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1000の言葉 story of 1000 words  作者: 古市 棗
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wineの味は恋の味?

『お酒は二十歳になってから…。大人の恋は幾つから?』



当時―。


僕が好きになった彼女は9歳年上で、やっとお酒が飲める年頃になったばかりの僕にとって、初めて知り合った〝大人の女〟だったー。


彼女はお気に入りのBARで白ワインを飲むのが好きで、僕はその店にあったダーツを友達とワイワイやるのが好きだった。


互いにその店の馴染み客といえるようになった頃。


僕は彼女にダーツを教え、彼女は僕にお酒の飲み方を教えてくれた。


そして、僕がそんな彼女を好きになるのに、そう時間はかからなかった。


ある時、僕はアメリカに行く機会があって、未だBARの馴染み客同士という域を出ない二人の関係を少しでも進展させようと、彼女へのプレゼントを買って帰る事にした。


プレゼントはもう決めてある。


もちろん、彼女が好きな白ワインだ。


僕は帰国すると真っ先にあのBARに向かった。


何より彼女と早く逢いたかったし、プレゼントを渡したかったから。


そして、彼女はその時も白ワインを飲んでいた。


僕が彼女の横に座り〝ただいま〟と言うと、彼女も優しい笑顔で〝おかえり〟と言ってくれた。


しばらく旅先での話をした後、僕は彼女へのお土産を手渡した。


彼女はとても喜んでくれて、


『嬉しいわ。本当にありがとう。』


そう言って僕をそっと抱きしめ、頬にキスをしてくれた。


結局、僕達は同じBARの〝馴染み客同士〟という関係のままに終わった。


僕も就職して店に行く時間もなくなり、たまに顔を出しても彼女と逢うことは少なくなって、やがて店のスタッフから彼女が結婚したことを聞き、僕は彼女の幸せを祈った―。


今、僕はこのBARに来て彼女の変わりに白ワインを飲んでいる。


お酒の味が分かるようになったということは、その分、僕が大人になったということなのかも知れない。


そして、このワインの味が、大人の恋を教えてくれた。


そんな気がした―。



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