表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/25

輪廻の間①

「それでは試験の概要について説明します。」


こうなりゃなんでも来い!気合いでどうにかしてやる。これでも学生時代は…学生時代は……ダメだ…それこそいい思い出がない。一夜漬けで乗り越えた記憶しかない。今は一夜漬けさえ許されない状況。考えろ!考えろ俺!!これで人生決まるぞ、俺!!そうだ…!


「あの〜…ちょっとご相談が…」


「テスト対策したいから、ちょっと待って、とか無理ですよ?」


もう絶対心読んでるやん。それ以外ありえへん。こんなドンピシャで当たる?当たらへんやろ。普通。終わったわ〜。


「はい、そこ。諦めない」


「学校の先生か!」


「こういうノリがお好みなのかと思いまして。」


「…まぁ好きですけど!」


なんだろう。短期間、いや、ホントわずかな時間しか共有してないのになんか見透かされてる。嬉しいけど悔しい。なんだろこの感情…


「愛情ではありませんよ?」


「だから、絶対心読んでるでしょうが!」


しまった。心の声が漏れてしまった。


「本当に読んでませんよ。分かり易すぎる性格…もとい素直な性格なんじゃないですか?」


バカにされた後フォローされた…悔しい。悔しいです!


「あの〜、このやり取りも楽しいのですが、そろそろ本当に試験に移らさせて貰って良いですか?時間の関係もありますので…」


大人、完全に大人のセリフですやん。人生かかってるんだからいいやん。ちょっと時間かけても…


「そんな目で見ないで下さい。話を進めさせて貰えないから言えませんでしたが、予習とか要らない試験ですよ。あなたがいた世界の表現で言うなら心理テストみたいなもんです。」


「………」


「………?」


「………………先に言って〜!!」


「話を聞かずにテンパったのあなたでしょーが。」


「そうでした?」


「そうでした。」


「すみません。」


「許します。」


「ありがとうございます。 …この会話何ですか?」


「知りません。」


「ですよねー」


「本当に話を進めていいですか?」


「よろしくお願いします。」


「おほん。では改めまして、これから試験を行います。隣の部屋に移動して下さい。」


あ、移動するんだ。ここでもちょっと会話したいけど、我慢しよう。本当に話が進まなくなりそうだし、案内人の人にブチギレられても良いことないだろうし…。

そんな事を考えながら促されるままに進んで行く。


しばらく進んだ所で、大きな柱が2本立った場所にたどり着く。


「そのまま進んで下さい。その先が試験会場になります。」


なんか如何にもな感じだなぁ。きっと通った瞬間に転移とかするんだろうなぁ…。そんな事を思いながら、柱の間を通り抜けると………


☆♪☆♪☆


意識が遠のいたかと思ったら、今までとは違う雰囲気の場所に立っていた。


「やっぱり転移するんかい。めっちゃベタな展開やん!」


思わず声が漏れてしまう。

それにこの場所である。さっきまでの雰囲気が嘘のように、大きなモニターとキーボードが目の前に設置されている。


「なに?試験ってこんな近代的な感じなの??今までの雰囲気と違い過ぎて戸惑うんですけど!」


「試験会場は、前世の世界観を踏襲します。そうでないといろいろ困っちゃうじゃないですか。PCとか無い世界の人に急に使えとか無理でしょ?なので、あなたの目の前にある設備はあなたに合った物だ、と言うわけです。」


なるほど、筋は通っている。確かに俺はこの方がやりやすい。よく分からん言葉で書かれていたり、筆と硯とか用意されていたら、その瞬間にちょっと心が折れてしまうかもしれない。


「ご納得頂けたようなので、先に進ませて頂きます。これからモニターに質問が出てきます。その質問に対し素直に答えて下さい。全体としての時間制限はありませんが、こちらも忙しいので、ちゃっちゃと答えて頂けると助かります。何か質問はありますか?」


「あの〜、人生掛かってるのにちゃっちゃととかどうなんでしょう…?」


「言葉のあやです。気にしないでください。それ以外質問がないなら、始めさせて頂きます。それでは張り切ってどうぞ!」


人生掛かってるはずなのになんだろう。この軽い感じ。俺が悪いのか?遊び過ぎたせいでこんな感じになっちゃったのか?いや、遊んでたわけではない。地の性格が出ただけなのだ。

…えっ?もっとタチが悪いんじゃないかって?このくらいご愛嬌でしょ。だって死後の世界よ?ちょっとくらいテンション上げてかないとやってられないじゃん。


そんな事を思っている間に、画面に問題が写し出され、読み上げられる」


「第1問

あなたは猫派ですか。犬派ですか。それともそれ以外ですか。」


…なんだこの質問。これで何が分かるの?こんな質問で人生決まるの??マジで???ちょっと勘弁してほしい。

そんな事を思いながらも即答する。


「猫に決まってるでしょーが!」


「第2問

あなたは道を歩いています。目の前に十字路が見えてきました。そこに差し掛かった時、何かが飛び出して来ました。それは何ですか?」


フリー問題。でもちょっと心理テストっぽい。


「パンを咥えた女の子!」


ふっ!ベタな答えを返してやったぜ。


「第3問」


えっ、スルー?なんか反応とかないの?


「ありません。」


「だから、絶対心を読んでるでしょうが!」


この展開がきたら、何回でも突っ込んでやる。そんな意味のない誓いを心に決める。


「あなたが生まれ変わるとしたらどれですか。猫、パンを咥えた女の子、その他」


「その他!」


なんなのこの質問?確かに1問目と2問目で猫と女の子っていいましたよ?でもそれになりたいとかあり得る?意味わからん!


「第4問

転生したら、あなたは何になりたいですか。」


急にくる核心っぽい質問。これはガチなのか?それとも引っ掛け??惑わす事が目的???

どうしよう。なんて答えていいか分からない…


「時間切れです。」


「…えっ?時間切れとかあるの…?」


「問題によってはあります。」


「そういうのさ………先に言ってよ〜。」


「第4問」


無視ですか。無視ですね。いいですよ。なんかこの展開にも慣れて来たし。そのくらいじゃあ凹まないし。


「あなたは犬派ですか。猫派ですか。それともそれ以外ですか。」


えっ?1問目と同じでない??順番入れ替えただけやん。いきなり被る?そんな事をある??ちょっと意味わからんけど。わからんけどとりあえず…


「猫!」


そんなこんなで質問が続き…


「第58問目」


そろそろ真ん中過ぎたくらいかな。まぁあっても100問くらいでしょ。


……


「第101問目

次に書かれている文章を読んで、主人公の気持ちを100字以内で答えなさい」


…100超えたし。しかもここにきて記述問題だし。ちょっと疲れてきたんですけど…


……

………


「第213問目

あなたは猫派ですか。犬派ですか。それともそれ以外ですか。」


「だから猫!何回目やこの質問!!」


「だから猫、と言う答えはありませんが…」


「…猫…」


いつまで続くのこれ…


……

………


「第350問目

あなたは…」


「猫!」


「何に生まれ変わりたいですか。 猫で宜しいですか?」


「すみません。人間です。人間でお願いします!」


「どうされたのです?なんで泣いてるんですか??」


「なんかもう疲れちゃって…ネロと天使が見えそうです。」


「そうですか。では次の質問です。」


ダメだ。もう言い返す気力も無くなってきた…


「頑張って下さい。あともう少しですよ。」


「もう少しってどれくらいです?」


「ええっと…まぁ、もう少しです。」


「絶対もう少しじゃないやん!ううっ…辛いよぅ…」


こんなやり取りがもう暫く続き、そして…!


「お疲れ様でした。試験は以上です。先に進んで下さい。」


体力と気力の限界を迎えた頃、やっと試験が終わり先に進む事が出来たのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ