴みかかり、動きを止めた。


 「よし、今だ」


 能力を使い、手を光らせると、そのまま走り、突っ込む。

 トイレミミックは、動こうとするも、壁のマッチョ先生が、それを押さえる。

 近づくと、手を突っ込み、トイレミミックの文字を引き抜いた。

 すると、光のように、消えていく、トイレミミック。

 ふぅ、なんとか、勝てたようだ。


 「なんだ、さっきの光っていた手は!」 


 ルカは、きらきらした目で、見てくる。


 「ああ、さっきは、おれの能力の光の……」


 今、気づいたが、光の手って、能力名としたら、なんかインパクトに欠けるな。


 「ああ、ちがった、シャインハンドと言う技だ」


 やはり、英語にしたら、かっこよくなるな。


 「シャインハンドか、かっこいいな」

 「まあ、今度こそ、ギルドに戻るとしよう」

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