episode002 学園生活を謳歌せよ
バレンタインの惨劇から四年後。
攻撃された渋谷はいまや人が住めない状態に陥っていた。生き残った渋谷の人々はテロ活動を続けながらかろうじて生活している。
あの日攻撃を受けたのは渋谷だけであり、六本木や新宿など他地区は都市機能を維持している。
二〇二六年。東京は新日本政府に護られているが、テロリストの攻撃は止むことはない。同じ日本人同士で熾烈な抗争が起きている。
だが、暢気な生徒はそのことを重大視していない。
東京のとある学園。
第一桜高等学校。生徒の考えを優先的に考慮する学園であり、行事等は全て生徒だけで実施する。クラブ活動の申請や遠征など、生徒が考案した計画は生徒会が受諾すれば行える学園であるため、教師面々は行事への関わりが少ない。
その代わり、生徒会は毎日仕事が多いのが玉にきずだ。
そして何より特徴的なのが、変わり者が多いということである。
「おはよう、みんな」
男子生徒が入ったのは二年A組の教室。このクラスの生徒は特に変わり者が多い。
「おう、おはよう瞬!」
声をかけられて男子生徒は振り向いた。教室に入って真っ先に挨拶を返してくるのは決まって同じ男子生徒だ。
秋山瞬は自分の席に座り、身体の向きを後ろに向けた。
後ろの席に男子生徒が座っている。くせ毛の多い髪に透かした瞳。入学時より身長が大分伸びてしまい制服が窮屈になったので大分着くずしている。
名は矢神悟。瞬と悟は一緒に学園内でサークルを立ち上げた。サークルの活動目的は特にない。ただ気楽に遊んで暮らそうというだけだ。
「あいつはまだ来ていないのか。あいつは騒々しい奴だから」
瞬は辺りをキョロキョロと見回すが、探している人物がいる様子はない。
「あいつって変わってるけどさ、なぜか女子にモテるんだよなぁ。人気者はやっぱ違うのかなぁ」
「まあ、あいつの良いところなんだからそれでいいじゃないか」
クールな表情を崩さない瞬も女子にモテるけどな、と悟は心底想っていた。
「ああ、俺はなぜモテないぃぃぃ!」
「あんたがうるさいから!」
「うわぁ!クラスの女子の声ってなんてうるさいんだ……ガクッ」
「おいおい、高校生が死んだ真似か?」
「まあそれもそうか」
2人が雑談を楽しんでいる。そこへ一人の男子生徒が現れた。
「おおおす!」
なんと、自転車で教室に入ってきた。




