夕日の景色
遥か遠くに沈む夕日が、真っ赤に滲んでいた。
眩い程に世界を照らしていた日差しが、今は何処か優しい。
太陽の優しさが透き通った空にも伝播して、穏やかで長閑な色彩が芽生える。
それは仄かに揺らぐ橙色の光と、涼やかで心地良い爽風。
やがて昼と夜分かつ不思議な境界が、天地全てを包み思わず心奪われた。
時がとてもゆっくり流れて、そっと伸びる夕暮れの影が美しい。
まるで瞼を閉じるように日が落ち、残り香のような淋しさが後を引く。
この儚くも好きな瞬間を噛み締めながら、夜の帳を静かに受け入れる。