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入学式は行けず。

「ふぁー、眠い。」


現在6:30. 学生にとって睡魔と戦うベスト3に入る時間だろう。


太陽もまだ登りきっていない。目に映る景色は昼とは違い夜を感じさせる青くとても静かで肌寒い。まるで、別世界に来たみたいだ。……まだ頭が覚醒していないせいかもしれない。


今日は高校の入学式、俺の学力では無理だと言われていたが血の滲むような努力で合格したんだ。……不眠不休はきつかったが今はいい思い出だ。


これから通う高校は片道2時間かかる所にある場所なので起きる時間が毎日この時間だ。流石に憂鬱だ。まぁ、それ以上に楽しみではあるのだが。


訳あって俺は学校にまともに通っていなかった。だから学校がどんなところなのかあまり知らない。知り合いから聞いた処、「学校とは女の子と恋をしたり友と競い合ったりと時間を無駄に使って青春を謳歌する場所だ。まぁ、簡単に言えば集団で合コンするようなもんだ。」とのことらしい。


ぶっちゃけ意味がわからないが楽しいところではあるのだろう。……きっとあの頃よりも。


俺は人通りの少ないこれから毎日通うであろう道を迷わないように確認し覚えながら歩いていた。周りに意識がいっていたせいかもしれない俺は前にいる少女に気付かなかった。


「貴方が木戸慧護さんですね?」


その少女から声をかけられた。身長は160あるかないか見た目は整った顔立ち、肩まで伸びた艶やか黒髪と清楚お嬢様みたいだ。……だが、服装はゴシック調の全身黒一色、おまけに親指以外の指に銀の指輪を嵌めていてかなり怪しい。


「……あんた誰だよ?何故俺の名前を知っている。」


俺は身構える。が少女は笑顔で話し掛けてくる。


「そう、身構えないでください。私は貴方を学園に連れてくるようにお願いされて来ているんですから。」


「学校に?まだ入学式には時間はあるだろう。それに案内されなくてもちゃんと道は知っているから大丈夫だぞ?」


俺は時計を見るがまだ充分に間に合う事を確認。少女はそれに微笑み答える。


「いえ、貴方が受験した学校ではなく、魔力持ちの子供が通う学園、桜火学園にです。」


俺は顔にはださずに驚く。……こいつ、何故知っている。


この世界には《魔力持ち》と呼ばれる手に不思議な能力を宿す人間がいる。触れただけで石を金に変えたり、鉄を溶かしたりする等、人によって様々だ。この能力は産まれもってあるわけではなく、肉体もしくは精神に多大なダメージを受けた人間の事故防衛本能により発現するものと思われている。しかし、能力が発現したからといってそれを使いこなせるかというと答えはノーだ。そのため数えきれない程の事件がおこり問題となった。しかも、《魔力持ち》が発現するのは5~15歳までの間で精神的にも大人になりきれていない時期だ。その為大人達はこういった《魔力持ち》の子供に能力を教え教育するための機関を作った。それが目の前にいる少女が言った桜火学園だ。この学園への入学は《魔力持ち》と判明した日だ。そのため例え5歳であろうと本人が嫌がろうと強制的に入学させられる。そして、18歳になるまでこの学園から出ることを禁じられる。


「何のことだ?俺は《魔力持ち》じゃないぞ。」


「残念ながら学園長から確認はとれています。」


「……。待ってくれ!俺はこの日のために毎日死ぬ思いで勉強してやっとの想いで合格したんだ!それを「諦めて下さい。」」


まだ言い切ってないのに。


「せ、せめて一度でいいから学校に行かせて「駄目です。」」


「くっ!何で?!」


「私の遊ぶ時間が……貴方が今日から受ける授業に間に合わせるためです。」


「今、個人的な理由が入ってたよな!」


「気のせいです。」


「いや、遊ぶ時間がって言ってたし。」


「グダグダおっしゃらないで下さい。時間は有限ではないのですから。」


そう言って少女は俺に近づいてきた。


クッ、不味い!このまま捕まったら逃げられねぇ。


俺は少女に背を向けて逃げようと後ろを振り返る。しかし、


トンッ


「言い忘れていました。」


振り返った先にはもう少女がいて不敵に微笑む。


「私も《魔力持ち》なんですよ。……チェンジ。」


その瞬間、俺はその場所から消え、代わりに銀色の指輪が俺のいた場所に転がった。

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