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英雄譚  作者: 豊次郎
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鍛錬と修練

【まずは、シロとムクロの鍛錬が必要なんだ】

ねねがネクロマンサーのネクと話しをしている。


【今のままでは、王都を見るだけでも命がけになってしまう。】

【そうだろうな。少しここで鍛錬をしていくか?】

【そう言ってもらえるとありがたい。】


鍛錬・・・今のままでは王都に行って帰ってくるだけでも危ういのか?

何処まで危険な場所なんだろうか?

と、先ほど話してたネクロマンサーが鳥を2羽持ってくる。


ねねとシロは元の妖狐の姿に戻り、その鶏肉を貪っている。

おれは部屋の周りを見まわす。

ネクロマンサーの家に来たのなんか初めてだ。

実際、テーブル・イス・ソファー、それに暖炉。普通にログハウスだ。


【ムクロくん。仕事場は此処には無いよ。地下にあるから安心して良いからね】


何を安心するのだろうか?

今までずぅっと、こちらを見詰めているのは仮面の下からでも丸わかりだ。


【大丈夫だ。ムクロ。ネクはお前に手出しは出来ない。ムクロは私達との契約がある。】

鶏肉を食べ終えて、ねねが言う。

【ネクが見詰めるのも仕方ない。ネクは食人族だ。主食が人間だからな。お前はさぞ美味そうに見えるのだろう】


そうか・・・それではずっと疑問に思っていたんだが・・・なぜ、ねねとシロは人間を食べない?

あの時も、供物の分け前の件でキュクロプスと揉めてたではないか?


【お前との契約が邪魔をしてる。まぁ、食べれなくもないが、お前も流石に嫌だろう?】

そうだな・・・

【でも、ムクロが死んだら、私達で食べるから!】

シロが舌で口を舐めながら喋る。


そうか・・・やはり、そうなるのか


と、ねねが此方を向いて言う。

【大丈夫だ。お前が一人前になるまで、面倒を見る約束だ。おいそれと、死にはしない。けれども、お前が死ぬような事があったら、わたし達が食べてやる。誰にも渡さないから安心しろ。】


そうか、渡さないか・・・複雑な気持ちだ。


【そう、美味しく頂くの。そして、ずっとムクロの事を憶えていてあげるから。】

シロがそう言って鳥が入っていた皿を舐めまわしている。


〖次の日〗

おれと、シロとの鍛錬が始まった。


相手は2匹のゾンビだ。

ネクが言うには製造したばかりだら5分で倒してみろとのこと。

おれはいつも通り、シロの背に包まれていいる。


【どういう事。あのゾンビ。動きが速い。私達より全然速いよ。】

そう、おれの目にはゾンビの姿はもう映らない。


【ああ、壊れても良いから高速設計に仕上げたんだよ。ねねがそうしてくれとさ。】

遠くでネクの声が聞こえる。


と、1回目の未来予知が始まる。

≪上からおれの首に向けて槍が飛んで来る。その槍に二人とも貫かれて死ぬ。≫

その予知をシロがくみ取り右に瞬時に飛ぶ。

槍がシロをかすめる。間一髪だ。


次に右と左から時間差で第二・第三の槍が飛んでくる。しかし、未来予知は発動していない。

と、シロが後ろに飛ぶ。


なるほど・・・シロが気付けない攻撃=おれの死につながる訳か

第二と第三の槍は、シロにとって想定内ということか。


シロ。おいシロ、逃げ方が単純だ。もっと考えろ?

【何を言ってるのムクロ?そんな余裕が無いのわかっているでしょう。】


ああ、わかっているさ、分かってないのはシロのほうさ。

いいかい。おれの未来予知は完璧だ。そうブレない。同じところに同じように槍が飛んで来ただろう。

それも10秒前にだ。シロだったら、どうする?


【もちろん、次は完璧に躱すわよ。】

違う。それを利用するんだ。

ギリギリで躱して、相手の不意を衝く。


【むぅ。ムクロのくせに・・・いいわよ。やってやるから。】


次に、未来予知が来たのは下からの攻撃だった。

まさか、土の中から槍が飛んでくるとは・・・

≪未来予知では槍はシロに刺さりおれを貫通する。≫


シロはクルリと丸くなると槍の飛んでくる方に顔を向ける、と土の中から槍が飛んでくる。シロは顔を横に滑らせ槍を咥える、そして、飛んできた方向に投げ返す。


槍はゾンビの頭を捉える。ゾンビはそれ以上動かない。

まずは、1匹目だ。あと1匹


しかし、1匹を倒した時点で勝敗は決していた。

後は、おれは未来予知することもなく、シロがゾンビの後ろから一撃を加えて呆気なく戦いは終わった。



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