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プロローグ

初めまして、山猫と申します。今作が初投稿、処女作となります。

内容の良し悪しは二の次でとにかくエタらないことだけを目標としていきます。


あとこのプロローグ、サブタイをプロローグにするか焼きそばパンにするか本気で迷いました(笑)

あと短いです、ごめんなさい。


「ねぇとら、お願いがあるんだけど」

 


 朝礼の五分前。教室に入りクラスメイトと簡単な挨拶をかわし席に着くなり乾が話しかけてきた。

 


 「それは俺個人への頼みか? それとも助っ人部主将としての俺に対する頼みか?」

 


 きちんと確認と言質をとっておかないとあとが厄介だ。俺はその辺はしっかりしているつもりだ。

 


 「助っ人部主将のとらにお願いがあるの!」

 


 まぁそうだろうな。俺が乾の個人的な頼みを俺個人として受け付けるなどと考えるほど甘いことを考えるようなバカじゃないからな、乾は。ここまでは予想通り。問題は報酬だ。まぁ、先に依頼内容を聞いてもいいんだが、やっぱり先にモチベーションに関わる方を聞いておかないとな。

 

 「報酬は?」

 

 俺のこのセリフは予想していたのだろう。乾が自身ありげにその豊かな胸を張り、腰に手を当てて報酬を告げる。

 

 「購買の焼きそばパン二つでどうよ!」

 

 「なに!?」


 ただの焼きそばパンと侮るなかれ。うちの高校の購買の焼きそばパンと言ったらアレだ。数量限定十五個、お値段一つ千円という、うちの高校内ではもちろん近所の他校にもその名を轟かせる究極の焼きそばパンだ。

 競争率約五十倍。千人もの生徒を抱えるマンモス高校であるうちの高校だが、そのうちの七割が究極の焼きそばパンを求めて毎日激しい戦いを繰り広げるのだ。

 生徒達だけでなく教師陣も当然その戦いに身を投じる。以前校長が焼きそばパンを求めてアメフト部のライン二人の間に身体を割りこませながら必死に千円札を掴んだ右手を伸ばしていたのを見たときは『この学校大丈夫か?』と本気で思ったものだが。

 そんな焼きそばパンを二つも報酬をして頂戴できるとは……一体どんな依頼だ?

 そもそもどうやって二つも手に入れるつもりだ?あれは数量限定な上、お一人様1個までのはずだ。

 

 「報酬は確実に貰えるんだろうな? そもそもどうやって準備するつもりだ?」

 

 「ラグビー部の田代君と陸上部の井山先輩にお願いしておいたから大丈夫よ」

 

 「なっ!? 田代と井山先輩……だと?」

 

 ラグビー部の田代。焼きそばパンハンターで知らないものはいないだろう。彼は伝説の焼きそばパン五十回連続獲得という金字塔を打ちたてたのだ。だが連続五十回目の焼きそばパン獲得を最後に彼は焼きそばパンレースには参加していないはずだ。

 噂によると五十回連続焼きそばパンを購入したことで彼の懐事情が大変なことになった上、他の生徒からお前が参加すると限定十五個じゃなくて、限定十四個になるというクレームを受けレース参加を自粛するようになったらしいが、その彼を説得したというのか……。

 そして陸上部の井山先輩。現在三年生の彼は受験生ということで焼きそばパンレースに参加することこそないが、二年生だった去年は当時一年生だった田代を凌ぐ精度で焼きそばパンを手にしていたという。

 それもそのはず、去年の全国大会で彼は100メートルを追い風参考ながら10秒フラットという高校新記録で優勝したのだ。

 確かに田代と井山先輩が焼きそばパン獲得のためにレースに参加してくれるというなら焼きそばパン2個は確実だな。

 

 「よし、依頼内容を聞こうじゃないか」

 

 「私と付き合って下さい!」

 

 「だが断る」

 

 アホかこいつは。いや、ホントは若干心が動いたけどさ。まだ二回しか食べたことないけど絶品だもんな、アレ。

 

 「うーん、やっぱりダメかー。焼きそばパン二つなら流石のとらもOKしてくれると思ったんだけどなー」

 

 「俺どういう風に思われてんだよ! ってかそういうお願いなら助っ人部としての俺じゃなくてちゃんと俺個人へのお願いとして言えよな」

 

 「でも助っ人部としてのとらにじゃないとまともに話聞いてくれないじゃーん!」

 

 そう言って頬を膨らませる乾。あざとい、可愛い。だが付き合わん。というか俺がした田代と井山先輩の説明にかかった時間を返しやがれ。

 

 「どんな手段で来ようが俺はお前とは付き合わないぞ。俺と付き合うにはまだフラグやらイベントやら好感度が足りん。もう少し頑張りやがって下さい」

 

 「じゃあがっつりフラグ立ってイベントこなしまくって好感度がカンストしたらもっかい告白するね!」

 

 こいつ、フラグやらカンストやらなんつー言葉を知っているんだ。一応うちのクラスの高嶺の花で通ってるだろうが。まぁ、こいつとのこういうやり取りは嫌いじゃないからいいけどさ。

 

 「そういえばさ、昨日の月9のさー……」と昨晩のドラマの話をし始める乾。


 「お前の切り替えの早さが羨ましいよ……」

 

 「ん? 何か言った?」


 「なんでもないよ。んで、月9がどうしたって?」

 

 そう続きを促すと楽しそうに話を続ける。


 やっぱこいつとは彼氏彼女っていう関係じゃなくて友人関係だよなぁ……。

 乾が聞いたらカンカンに怒りそうな、そんなことを思った。


 ――キーンコーンカーンコーン。

 

 ドラマの話に熱が入る乾の聞き役に徹していると朝のSHRの開始を知らせるチャイムが鳴り、担任が前のドアを開けて教室に入ってくる。

 

 「さぁ、朝礼だ。浜やんにどやされる前に席戻れよ、乾」

 

 「浜やん怒ると結構長いもんね、りょうかーい。じゃあ、また朝礼後に」

 

 いや、俺に話かけるんじゃなくて一限の準備しろって。なんて心の中で呟く。

 教壇に立った担任――浜やんが日直に号令を促す。

 きりーつきをつけーれいちゃくせーき。

 言葉を区切ることなく一連の文句を日直が発し、他の生徒が起立から着席を流れ作業のようにこなす。

 俺も多分に漏れずその作業をこなし、着席すると肘をつきながら浜やんの連絡をぼんやりと聞く。

 

 


 ――もう、半年になるんだな。俺がこの私立丹鹿学園(しりつにろくがくえん)に転校してきてから……。

 あの時、窓の外を見れば粉雪が舞っていたのに……。

 今はもう青々と茂る木々と、その木に止まりけたたましく鳴く蝉達が見えるような季節だ。



 まさか高校で転校するハメになるとは思わなかったよなぁ……。

主人公の名前もヒロインの名前もロクに出てこないプロローグ(笑)

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