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治療?解剖?

《訓練所》


2人の試合?を眺める四人の生徒がいた。


「はぁ、会長はなんて無茶をするんですか。」


「本当ですね。よく彼が死んでないものです。」


「……本当に。」


「へへへへ♪皐月ちゃんいいよ~。そのまま身体中傷だらけにしてねぇ♪」


「「「……。」」」


1人おかしな人物がいた。


「…あの久留野さん。久留野紅葉さん?」


「ん?何かな。」


「何か彼に恨みでもあるんですか?」


「?別にないよ。おっ!今、いいところに切り傷を作ってくれたね!これは治療しがいがあるよ♪」


久留野紅葉は木戸慧護が傷だらけになる姿を見て嬉々と喜んでいる。それだけで彼女が彼をどうするのか理解した。他の3人は木戸慧護の冥福を祈り心の底から合掌した。


ここだけでわかるように久留野紅葉は異常者だ。彼女は人間の体にとても興味があり詳しい。肌色の引き締まった筋肉、白く軽く硬い骨、紅く身体中を巡る血液、汚れを知らないピンク色の臓器とあらゆる生物の体が大好きなのである。…いわゆる肉体フェチだ。どれくらいかというと彼女が体を見ればその人間の生き様がわかる程。そんな彼女に目をつけられる程の生徒。木戸慧護と藤原皐月、生徒会長である藤原先輩のほうは解る。あの磨き抜かれた肉体は羨ましいを通り越してもはや、芸術の極みだ。……そんな彼女と同じくらい気に入られたあの生徒はおそらくそんな藤原先輩と同類なのだろう。なんせ、医術保険委員会の長《解剖》久留野紅葉に興味を持たれたのだから。









試合が終わり俺は藤原先輩に魔力狩りについて詳しい話を聞く事にした。


「魔力狩りについてだがそれ程詳しい事はわかっていない。犯人は女で事件は必ず夜に、しかも手紙で呼び出されている。……それくらいだ。」


「手紙で呼び出されているって、そいつ等何ですんなりついて行くんだ?」


「女からの呼び出しだ。この学園に行かない馬鹿はいない。」


……何だこの信頼のされ方は、嬉しくねぇ!


「まぁ、あとは死んだ生徒全員の両手が切り落とされている事くらいかな。」


「なるほど、つまり能力を使えない状態にして殺されたって事か。」


「あぁ、そうなるな。……そこで一つおかしな事があるんだ。」


まだ何かあるのか?


「死んだ生徒の死亡原因なんだがみんな自分の能力で死んでる。」


「……自殺って事か?」


「いや、それだと両手がない理由が解らない。私は魔力狩りは相手の体を操作出来る奴じゃないかと思っている。」


確かに、それなら自分の能力で死んでる理由も解るし、両手がないのも自殺じゃないって事を示したかったのかもしれない。


「だから基本的に捜査は2人組で行っている。片方が操られてももう一人が何とかできるからな。」


なるほど。


「そこでお前にはこれから捜査に参加するメンバーを紹介しようと思う。」


そう言って藤原先輩は訓練所の端にいる生徒を呼び出す。


「こいつらが捜査に加わるメンバーであり生徒会の役員だ。…一人違うが。」


俺の目の前に4人の生徒がいる、


「こいつが副会長の浜田哲平だ。ランクは3だ。」


「よろしく。」


「こちらこそ。」


黒髪に眼鏡をかけた優等生って感じだ。柔和な顔立ちがより一層そう見える。


「書記の水野直美。同じくランクは3だ。」


「……。」


「よろしく」


静かに頭を下げて来た。肩まで伸びた黒髪に整った顔立ち、美少女だ。…この学園は美少女が多いな。


「会計の日野薫だ。ランクは3だ。」


「あんたは⁈」


「朝お会いしましたね。よろしくお願いします。」


こいつは俺をこの学園に連れて来た張本人!生徒会のメンバーだったのか⁉


「そんなに睨まないで下さい。私は学園長に命令されただけなんですから。」


…まぁ、そうなんだろうけど。俺の中ではこいつは悪女だと叫んでる。


「以上が生徒会のメンバーだ。みんな仲良くしてくれ。」


「ちょっと!皐月ちゃん⁉私、私!私も紹介してよ⁉」


「いや、お前はメンバーじゃないだろ?……それに関わりたくない。したければ勝手にしてくれ。」


「はっきり言い過ぎだよ!まったく、皐月ちゃんが紹介してくれないから自分で言うよ。私は久留野紅葉、医術保険委員会の会長してます。」


薄く茶髪の入った髪を三つ編みにして大きな眼鏡をかけている。おまけに白衣を着ている。


「こちらこそ。って!あんたも会長の一人なのか⁈」


「そうだよ♪」


…か、関わり会いたくねぇ!


「…自己紹介も済んだし、俺も教室に行かないといけないからそろそろ行くよ。」


俺はそそくさとにげようとする。


「いやいや、木戸君まで皐月ちゃんみたいな真似しないでよ。私は君の体を治してあげようと思ってきたんだから。」


「…俺の怪我をか?」


「そうだよ!これでも医術のトップだからね♪だから、ちょっと服を脱いでそこの休憩室のほうで横になってほしいんだよ。」


紅葉は俺の手に触れる。藤原先輩につけられた傷がみるみるふさがっていく。


「……あんたの能力か?」


「そうだよ。『繋ぐ』それが私の能力。皮膚、筋、神経、骨すべてを繋ぎ合わせてあげるよ♪周りからは解剖の錬金術士と呼ばれているよ。」


スゲぇ、それが本当なら体に出来た傷のほとんどを治す事ができるじゃないか!俺はすぐに久留野先輩に頼む事にした。


「久留野先輩よろしくお願いします。」


「木戸慧護!よく考えろ!確かに怪我は完璧に治るかもしれないが、『はい、皐月ちゃん黙ってね♪一緒に来る?』……。」


途中藤原先輩が何か伝えようとしたみたいだが久留野先輩が話しを遮り聞けなかった。…おい、何で胸で十字を切るんだよ⁉


「木戸君!早く早く!」


久留野先輩がすごい手招きしている。


「…わかりましたよ。」


俺は不安を感じながらも久留野先輩について行く事にした。




《休憩所》



サクッ!



…あれ?体が動かない。俺が横になると同時に何かが切れる音がした。


「…久留野先輩?何故か両手両足の、ってか!顔以外身動き一つ出来ないんだが⁈」


「うん♪だって脊髄の神経ちょん切ったから。お陰で痛みもないでしょ?」


「いや、治療するのにそんな事する理由がないだろ⁈」


「だって、逃げられたら困るもん。」


「何をする気ですか⁈」


「大丈夫。ちょっと体を弄るだけだから。」


「意味がわからねぇ!お前何もんだよ⁈」


「久留野紅葉。趣味は解剖、特技は解剖、好きな事は解剖のちょっとシャイな17才♪」


「解剖好きすぎだろ!あとお前は絶対シャイじゃない!」


こんなアグレッシブな17才見たことない!


「えへへ♪だって、ここまでしないと逃げられるからね。」


そう言いながら両両手両足に手錠をつけていく。


「こんなんされて逃げられるか⁈」


「前に皐月ちゃんは麻酔をかけて意識もたったのに本能で逃げ出したよ。…科学的にはあり得ない。」


藤原先輩マジでスゲぇ!てか、これかよ藤原先輩が気にしてた事は。


「…何でこんな事するんだ?」


「うーん。好奇心!だって、木戸君の体おかしいよ?」


「…何が?」


「普通の体にしては歪すぎる。バラバラだよ。歩くのすら難しそうなのによくそんな体で日常生活が行えるね。」


……。


「私が綺麗に繋ぎ治してあげようか?分解、理解、再構築だよ♪」


「順番が少しおかしくないか⁈」


バラして、調べてから繋ぎ合わせるつもりだ!


「てか本当に結構だ!怪我はもういいから帰してくれ!」


「さあ!準備は出来たかな?」


「出来るか!話を聞け!」


「イッツァ!ショータイム!」


「お前っ!ぎゃーーー!!!」










《訓練所》


一時間後、俺は解剖…ではなく解放された。


「大丈夫だったか?」


少し罪悪感があるのだろう。バツの悪そうな顔で訪ねて来た、。


「…あんなにバラされたのに…あの世に逝けない!」


「いや、もうお嫁にいけないみたいなノリで言われても。」


「そんなつもりで言ってねぇよ!」









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