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比翼の鳥  作者: 風慎
翼の章:序章
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第1話:片羽

初めまして。まずは、忙しい中、この作品を見てくださいましてありがとうございます。

拙い小説ではありますが、少しでも皆様の暇つぶしになればと思います。

 『比翼の鳥』というものを聞いた事があるだろうか?

 一眼一翼の伝説上の鳥だ。この鳥は、雄と雌で片目、片羽しか持たない。

 地上ではぴょんぴょん跳ねながら移動し、飛ぶときには2羽合わさってやっと飛ぶことができる。

 常に寄り添って生きることから、仲の良い夫婦を表す愛の象徴にもなっているらしい。

 けど、俺はこの鳥を知った時、こう思ったんだ。


 ――― 一人では生きられない悲しい生き物 ―――


 飛べない鳥なんて…肉食獣にとってはただのエサだ。

 あっという間に、飛びかかられて、はい、終わり。

 一人で生きて行くことが出来ないなら、どんなに美しくても、仲が良くても…意味ないじゃないか。

 地べたをはいずり回って、なけなしのエサを漁って、外敵に食われて死ぬか、冷たい雨に打たれて、死んで行く。

 ただ、ただ、力のない哀れな生き物にしか見えなかった。


 一羽の鳥は、それでもぴょんぴょん…。相方のいない鳥はぴょんぴょん…ガサガサ…。エサを求めてぴょんぴょん…。


 そして、気が付いてしまったんだ。


 ああ、なんだ…これは…


 俺と同じものだ…と。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 久々に、鬱マックスな気分で目が覚める。

 何か夢を見ていたような気がするが、内容は例の如くはっきりとは思い出せない。しかし、その夢の残滓が黒く頭の周りにこびり付いているようで不快だった。

 どうせまた、『落ちるか』『死んだか』『追いかけられ続けた』かしたんだろう。

 ゆっくりと上体を起こし、思いにふける。


 10年前。俺は25歳で、鬱病を発症した。

 詳しい事は省くが、そこからは一時期本気で人間を止めていた。

 本当に最近だよ。やっと自分の事を自分で良いと肯定できるようになったのは…。

 歩みは本当に少しずつだった。やっと人と話せるようになって、外に出られるようになって、今はなんとかバイトまで出来るようになった。半ニート生活だが、なんとかフリーターとして生きる所までは戻って来たと思う。10年かかっているけどな!

 世の中の仕事をしている皆さん。本当に尊敬するよ!俺は、普通に社会不適合者だったからね。

 まぁ、けど、そんなダメダメな俺も、家族には恵まれていた。

 普通ならきっと、追い詰められてそのまま自殺コースだった俺を、焦らず、ずーっと見守ってくれている。今も、心配こそするものの辛抱強くサポートし続けてくれる。

 普通なら焦ってさっさと仕事に復帰させるだろう?きっと自分が親ならそうするよ。

 けど、俺の親はそれをしなかった。仕事も出来ないごく潰しを、養ってくれたんだよ。何とかして、早く親孝行したいんだけどな…。残念ながら、道のりはまだまだ長い。けれどここまで来た。

 これからも少しずつ、しかし確実に前に進んでいく。そう決意して時計をふと見る。


『14:35』


 窓を見る。

 分厚いカーテンの隙間から、部屋の中に突き刺さらんばかりの陽光。

 「ぬぁああああ!?遅刻じゃないかぁああああああ!!!!」


 今日も平和な一日が始まった。

導入部分につき、短めです。小説自体初体験につき、色々問題もあると思いますが、寛大な心で読んでいただけると幸いです。

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