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いつもお読みいただきありがとうございます!

エヴェリーナの熱が下がり、起き上がれるようになるまでに一カ月かかった。

心労などが重なったためでもある。


体力がすっかり落ちているが、なんとか座れるようになったエヴェリーナの前に四人の魔女、正確には三人+相変わらず鳥の被り物の一人が勢ぞろいしていた。


「アビゲイルだっぺ」

「妾はシャルロッテじゃ」

「……スカイラーです……えっと、ちゃんと魔女なので……」


上から順に老婆、ピンクの幼女、鳥人間の順である。


「で、私が君を誘拐したオルタンスだ」


そして、凛々しい女性。騎士服がとんでもなく似合っている。


「……誘拐って……自分で言った……」

「素直でいいっぺな」

「本人の同意がないのじゃから誘拐に違いないのじゃ」


「私達は魔女だ。そして君のこともすでに魔女にしてしまった」


「あっさり言っちゃうんだっぺな」

「……事実はまわりくどく……ない方が……いいよね?」

「もう人間に戻れんぞ」


オルタンスという魔女が淡々と口にするたびに、他の三人は律儀にツッコミを入れている。

それぞれのカラフルな髪色と、明かされる内容にエヴェリーナは目を瞬かせた。


「魔女になったからといってすぐ魔法を使えるわけではない。魔法を使えるようになるには修行が必要だ。さらにまだ人間の頃の名残で体に魔力が馴染んでいない。馴染ませる修行も必要だ。じゃないと魔力がうまく体内で循環せずに死ぬ。よってこれから修行を開始する」


「軍人みたいだっぺ」

「なんか……厳しそう……」

「どんまいなのじゃ」


「まずは滝行からだな」


「いや、それはアホだっぺや」

「いきなり……オルタンス、正気……?」

「あったまおかしいのじゃ!」


「む、滝行は早いか?」


「……体力も落ちてるから……ウォーキングを兼ねて……薬草採集から始めたら?」

「まず筋トレだっぺや。そのほそっこい腕を見るっぺ」

「恐怖心をコントロールするのにバンジージャンプからじゃ!」


「いや、バンジージャンプは風邪ひくだろう」


言い争いを始める魔女達。

エヴェリーナはポカンとしながら、その様子をしばらく眺めた。



「あのぅ、質問をしてもよろしいでしょうか?」


魔女達は声を発したエヴェリーナの方を一斉に向く。


「ほぅ、礼儀をわきまえたおなごじゃな」

「なんでも……聞いて」

「スカイラー、それはオルタンスのセリフだっぺ」


「なんでも聞き給え」


「オルタンス、偉そうなのじゃ」

「しー……話……進まない……」

「我々はお口にチャックだっぺ」


「魔女とは一体、なんでしょうか? 他国に魔法使いがいるとは聞いたことがありますし、おとぎ話に出てくる魔女についても知っております。どこか違うのでしょうか?」


「そうか、君の国には魔法使いも魔女もいないんだったな。失念していた。大昔だが南の国の魔女狩りはひどくてな、魔法使いも魔女も皆いなくなってしまったんだ。それによって君のいた国で魔法は失われていった。説明不足だったな、そこから説明しよう」


オルタンスは過去に思いを馳せるように目を伏せると、説明を始めた。


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