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4話《氷眼》工藤初。

〈工藤初〉



何でこんなことをしてるんだろ。


私は今、大勢の男子生徒に囲まれて決闘を申し込まれていた。しかも、毎日、毎日。


この学園には7歳の時に入学したけど別に恨まれるようなことをした記憶はない。だけど、昔からよく男の子に絡まれる。たぶん、私がこの学園の3強の一人だからだろう。


それでも昔にくらべればましだと思う。昔は朝昼晩の毎日のように男の子に決闘を挑まれていた。例えば、朝、下駄箱に「放課後、屋上で待ってます。」と言う果たし状が入ってたり、昼休みには「工藤さん!僕と突き合って下さい!」とか「隙だー!」と襲いかかって来る人がいたりした。


……この事を親友に話したら何故か大爆笑された。

……ブホホ!なんて笑い方あの時、初めて聞いたよ。


そして、いつの間にかに私に勝てたらデート出来ると言う話になっていて人数がさらに増えた。


面倒になった私は決闘は朝だけ相手になる、ということにして10分で済ませることにした。そのせいで毎日がこんなふうにお祭り騒ぎになっている。


……本当何でだろう?









《木戸慧護、本田メグル》


俺達は階段に腰掛け試合を観戦する体勢にはいる。


「なぁ、メグル。今の話が本当ならあの娘がランク2なんだよな?」


「そうだよ。それがどうかした?」

……あの蒼髪とか人違いじゃないよな。


「あっ、そろそろ始まるみたいだよ。」

試合の場所を見ると蒼髪の美少女と大勢の生徒の間で小さな少女が右手を上げて叫んでいる。声は聞こえないがどうやら開始の合図みたいだ。そして、右手が降り下ろされ大勢の魔力持ちによる攻防が繰り広げられ――


――ませんでした。


「……は?」


合図と同時に一斉に生徒が逃げ回り始めた。


「何やってんだ?あいつら。」


生徒全員が彼女の後ろに回り込もうと必死に走っている。


「フフフ。まぁ、いきなりだとそう思うよね?……見てたらわかるよ。」


そう言ってメグルは微笑んでいる。どういう意味だ?そう思いながら見ていると突然、数人の生徒が氷漬けになり始めた。


「えっ?何だ!」


「フフフ。驚きましたか?」



「……あれが能力か?」


「そうです。彼女は物を氷に変えます。」


「触れてないだろ。《魔力持ち》は基本手を触れた所しか変えられないはずだ。」


「そこが彼女をランク2にしたといってもいいですね。……慧護君がさっき言われましたが普通は《魔力持ち》は手に魔力を持っています。ですが、彼女は珍しい手ではなく眼に魔力を持っています。」


「……眼にか?」


「はい。そのせいで彼女の能力発現範囲は視界に映る全てです。」


……反則じゃないか。普通の能力者は手に触れないと能力が発現しない、所謂接近戦だ。なのに一人だけ遠距離から攻撃出来るんだから最強だ。


「……流石というか何というか。」


見ると次々と生徒が氷漬けになっていく。


「……なるほど。右眼を一度閉じて開く事が凍らせる条件か。」


「……よくわかったね?そうだよ、工藤先輩の能力は触れなくて良い分段階を踏まないと発現しないんだよ。……まぁ、それでも1秒かからないんだけどね。けど、本当に凄い洞察力だね。どう、一緒に諜報部に入らない?」


「……いや、偶々だから。それに、諜報部って何か危なそうだし。」


「そんなことないよ、相手の個人情報や最近の噂を調べたりするだけだし、それでお金を貰えたりするんだよ。」


絶対に危ないから!


「特に工藤先輩の情報はかなりレアだよ。彼女のバストサイズが分かれば50万円貰える依頼とかくるし。」


「いやいや、馬鹿だろソイツ。いったいどんな奴だよ。」


「ウイウイのメンバーとかですよ。」


「ウイウイ?」


なんだそれ?


「あぁ、すみません。工藤先輩のファンクラブの事です。『工藤初にウインクされたい!』略してウイウイです。」


「そんなのがあるのか!」


てかネーミングセンス無さすぎる!


「はい、因みに今年に入って3000人を越えました。」


「この学園の半分!……どんだけだよ。」


「まぁ、それだけ工藤先輩は人気があるって事ですよ。因みに設立今年で8年目です。」


……ツッコミきれねぇ。


俺とメグルがそんなどうでもいい話をしている間に残り生徒は10人をきっていた。








《工藤初》



「アイス!」


また一人氷の氷像に変わった。これでいったい何人目だろう。……いい加減目が疲れてきた。


「クソッ!今日こそは倒してみせる!」


「馬鹿言え!それは俺の台詞だ!」


「ウイタ~ン!」


……残り8人、やっぱりランク5以上はしぶとい。最初のほうに凍らせればよかったんだけど、他の生徒(氷像)が邪魔で狙いがつけられなかった。


「俺が先に行くぜ!」


一人が氷像の影から大量の小さな物を投げつけてきた。……キーホルダーくらいの剣?


「戻れ!」


生徒の声と同時にそれが通常の剣のサイズで襲ってきた。



「……アイス(盾)。」


それを氷の盾で防ぐ。その隙を付いて生徒が走りながら近付いてきた。


……面倒。


「アイス(剣)」


私は目の前に一本の剣を作り出し手に握る。


剣を構えて相手に斬りにかかる。


「はっ!剣まで使えるのか!」


生徒はまた手から剣を出し私の剣を受け止める。


……彼は触れたものを小さくしたり大きくしたり出来るみたいだ。


「今日こそは負けん!」


彼は強い意思で私を睨み付けながら押してくる。どうやら一度戦っているみたいだけど……


……覚えてない。


「……ひとつ教えてあげる。」


彼と剣をぶつけながら言う。


「私と戦う時は真面目からじゃダメ。……アイス!」


「クソッ!」


またひとつ氷像が追加された。


残り7人、他の生徒は攻めてくる様子はない。……面倒なので終わらせよう。


「アイス(螺旋階段)。」


全長15メートルくらいの螺旋階段が出来上がり、いったい何をするんだという眼で見られるが無視して私はその創った氷の階段を登り始めた。


上へ上へとまるで死刑囚のように登っていく。一番上まで登りきればグラウンドが一望出来た。


その頃になってようやく生徒が慌てだした。


……今更遅い、


「アイス(氷塊)。」


第八グラウンド全てを凍らせて私は朝の決闘を終了させた。


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