閑話1
バーが完成した!
カウンターの奥でネルがオレンジジュースを飲む横でデギマルが嬉々とインフルエンサーのゴシップを話している。
相手はカミラだ。
そして、1番手前にキオスクのオーナーが座っている。
今日のキッチンはサキちゃんが担当だ。
「なんでオーナーがいるんだよ!!」
「いやあ、こちらでゲームセンターを経営してらっしゃったんですねー! 新しくバーが開くと聞いてね! 奇遇なもんですね!」
わざとらしいなこいつ…サキちゃん狙いか??
受付の子も連れてこいよ。
「そういえば、最近巷で話題のソマホ狩り、知ってますか?」
「ソマホ狩り?」
「そうですよ、なんでも特殊個体を倒した冒険者を狙って殺害する冒険者がいるらしいんですよ」
「なんの意味があるんだそれ」
「そりゃ特殊個体を倒した人間も、倒されてしまったら特殊個体のスキルは倒した人に移ります。弱肉強食ですね。それが狙いです」
「そんなことできんの?! 物騒だな」
「ここのみなさん、珍しいスキル持ってますからね、気をつけてください。あ、そろそろ戻らないとだ」
話すだけ話して帰って行った。
面倒ごとも去ったし!
久々にゲーセンを楽しむか!!
そうだ、俺は元々自分が楽しみたくてゲーセンを作ったんだ!
大猿の入ったクレーンゲームに向かう。
俺の店だが、俺が取ったら俺のもんだ!!
大猿とハーピーの入ったクレーンゲームは長蛇の列ができている。
この店は全て実力機だ。
それでは
俺の実力を見せてやろう!!
100円を入れる。
—アームを動かす音
軽快なリズムでアームが動く。
こういう箱のプライズはアームを3つ使わない。
2つのアームでピッタリ挟むんだ!
—ポトっ
腹立つようなリズムでアームから滑り落ちた。
は?!掴めよ!!もう一回!
「店長! 交代交代! 次オレー!」
あっけなく順番が回って来た。
大人しく店長に戻るかー。
バックルームに戻って来たがやることがないな。
全部カミラ達がやってくれちゃってるんだよな。
ご意見箱が目に入る。以前までは不人気店だったためご意見は一切寄せられていなかった。
久々に見てみるか?
どれどれ
おおおお、結構ご意見溜まってんな。
どれどれ?
「店長、もっと魔物増やそうよ」
「スライムとか雑魚ばかりで飽きて来た」
「サキちゃんとカミラちゃんを景品にしてください」
ぱっと見新キャラ欲しいみたいだな。
とは言ってもな〜、俺マホウ使えないしな。
麻痺さえつかえれば…
なんか良い方法ないかな。
ネット漁ってみよ!
「ダンジョン用武具専門店! 圧倒的なコストパフォーマンスをお約束します!」
ダンジョン用の武具ね〜。
マホウありゃいらねぇじゃん!
とか思ってた時期あったけど、俺ホカク持ちだったからそんなこと言えなくなっちまった。
なんか麻痺効果あるのないかな。
どれどれ
【パラライズウィップ、65000円】
たっけ!!
この茶色いムチがロクマンエン?!
ギリ払えなくもないけどギリきつい金額…
うぅ…どうしよう…
けどカミラ達に頼ってばっかりも嫌だしな。
バーカウンターからデギマルに大声で呼ばれる。
「おーい! 店長! 武器買うのか? なら俺がスポンサーやってるとこで買えばいいじゃん! そこなら手数料とか安くできるよ!」
「まじ?! どれ?」
URLを送ってもらう。
デギマルのどこで買える麻痺効果を持つ道具を調べると…
【マヒ弾 200円】
やっす!!
あ、これ使い捨てか。
だとしたら高いな。
「そんなもんだよ店長。それ普通に買おうとしなら1個500円だぜ?」
「あら…まぁこの値段なら少しくらい買っといても損はないか」
ポチー
試しに25個、5000円分買ってみた。
明日1人で山尾神社に行ってみんとす!!