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英雄譚  作者: 豊次郎
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王都

次の日も、その次の日もゾンビを倒す日々が続く。

そして、ゾンビとの戦いの日々が1カ月続いた。


そして、未来予知の限界に気付く。

3つの同時攻撃での未来予知は5秒前からになり、6つだと3秒前、どんどん短くなるし、精神的にも疲弊する。精神が疲弊すると赤ん坊であるおれの体に異変が起こる。

おしっこと大きい方を漏らしてしまう。


【あ~。またやれられた・・・・】

シロが嘆く。

おれは流石に精神的に堪える・・・行儀のよい赤子と思われた、おれは狐といえど女子の・・・情けない。


【仕方がない。我慢しな。】

としか、ねねは言わない。言わないがねねの背でそれをやると、多分すぐに喰われるだろう・・・


と、唐突にねねが言う。

【明日、王都に向かう。そこでムクロの疑問も少しは晴れるだろう・・・晴れるだろうが・・・覚悟しな。】


おれの疑問。

王と魔物との契約

《ここ100年の間。人・物・食料を供物として供給する。その間、国の安全の保障》


でも、カカ様という強力な妖狐よりも王の方が強い?


見てみたいものだ。


〖次の日〗

ネクロマンサーが墓場の入り口まで見送りに来てくれた。

【それでは、王都までお気を付けて。】

【世話になったな。ネク。】

【それじゃねネク】


ネクと呼ばれるネクロマンサー・・・妖狐とどのような関係があったのだろうか?


【ムクロ。ネクは昔、カカ様に命を救われてな。それから付き合いだから約100年前からの知り合いだ。】

【あの時は、間一髪でした。私が大熊の主に殺された所を、たまたま、カカ様が通られて、腹が減ったと、大熊の主の首を一瞬で切られて・・・】


ネクが仮面の下で遠い目をしているみたいだ。

この場所から王都までどれぐらいかかる?


ネクが顎を触りながら、少し考えた後、

【歩きで、3日ぐらいです。元々、この墓場も王都のモノでしたが・・・今は必要ないみたいですので・・・】


ネクも可笑しな事を言う。人が住んでるのに墓場が必要ない?

新しい墓場を近くに作ったのか・・・あるいは・・・


〖3日後】

王都の前までたどり着く。

【王都は4つに分かれている。王の間・城内・城下町、そして塀の外の町。ここが塀の外の町だ。】


そこは、おれの生まれた場所にそっくりの、何もないあばら小屋ばかりの粗末な場所だった。

おれのいた場所より、幾ばくが・・・マシなのか?

人も意外に多い。


【私達のは入れるのは城下町までだが、多分、それは感じ取れると思う。】

そういうとねねは検問所に向かう。

シロもそれに倣い付いていく。


検問では訪問目的、滞在日数、持ち物、身体検査と後は、変わったわゲートを潜る。

今回の訪問目的は羊の毛の衣類の売買。丁度、おれの着てる物が商品サンプルらしい。

シロは意外と手先が器用で羊の毛の洋服は高く売れるだろう。

滞在日数は3日間(3日でネクの薬の効き目が切れるらしい。)


そして、ネクの薬のお陰で、すんなりと検問は終わる。


さて、王都の城下町だ。さきほどの、塀の外の町とは違い、

王都は凄い賑わいを見せている。

周りは、きちんと整備され、屋台では活気のある声が飛び交う。


おれたちは、屋台を抜け、宿屋に向かう。

「シロ。宿屋で少し待っててくれ。商工会に行って屋台の出店手続きをしてくる。」

「はい。ねね様。」


おれは此処で初めて、妖狐達の人間に化けた時の声を聞いた。

少し驚いた。

「なに驚いている。ムクロ。喋れないとでも思ったか?」


そう、検問でも用紙に記入するだけだったし、しかし、二人とも澄み切った綺麗な声だ。

「わたしたちは、ある程度、どんな声も出せる。そうか、もう少し声の質を汚したほうが人間らしいか・・・」


「それじゃ、30分ほど留守にする。それまで、絶対外には出るなよ。」

少し、濁った声でねねが言って扉を閉める。


おれは、辺りを見たくて仕方なかったが、シロは髪が纏まらないと、櫛で髪を梳かす。

まるで、人間みたいだ。

城下町は普通の、町並だった。城に近づくにつれ豪華な建物が並び、市場や宿は城下町の一番外側だ。


と、コンコンと部屋をノックする音が聞こえる。

「すいません。宿帳がまだでしたので・・・」

「は~い。今、出ます。」


そこには、優しそうな女性が宿帳とペンを持ってた。

「ここにお名前と連絡先をお願いします。」


シロは名前と連絡先を記入する。(もちろん、ありもしない名前と連絡先だが・・・)


おれは、そこで違和感を感じる。

この宿の女性は・・・人間なのか?

さきほど、ねねやシロに指摘した声の形にそっくりだ。

顔の形も整い過ぎてる。


「こら、この子ったら、また人のかををジッと見て、将来が女たらしにならないか心配だわ」

シロがおれに喋りかける。

おれは、赤ん坊らしく「あー、あー」という。


宿の女性はおれを「まあ、可愛い。赤ちゃん」と抱きかかえてあやし出す。

おれは、「うあああー うああー。」と泣きだす。

「ありゃ。泣いちゃった。」とシロが女性からおれを受け取る。

そのまま、宿の女性は、そそくさと部屋から出て行く。


「フフッ。ムクロ。流石の貴方でも驚いた?」

ああ、間違いない。あれは人じゃない。・・・人でもないけど、魔物でもない気がする。


「そうね。普通の人間ではないけど、あれは、紛れもなく人間だよ。この城下町に普通の人間の他にああいったモノが紛れ込んでるの。」


ああいったモノとは何だシロ。教えてくれ

「わたしも正確には知らないけど・・・色々混ぜ合わせて作ったモノらしいの。人とか魔物とか、後は他の動物なんかを。で、今王都を牛耳っている王様はそれの最たるモノね。」


では、なぜ王は魔物との契約なんかを・・・

《ここ100年の間。人・物・食料を供物として供給する。その間、国の安全の保障》


シロは言う

「魔物の方もね。魔物を人間に供物として供給してるの。そして、供物として捧げられた前代、魔物の王。わたし達のカカ様を救いだす。・・・・必ず。」




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