2日目:だーるーいーーーーー!!!
朝の違和感 碧海は引っ越してまだ2日目。目覚めた瞬間、ふと「ここはどこだっけ?」と思う。見慣れない部屋、聞こえてくるのは都会の雑踏ではなく、遠くから微かに聞こえる波の音。「そうだ、おじいちゃんの家に来たんだった…」と改めて現実を確認し、溜め息をつく。
◆ネットと現実の狭間 いつものようにスマホを手に取り、ネットの世界に潜る。しかし、いつもの友人たちと話す気になれない。
碧海「わたしの環境が変わっても、あいつらは変わらず画面の向こう側にいるんだよな」
と、ふと虚しさを感じる。そんなとき、ふと聞こえてきたのは
おじぃ「今日も海は最高だぁあーっ!!!」
という、やたら元気な声。
碧海の家に同居しているおじいちゃんは、何かとテンションが高い。
碧海「おじいちゃん、朝から何叫んでるの?」
おじぃ「海がオレを呼んどるんじゃぁああ!!」
という意味不明な言葉を残し、玄関を飛び出していた。
碧海「やっぱ静岡、静かじゃないな…」
と思いながらも、おじいちゃんの楽しそうな様子がちょっと気になった。
碧海「…海か」
そこに行く理由はない。でも、なぜか行ってみたくなった。スマホをポケットに突っ込み、気づけば家を出ていた。
波の音に飲み込まれて 海へ着くと、想像以上に広がる青さに圧倒される。
碧海「デカいな…」
と、ただ呟く。都会にいた頃はこんな景色をじっくり見ることなんてなかった。ネットでは何でも知った気でいたのに、実際に目の前にすると言葉が出ない。ただ波が押し寄せては引いていく音を聞いていると、なんだか思考が少しずつ溶けていくような気がした。
そして、遠くで楽しそうに体操をしているおじいちゃんの姿が見えた。なぜかめちゃくちゃ派手なアロハシャツを着ていて、動きも大げさだ。「なんであんなに元気なんだ…?」と思いながら、碧海は砂浜に腰を下ろし、波を眺める
「なんでここにいるんだろう?」そんなことを考えていると、遠くから 「うおおおお!!!」 と叫びながら走ってくる人影が。
少女「うわあああああ!やばいって!!」
碧海が顔を上げると、目の前を猛スピードで走る少女がいた。海辺なのに全力疾走。しかも妙に楽しそうに笑っている。「なんだあれ…?」と碧海が戸惑う間もなく――
衝突、そして大惨事 。 少女は走りながら、何かを避けようとしてバランスを崩す。そして次の瞬間、碧海のすぐそばで盛大に転んだ。
「ぎゃっ!!」 「…え?」
バシャーン!!と大きな水しぶきが上がり、汐音は波に突っ込んでいった。碧海も巻き込まれて、足元が濡れる。
少女「え、ちょっと…」「最悪だーーー!!!」
と少女が海水まみれになりながら笑っている。 えっ?なんで笑ってるのこの子?
碧海「なんで走ってたの?」と碧海が少し引きながら聞くと、少女は満面の笑みで
少女「輝きがほしくて!」と返す。
碧海「…は?」
少女 「なんか楽しいことないかなって思ってたら走りたくなった!」
碧海「いや、意味がわからん…」
少女は濡れた服を気にしつつ、
少女「てか君も濡れちゃったね!」と碧海を見る。
碧海「うん…まあ、そうだね」
少女「ごめん!でも、なんか面白くなかった?」と無邪気な笑顔。碧海は
碧海「いや、むしろ最悪だけど」
と言いながらも、その勢いに少し戸惑う。
少女「私汐音!よろしく。」と名乗った。
汐音は「昨日の波のせいで、絶対なんか面白いものが流れ着いてる!」と碧海を無理やり連れ出す。
案の定、砂浜には謎の古びた木箱が。
汐音「これは絶対海賊の宝箱!」と汐音は大興奮。
碧海「いや、ただのゴミじゃない?」
と碧海は冷静だが、開けてみると、中には古びた釣り道具が入っていた。
汐音「これ、もしかして伝説の釣り師のものだったりして?」
碧海「さすがにそれはない」と呆れた顔で言った。
汐音「せっかくだから使ってみよう」と言い始める。
碧海はもう何が何だかわからない、この子は一体なんでこんな図々しいの!?
汐音は手に入れた釣り道具を使って、海釣りに挑戦することに。しかし、汐音は釣りをしたことがなかった。
碧海は理論派なので「釣りのコツをネットで調べよう」と慎重に調べようと思った矢先。
汐音「とりあえず投げれば何か釣れるでしょ!」と勢い任せに始めようとしていた。
箱に入っていた仕掛けっぽいものと餌っぽいものを適当に結び本当に投げ始めた。
結果、汐音は海藻を釣りまくり、
汐音「あ~もう海藻しか釣れないじゃ~ん」
と言いながらもずっと笑っていて楽しそうだった。
汐音「碧海もやってみ」
と糸を渡されなぜか気が付いたら投げていた。碧海はなぜか魚ではなく靴を釣り上げる。
碧海「え、これ誰の靴!?」
汐音「知らないけど歴史的価値あるんじゃ…?」
と盛り上がるが、釣り自体全くの初心者の二人にはまだ何もわからなかった。
その日の夕方、二人は波打ち際で釣りをしていると、突然大きな魚が跳ねる。
汐音「あれは…伝説の魚!?」
と汐音が叫ぶが、実際はただの普通の魚。しかし、その瞬間、夕日が海に溶けるように輝き、二人はしばし無言になる。
汐音「なんか…すごい綺麗だね」
碧海「うん…」
汐音「こんな時間、毎日作れたらいいのに」
碧海「…趣味にしたら?」と碧海が言い出す。
汐音「釣り部作ろ!」
碧海「え、今の流れで釣り部?」
汐音「「だって、毎日に輝きを求めてるなら、海で釣りって最高じゃん!」と汐音はノリノリ。
こうして「海で輝くための釣り部」を立ち上げることを決意。しかし、学校にそんな部活が認められるのか、他に誰か入るのかはまったくの未定。それでも汐音はワクワクしながら、次の釣りの計画を立てる。
汐音「次はもっとでっかい魚を釣るぞ!」
碧海「いや、まず部活申請しないと…」と軽く言ったとき思った。
汐音って名前しか知らないけど学校一緒なの?何年生?頭の中で考えた。
汐音に聞こうと「ねぇっ?え?ってーーーーーーーー!!!」
汐音は「またねーー!」と叫びながら猛スピードで走っていった。
お前マジで「だーるーいーーーーー!!!」って!思う碧海
すると遠くからおじいちゃんが叫んでいた。ハイカラ過ぎてすぐわかる、、、
周りに人がいたら無視していただろうと遠くから
おじぃ「夕飯だから帰るぞー」
と叫んでいたのだろう?と思いながら帰ることにした。
ご飯を食べお風呂に入り今日あったことをネットの友達に話した。
「田舎のガキ大将みたいな子」「ゴミが宝箱ってw」「頭がお花畑」などいろいろな意見が飛び交う中、「自然いっぱいなところで暮らすってピュア」「俺も静かなとこでまったり暮らしたいー」などの意見もあり「明日はなにするの?」と聞かれたので「絶対引きこもる!外界に長くいすぎた!」といい布団に入るのだった。
今日のことを思い出しながら嵐のような汐音との出会い、ずぶ濡れになったこと、なんでも楽しそうなで「私とは真逆というか、絶対に合わない」と思いながら海に沈む夕日が頭に浮かぶ。
「釣りっておもしろいのかな?」でも魚触れる?「釣り部?」
まったく忙しい一日だったな。。。
気づいたら夢の中だった。
初めて物語を書いてみています、なにか感想やご意見などありましたら参考にしていきたいのでよろしくお願いします。