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My world  作者: greed green/見鳥望
一章 日常
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(2)

 冠無操かんなしそう


 現在操が所属するクラスは2-4なので悟とは別クラスになるが、一年の頃からの親交もあって、今でも操はよく悟のクラスに遊びに来る。

 短髪でウニのように尖らした髪型が特徴的で、薄味のあっさり目ではあるが、バランスのとれた顔立ちで女子からの人気もそれなりにあるようだった。


 知り合ったのは一年の時、ある友人の家に遊びに行った時の事だった。既に友人宅に来ていた数名の中に操の姿もあった。

 もともと西の方に住んでいた事もあって、西独特のノリは、悟達の普段のノリとは違う所もあった。だがいつでも誰かを笑わせるというエンターテイナーなそのノリと人当りの良さが受け入れられ、面白い奴がいるという評判を悟もかねてから聞いていた。その時どんな事を話したかまで詳しくは憶えていない。ただ憶えているのは、その時ルービックキューブを披露した事だった。


「操、このさっとんって奴、ルービックキューブすごいんだぜ」


 なんて勝手に誰かがそんな事を言い出し、おもむろにルービックキューブを悟の目の前に差し出してきた。


「じゃあ、かけ声よろしく」


 一体こうやって何回人前で披露した事だろうかと思いながらも、初めて見る操を驚かせてやりたい一心で、悟はぐちゃぐちゃになった六面体を見つめた。


「よーいスタート!」


 キューブを取り上げ、悟は凄まじいスピードでキューブを回転させていった。

 周りからすれば闇雲にいじっているようにしか見えない仕草だろうが、もちろんその全てに意味はある。慣れた手つきで全ての指の感触を確かめながら、縦横無尽に操られた六面体は、ものの十秒ほどであっという間に全ての面が揃った。


「はい、完成」


 おお、という歓声と共に拍手が巻き起こる。何度も見ているはずの友人達も完成の瞬間毎度新鮮なリアクションを返してくれる所は素直に感謝していた。


「なんやそれ! 自分すごいな!」


 その中で一際大きな歓声と拍手を起こしていたのは操だった。

 大袈裟すぎるリアクションはわざとかとも一瞬思ったが、どうもそれが彼の素の反応のようだった。


「ありがとう」


 満足感に満たされた心で僕は操に礼を言った。

 それから操は悟を見掛ける度に声を掛けてくるようになった。それから次第に遊ぶ回数も増え、二人で話す機会も自然と増えていった。濃すぎるノリとイタズラに疲れる事も多々あったが、根の優しさのようなものに安心感もあった。

 だが仲を深めた大きな理由は明確だった。

 その理由が、悟達の放課後の時間を新しくした。


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