輪廻の間②
「最後は面接です。ここでの判断が、あなたの次の人生に大きく関わります。気合いを入れて頑張って下さい。」
記述やらなんやらの試験の後に面接って…受験か就活ですね。なんなんでしょうか。これは。そういうもんです!と言われればどうしようもないけど、なんか思ってた転生とちょっとちゃう!!
あ、突っ込めるようになった。1つの試験が終わってちょっと元気が出てきたかも。
「笑顔が戻りましたね。この先も大変ですから、その調子で臨んだ方が良いですよ。それでは、左手にある扉を通って先に進んで下さい。」
…この先もやっぱり大変なのね。てか案内の人が今度はおかんになっとる。なんかできの悪い子を心配する、親の域に達しとる。そんなに手間がかかるの?俺ってそういうキャラだったっけ??現世ではもうちょいしっかりめだった気がするけど、本性はこんな感じなのかな…。
死んでから自分のキャラを再認識するとか、幸せなのか不幸なのか…。まぁでも、いつでも成長出来るってのは良い事に違いない。この勢いで前向きに次の人生も生きていこう!
そう思いながら扉を開け、前に進むと…。
☆♪☆♪☆
「ようこそ。輪廻の間へ。」
…むっちゃイケメンきた。いや、イケメンとかそういう次元じゃない。青いロングの髪に白い肌。造形美の様な整った顔立ち。声が男性的でなければ、女性と見間違うほど美しい。そして、纏っている雰囲気も神聖な空気を醸し出している。
何もしていないのに、すでに自分の負けが決定している。それ程の格差を感じさせる存在感がそこにあった。
「どうしました?なにか私の顔に付いていますか?」
「いや、すごく綺麗な顔立ちだなと。まるで、作り物のような…」
…ん?もしかしてそう言うことか??こんな特殊な空間に人がいるとも限らないし。アンドロイドとか、もしくは神の使いのような…。
「違いますよ。」
こっちも心を読むんかい!
今回は声に出さずに、心の声で止める事が出来た。
…だからなんだと言うことはないが。
「テンションも上がられたようなので、そろそろ面接を始めましょう。ちなみにそんなに緊張されなくても…って、されてないようですね。良いことです。単純に私と話をして頂くだけです。雑談も含めてこちらも質問にお答え致しますし。よろしいですか?」
親近感が湧くような台詞であるが、その話し方からは一切の感情が読み取れない。まぁ、敵対関係にある訳ではないのだから、それ程気にすることでもないのかもしれないが…僅かな引っ掛かりを覚えながらも、返事をする。
「分かりました。よろしくお願いします。」
「ちなみに、あなたの現世での行いなどは分かっています。ただ、深層心理などは見えないので、先程のような試験をさせていただきました。」
「そうなんですか。でも深層心理を探るためとはいえ、あんなに問題数要ります?」
「そんなに多かったですか?何百問も問題があるわけではないはずですが…」
そう言いながら、俺の後ろの空間の方に視線を向ける。
ちなみに俺の後ろの、目に見える範囲に人などはいないのだが、何故かその空間から、ギクッ!という気配が漂ってくる。
「…そういう事でしたか。通りでここに来るのが遅かった訳です。あまりに死が辛く立ち直れなかったとか、問題に悩み過ぎているのかと思いましたが…失礼致しました。うちの者が楽しんでしまったようです。」
そういう事だったのか。通りで変な質問があったり、同じのを繰り返したりする訳だ。
でもまぁ…
「問題ないですよ。いや、かなり疲れたのでなかった訳ではないですが、私も楽しかった部分もありますし。何より、そのおかげで死んだということを悲しまずに済んだ面もあると思います。そういう意味では感謝してもいいくらいです。」
そういう事なのだ。文句を言いたい部分もあるが、楽しかったのだ。実際は。なんだか分からない空間にたった1人で居ることに不安を覚えない人はいないだろう。でも、話をしてくれる人がいたから。だから俺は楽しい気持ちを持ちながらここに来られたのだろう。
…自分で言うのもなんだが、ちょっと人が良過ぎる気もするが。
「そう言って貰えると助かります。それに、前の試験にそれだけ時間をかけた事は、案外今後のあなたにとってプラスになるかもしれませんよ?」
そう言って目を細めながら、俺の心の中を見通すように微笑みかけてくる。
「では改めて。まずあなたは自分がどのように死んだか覚えていますか?」
「それが、思い出せないんです。どこでどのように死んだのか。ある一定のところまでは思い出せるのですが…」
「そうですか。まぁ死んで間もない頃にはある話なのであまり気にしなくても大丈夫です。」
「では次にあなたの人生観や大切にしている事を教えて下さい。」
とまぁこんな感じで、本当に受験や就活のような質問がいくつか続いた。その中身については…割愛させて貰おう。だって、30過ぎのおじさん…もとい、お兄さんの人生観とか聞きたい?要らんでしょ。興味ないでしょ。て事で飛ばす!俺の回想だし、割愛するのは俺の自由なのだ!!
てことで。
「それではここからは、あなたの今後の転生先に関わる話をしていきましょう。」
ついにきました。核心部分。もしなかったらどうしよう!って思ってたのはここだけの話。
「まず、転生先の希望はありますか?同じ世界が良いとか。こんな感じの世界が良いとか。」
「その質問に答える前に確認したい事があるのですが、大丈夫ですか?」
「どうぞ。私にわかる範囲でしたら、なんでもお答えしますよ。」
「なんでも?そんなにいろいろ聞かせてもらっていいんですか??」
「ええ。特にあなたにはご迷惑をおかけしたみたいですし。それに、ここでの出来事はどうせ忘れてしましますから。」
「忘れちゃうんですか?全部??なんのために???」
「この世界での内容は秘匿されるべきものだからです。例えば、あなたと私との会話、その前の試験のやり取りなどにより、転生先におけるあなたのパラメータや持って生まれる才能、そういったものに影響を及ぼしています。それがどの程度影響があるのか、またどのような仕組みで決定されているのかは、私にもわかりかねますが。ですから…」
「ちょっ、ちょっと待ってもらっていいですか。」
「どうされました?」
「この話長くなりますよね?ちょっと一呼吸おかせてもらっていいですか?それと、話を聞く前に大事な質問が1つあるんですがそれもいいですか??」
「構いませんよ。どうぞ。」
深呼吸をし、
「…あの………」
勇気を絞って質問を行う!
「今更ですが………あなたのお名前はなんて言うんですか!!」
そう。そうなのだ。前の人はちょっとした行き違いで名前を聞きそびれてしまっていた。今回まで同じ轍を踏む訳にはいかないのだ!
「…は?」
あれ?なんか動揺してる??
一切乱れない人かと思っていたら、そうでもないみたいだ。
「いや、あの、お名前聞きそびれてたので。これから重要な話するんですよね?だったら、名前わからないと話しにくいじゃないですか。あ、私から名乗った方がいいですよね。私は、晴宮 涼です。」
「…こほん。これはご丁寧にどうも。私は…」
あれ?なんかいろいろなところに視線を動かしてますけど??
「私の名はアオです。」
「絶対偽名やん!」
「…そんな事ないですよ。」
「だって名乗る前にキョロキョロしてたし!」
「気のせいです。ですので、どうぞそのままアオとお呼びください。あなたの事は、ハルミヤさんがよろしいですか?それともリョウさんのがよろしいですかね?」
「どちらでも構いませんよ。」
「それではリョウさんとお呼びしましょう。ふふっ。それにしてもなぜ彼女が、アケビがあなたとの試験が長くなってしまったのか、少しわかる気がします。」
さっきまでの人はアケビさんと言うのか。ラッキー!聞き損ねてた名前までゲットしたぜ!!
ってまぁ、忘れちゃうなら関係ないかもしれないけど。
「それでは、続きをお話ししますが、よろしいですか?」
「はい。お願いします!」
こうして俺はアオ(偽名)さんから、この世界の秘密について聞くこととなるのだった。
お読みいただきありがとうございます。
素人の文章で読みにくい点も多いかと思いますが、ご感想など頂けますと幸いです。
てか、思った以上に話が進まない…