僕のミーコはどこですか?
◆◇◆◇◆◇◆◇
__________ミーコ、ただいまー。
ん?ミーコ?
ッ!!ミーコ?!
ミーコ!!!!!!!!!!!!
どこだ!!ミーーーーーーコォォォォ!!!!
なんか納得行かないけど、どうやら左遷ではないらしい。
でも、なんか騙されてる気がするんだよね。
犬山店長胡散臭いし…。
まぁ、でも今日は休みだし、店の周り探索して、挨拶行ってさっさと帰ってきてお買い物でも行こうかな。
――――「宇佐美ぃー宇佐美ぃー」――――
あ、降りなきゃ。
疲れたなぁー。さて通勤時間はどれくらいかかったかなぁ…
「はぁあ!?二時間半!?え、時計壊れてる?あぁああ、すいません!!」
「はい?」
「今、何時ですか?」
「い、今ですか?11:30ですね」
「あっありがとうございます」
「いぇ、では」
「あ、はい、ありがとうございました」
あーーーやっぱり。
家、9時に出たからやっぱり二時間半?!かかりすぎでしょ?寄り道してないし。
てか、ここホントに都内ですか?!
だめだ、引越ししようかなー。でもな、お金がなー。
てゆーか、さっきの人ちょっとイケメンじゃなかった?
いや、そんなことよりどうするの、通勤!
とりあえず、店に行ってみよう。
やっぱ、田舎じゃないの!
見なさいよ!こののどかなあぜ道!
駅から5分もしないうちに、この大自然。民家ばっかでコンビニもないじゃない。
うちの会社も馬鹿じゃないの?
こんな人もいないところに店建てて、そりゃ全国最下位にもなるでしょうよ。
こんな、大自然バンザイ的な場所で……腹立てたら喉乾いたなぁーあ、コンビニ寄ろっと
「ん?コンビニ?!」
てかあれ?いつの間にか舗装された道になってる。
町も結構賑わってるじゃない?どうゆう町の作りなわけ?!
砂漠のオアシスみたいな感じ?
普通、駅前から発展させてくんじゃないの?
まぁいいか、どーでも
「えっとーうちの店はっと…あ、あれね」
「いらっしゃいませぇー」
「あ、あの、私」
「はぃ!あ、パンプスお探しですかぁ?結構、すりっちゃってますもんねぇ」
「えッ!あのっ」
「あ!!わかった!学生さんですかぁ?就活ですかぁ?大変ですねぇーコレなんかいかがですか?
ヒールもしっかりしてるからぁ歩きづらくもないしぃインソールに低反発素材
使ってるしぃ土踏まずにもしっかりアーチサポートあるからぁ長時間歩いててもぉ
疲れにくいですよぉ」
「いえ、あの!」
「あ、デザインあんまりですかぁ?そうですよねぇーちょっと私服に使うにはシック過ぎますかねぇ
でもでも、このチャーム付けると印象全然変わりませんかぁ?
あ、チャームは別売りになっちゃうんですけどねぇー」
「わぁーホントですねー可愛い」
「でしょでしょ?優希的にはぁ、こっちのお花のチャームのが好きなんですけどねぇー」
「ホントだ。これも可愛いー!!…じゃなくて!!違うんです!」
「あ、パンプスじゃなくて、ブーツですかぁ?丁度、春の新作入ったんですよぉ」
「いやいや。そうじゃなくて!!」
「スニーカーですかぁ?」
「ちがうんです!私、お客じゃないんです!」
「え?」
「ッ私、シューズマート本店から参りました。早月 芽衣と申します。
明日より宇佐美店に配属になりました。よろしくお願い致します。」
「あぁあー!少々おまちくださいぃ店長呼んで参りますぅ」
「あ、はいありがとうございます」
なんか、すごい娘だなぁーまずトーク力がすごい。
靴の情報もちゃんとしてるし、さり気なく小物もおすすめできてるし
犬山店長はこうゆうことを学ばせたいんだろうなー
しかも、あの子相当可愛い…髪ふわふわだし、お目目ぱっちりだしお人形さんみたいだなー
ハーフなのかな?可愛いなー足も細いし…
なんか、同じ女として切なくなってきた、なんでこうも違うのかね。
歳はそんな変わらなさそうなのになぁ。
私も髪伸ばそうかなぁー。
「お待たせ致しましたぁ~」
「お待たせ致しました。店長の時田 奏と申します。」
「初めまして、明日よりお世話になります。早月 芽衣です。」
「あ、今朝の」
「え?あ、さっきの時計の!!その節はお世話になりました!!」
「ふふッいぇいぇ。大丈夫でしたか?」
「あ、はい、全然だいじょうぶです」
「それは、よかったですね」
「ねぇ~ねぇ~店長ぉお知り合いだったんですかぁ?」
「えぇ、先ほど駅前で会いましてちょっと。それより佐倉くんはちゃんと挨拶されましたか?」
「あ、忘れてましたぁ。改めまして、佐倉 優希ですぅ~レディースコーナー担当
しておりますぅ~」
「あの、今、時田さん、佐倉くんって?」
「はい、こちらは佐倉くんですよ?」
「佐倉ですぅ~」
「いぇ、ですから、『くん』って」
「はい。彼は男の子ですから」
「はぁ?!」
「はいぃ男の娘なんですぅ~」
「えぇぇぇぇ」
「あ、でもでもぉ、女装が趣味なだけでぇ恋愛対象はちゃんと女の子ですよぉ~」
なにこの敗北感。てゆうかなんですか、ここは顔面偏差値が高すぎやしませんか?
犬山店長……キラキラしてなにも見えません。
佐倉ちゃん…いや、佐倉くんもすっごく美形なんだけど、この時田さん…。
ケタ違いじゃないですか?
なんてゆうの鼻筋通ってて切れ長の目…それにっ!!この笑顔!!!
完璧!!!どんぴしゃのタイプです!!!
「じゃなくて!!!」
「はい?どうしました?早月さん」
「え?!いや、すみません。
つい、心の声が!!!」
「??そうだ、早月さん失礼ですが、お住まいはどちらですか?」
「え?都内ですが」
「それはそれは、ここまで来るのに大変ではありませんでしたか?」
「そうなんですよー。結構時間かかっちゃって」
「引っ越して来られるのですか?」
「そうしたいんですけど、今から探すのもと思ってまして」
「でしたら、うちのマンションに越して来られますか?」
「へ?」
「丁度、空き部屋もありますし」
「優希もぉ、店長のマンションに住んでるんですよぉ」
「でも、引っ越すのにもお金かかるし…」
「それは、今度の定休日に皆でお手伝いしますよ。
家賃もそうですね。
僕のお手伝いをしていただくと言うことで免除でどうですか?」
「えぇ!悪いです!せっかくのお休みに手伝っていただくなんて!
それに、私、店長補佐なのでお手伝いするのは、仕事の内なので!!」
「優希は全然お手伝いしますよぉ~」
「決まりですね。
閉店後にご案内しますので、それまでお待ちいただけますか?」
「えぇ?!そんなッ」
「佐倉くん、もう上がりですよね?
早月さんにこの辺りの案内してていただけますか?」
「はぁ~い!もちろんですぅ~でも、優希、夕方から用事あるんでぇそれまでなら!」
「大丈夫ですよ。またここに連れて来ていただけたら」
「今日からですか?!私、何も持ってきてませんし!!」
「了解ですぅー」
「ちょっとーー私の意見は無視ですかーーーーー!!!」
半ば強引に引越しが決まってしまった。
なんなの、この店は…私大丈夫なのかしら……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
想像以上の豪華なマンションだわ。
こんなトコ、私のような貧困層が住んでよいものか。
てゆうか、宇佐美町からひと駅なのになぜここまで違うのだろうか。
かなり都会的なんですが……
「あの、ホントに大丈夫なんでしょうか?」
「なにがですか?」
「家賃免除なんて…」
「払いますか?一ヶ月15万ですが。」
「じゅっ15万?!」
「えぇ。敷金礼金を入れると今月はもう少しかかりますね」
「免除でお願い出来ますでしょうか」
「ふふっ始めからそのつもりですよ。
さぁ、部屋は僕の部屋の隣になりますが大丈夫ですか?」
「はい。住まわせていただくだけで!!」
「では、行きましょうか」
――ガサガサガサッ
「ひゃッ!なんの音ですか?」
「猫ですかね?変ですね。この辺は猫除けが多くて野良猫が寄り付かないんですが」
「ーコ、ミーコどこだ。ミーコ」
「早月さん何かいいましたか?」
「いぇ、てゆうか、今の明らかに男性の声でしたよ」
「そうですか?それはそれは失礼しました。そこの草むらからですね」
時田さん、今の絶対わざとだと思うんですけど。
でもなんで、マンション脇の草むらに人が?
「ミーコ。ミーコ」
「あの、すみません。
どうかされましたか?」
そこから顔を出したのは、パンクロッカーのような風貌の泥まみれの若い男性でした。
「あ、どうも。
ちょっと、ペットが居なくなっちゃって」
うわー。なんか私苦手なタイプかも。
髪キンキンだし。変なバッチつけてるし。
不審者だし。
「それはそれは、一緒に探しましょうか?」
「ありがとうございます。でも、大丈夫っす。
ここはもう探したんで。
他を当たります」
「では、もし見かけたら保護しておきます。
種類は何でしょうか?犬ですか。猫ですか」
「いえ、ほんと大丈夫なんで。
俺一人で探すんで。
ありがとうございました」
なんだありゃ、行っちゃった。
時田さんすごいなぁ
凄い普通に接して、私なら気後れしちゃってあんなに話できないだろうな。
「なんだか、変わった人でしたね」
「そうですね。これは、なにかありますね」
「なにか?なんですか」
「僕の勘が正しければ、大変な事態ですよ。」
「確かにすっごい怪しいですけど、ペット探してるって言ってましたよ?」
「はい。早月さん少しお手伝いしていただけますか?」
「え?なにをですか?」
「ペット捜索です」
「え、こんな時間から?もう22時ですよ?!」
「知ってます。でも、家賃ですよ?お手伝い」
「あぁ。拒否権ないって言いたいんですよね。
わかりました」
「ありがとうございます。では、まず僕の部屋で場所を特定しましょうか」
なんだろう。
凄い成り行きで時田さんの部屋に、べ、別に全然意識とかしてないし
全然いいんですけど?
てゆうか、ペット捜索でなぜ時田さんの部屋?
外行かないの?特定ってなんですか?
「どうぞ。」
「あ、はい、お邪魔します」
そこは、モデルルームで見たことあるような白で統一された空間
生活感が無さすぎて落ち着かない。
「適当に座ってください。コーヒーでいいですか?」
「あ、はい。すみません」
なんだ、なんてスマートなんだ!!
イケメンはすべてイケてるのか?!
なんか私、悔しいんですけど、完璧すぎてこの人が憎くなりつつある!!!
「どうぞ。さて、早月さん先ほどの男性でなにか気づいたことはありますか?」
「頂きます。そうですね、変な格好だなーって思いました。ッズズ
あ、すごい美味しいですね!!このコーヒー」
「ありがとうございます。それだけですか?」
「え?コーヒーの感想ですか?ホントにこんな美味しいの初めて飲みました!」
「違いますよ。さっきの男性で気づいたことですよ」
「あッ!すみません。んー。あっ変なバッチつけてました!!
こう、ドーナツ型の黒いやつ」
「そうですか。よく見てましたね
ワンちゃんがゆうほど、悪く無いですね」
「ワンちゃん???」
「いえ、あのバッチはこの近くのライブスタジオのものですね」
「ライブスタジオですか?」
「ええ。このマンションの先にあるスタジオです。
そこの関係者の証明書みたいなものですね。しかも色が黒ということは下宿人でしょう。」
「下宿もできるんですか?そのスタジオ」
「はい、2階に何部屋かあるみたいですよ。
服装から見るとおそらくそこのスタジオで活動されてる方みたいですね」
「時田さんなんでも知ってますね」
「いえいえ。そこのオーナーの方がうちのお客様で以前聞いたんですよ」
「はぁ。そうなんですか」
小さな町だし、近隣に店舗もないから皆集まって来るのだろうか。
リピーター様で宇佐美店は成り立っているのだろう
「で、それがどうしたんですか?」
「さぁ。わかりません」
「はぁ?!どう言うことですか?」
「まぁまぁ。さて、では出かけましょうか」
「どこにですか?」
「現場ですよ」
「??」
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何処行った。まじでやばいって
ミーコが居なくなってから半日もたってしまった。
あいつの速さでそう遠くにいけるはずはない。
「相模さん!!!」
「ん?あぁ、吉野か」