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ずっと友達

作者: ひろし

僕の名前は『大輔』、静岡の高校3年生の男子で大学に進学したいと思って受験勉強を頑張っている。


僕には保育園の頃から仲の良い幼なじみの友達がいる。


その友達は、おとなしくて優しい性格で泣き虫だ。


正義感が強い僕は弱いものいじめが嫌いで、いじめっ子からその友達がいじめられているのを見つけると仲裁に入って助けていた。


僕たちは、保育園、小学校、中学校、高校と一緒で、高校の今はクラスも一緒だ。


高校3年生になって間もないある日、僕はその友達に呼び出されて、好きだから付き合ってほしいと言われた。


いわゆる、告白されたのだ。


しかし僕にはその告白があまりにも信じがたいもので、告白そのものをどう受け止めたらいいのか、まったく理解できない複雑な心境に陥った。


なぜならば、僕に告白してきたその友達というのは、『優』という名前の男子だからだ。


僕は付き合うという意味が理解できなかったため、


「優とは、今までどおりずっと友達だよ!」


と優を傷つけないように、少しあやふやな返事をした。


その言葉を聞いた優は、少し悲しそうな表情をしていた。


優は小さな頃から女の子のような感じだった。


保育園、小学校低学年頃は特に女子と好んで遊んでいるような感じだったが、小学校高学年頃から女子には相手にされなくなったようで、独りで遊んでいることが多かったように記憶している。


そんな優を見て僕は、小学校高学年になると休み時間に他の男子と話をするときに優にも声をかけて話の輪の中に一緒に入れたり、学校の授業が終わって他の男子と一緒に帰るときに優も誘って一緒に帰ったりするようにしていた。


相変わらず優はおとなしくて存在感が薄かったが、でも優は決して悪い奴じゃないということを僕は知っている。


優は僕が小学校に筆箱を忘れるとシャープペンシルと消しゴムを貸してくれたり、宿題でわからないところがあると熱心に教えてくれたりした。



----------



中学校に入っても優は相変わらずおとなしくて、男子の友達の輪の中にはなかなか入っていけないようだった。


だから僕は小学校の頃と同じように、男子の仲間に入るように優に声をかけていた。


中学校3年生のある日、優と2人だけで帰る機会があり、この時優が神妙な面持で話しをしてくれた。


「何で僕は男の子に産まれたんだろう?」


もちろん僕にはその答えが分からないわけで、優は何か深い悩みを持っているようだということを知った。


同じ高校に合格して入学すると優と僕は同じクラスになり、僕は優と一緒に行動することが多くなった。


僕が優をリードして、優が僕に従ってついてくるといった感じだった。


僕と2人きりになると優はいつも笑顔で、僕がコーヒーショップでお茶しようとか映画を観に行こうと言うと、何も文句を言わずに優は僕についてきてくれた。


僕は優とは友達だと思っていた高校3年生になって間もないある日、僕は突然優に告白されたわけだ。


まさか男子から告白されるなんて思ってもみなかった僕は、正直どうしたらいいのかわからなかった。


だからといって、僕は優のことをおかしなやつだとか、偏見の目で見るようなことは決してしなかった。


僕は正直、優とはずっと親友でいたいと思っていたのは確かだからだ。


高校3年生の夏休みを過ぎると、僕は受験勉強で忙しくなった。


高校の授業を終えてから予備校に通ったりするようになり、優と一緒に過ごす時間は少なくなっていった。


僕は東京の大学を目指していて、優も大学に行くのだろうと思っていた。


それは、優は僕よりも成績が格段に良いからだ。



----------



ある日、高校の授業が終わって帰るときに優と一緒になった時、僕は優に質問してみた。


「優は、どこの大学に行くの?」


すると、優は少し悲しそうな顔で、


「大学には行かないつもりだよ!」


と話してくれた。


「何故?」


僕はこんなことを聞いてもいいものかと思いながらも、優なら許してくれると思って率直に疑問をぶつけてみた。


「父の会社が倒産して、家が経済的に苦しいと思うんだよ!


 父と母は大学に行きなさいと言ってくれているけど、申し訳なくて…」


優が苦しい胸の内を話してくれた。


こればかりは、僕も助けることができないと思って、


「そっか!


 大変だね!」


と当たり障りのない返事をした。


「大ちゃん、受験勉強手伝うよ!


 分からないことがあったら教えるよ!」


突然、優が僕にこんな話をしてきた。


僕はよく優から勉強を教えてもらうことがあって、


「ホント、助かるよ!」


と優に感謝の言葉を返した。



----------



12月に入って受験勉強が佳境になると、優は僕の自宅に来てくれて僕の受験勉強を手伝ってくれた。


予備校の模擬試験前日は、深夜遅くまで付き合ってくれて、僕のことを親身になってサポートしてくれた。


その甲斐あって、僕の模擬試験の成績は順調に伸びていって、偏差値は希望の大学の合格ラインを超えることができた。


1月に入ると2日間の大学入試センター試験があって受験したが、僕は手ごたえを感じていた。


2月には、一般入学試験があって、僕は3つの大学を受験したが、どの大学の試験も手ごたえを感じていた。


2月の終わりになると合格発表があったが、僕は無事受験した3つの大学全て合格した。


僕は、この合格発表の結果を真っ先に優に連絡した。


「優、大学合格したよ!


 これも優のおかげだよ!


 本当にありがとう!」


すると優は自分の事のように喜んでくれたが、その反面優は少し寂しそうな発言もしていた。


「大ちゃん、本当におめでとう!


 でも、大ちゃんが東京の大学に行くと、会えなくなるんだね!」


僕は、優を元気づけようと思って、


「また、会えるよ!


 優とは、ずっと友達だよ!」


と自分の正直な気持ちを伝えた。


高校の卒業式に参加した優と僕は、一緒に帰宅することにした。


この時、僕は優と話がしたいと思って、優をコーヒーショップに誘った。


席についてから、僕は優に質問した。


「これから優はどうするの?」


「まだ、就職決まっていなくて…


 就職口を探しているところだよ!」


僕は優は僕の受験勉強に付き合ってくれて、その間就職活動ができなかったのかもしれないと少し責任を感じた。



----------



「優、就職活動僕に何か手伝えないかな?」


僕は受験勉強に協力してくれた優に、何か恩返しがしたいと思って自分の素直な気持ちを伝えた。


すると優は、いつものように遠慮した口調で、


「大丈夫だよ!


 あわてて就職決める必要もないから…」


と少し笑顔で答えてくれた。


でも僕は、自分の気持ちがおさまらなくて、


「僕は優に助けてもらってばかりだから、何か恩返しがしたいよ!」


とさらに強い口調で詰め寄った。


すると優の顔から笑顔が消えて、真剣な眼差しで優の思いを話してくれた。


「助けてもらっているのは、私の方だよ!


 大ちゃんはいじめっ子から私を助けてくれたり、なかなか男の友達の中に入っていけない私を仲間に入れてくれたりしたよ!


 そのたび私は、大ちゃんに何か恩返ししたいと思っていたんだよ!


 今回大ちゃんの受験勉強の手伝いができて、本当に良かったよ!」


僕は優の気持ちを知ることができて、心から嬉しかった。


「優、改めて言うね!


 受験勉強助けてくれて、本当にありがとう!


 優とは離ればなれになってしまうかもしれないけれど、優とはこれからもずっと友達だよ!」


僕は優に心の底から感謝の気持ちを伝えた。



----------



高校卒業後、僕は東京に引っ越しをして、アパートでの独り住まいを始めた。


最初は少し寂しい感じもしたけれど、少しずつ慣れていった。


大学は4年制で理工学部の電子工学科だったせいか、女子が少なくて僕は恋愛もすることなく、また留年することもなく無事4年間で大学を卒業した。


大学卒業後就職した会社は自動車メーカーで、入社後2ヵ月間の新人研修を受けて、僕は主にエンジンの研究開発をする部署に配属された。


この部署の上司や先輩社員は皆頭が良い人達ばかりで、僕は仕事についていけるのかどうか心配だった。


でも僕は積極的にわからない点を隠さず上司や先輩社員に質問すると、皆丁寧に教えてくれた。


僕は、頑張れば何とかなるだろうという気持ちで仕事を頑張っていた。


僕の会社は週休2日で土曜日日曜日が休みだが、週末金曜日のある日、上司からたまには飲みに行こうと誘われた。


まずは居酒屋に入ってビールで乾杯し、料理を注文してお腹を満たした。


この時の上司は、僕の実家の話や学生時代の話などのプライベートのことを聞かれたが、特に隠し立てをすることもないので正直に答えていた。


僕が静岡出身であることを話すと、静岡のおいしい食べ物や富士山の話になって盛り上がった。


お腹が満足すると2軒目に行こうと誘われたので、僕は翌日は会社が休みだし、せっかく誘っていただいたので一緒に行くことにした。


2軒目は、こじんまりとした少しオシャレなお店に入ったが、このお店は上司行きつけのスナックとのことだった。


ママさんにボックス席に案内されて座ると、上司がボトルキープしているらしい焼酎が机の上に置かれた。


「焼酎でいい?」


上司の質問に僕は、


「はい、いただきます。」


とはきはきと答えた。


そのうち、もう1人女性店員さんが席についてくれて、


「水割りでいいですか?」


と質問してきたので、


「はい、いいです!」


と返事をしたが、僕はその女性店員さんの声に違和感を感じた。


それは、声が少し低いからだ。



----------



「大ちゃん、元気にしてた?」


声に少し違和感を感じていた僕は、突然名前を呼ばれて驚いた。


でも僕は、その声に何となく聞き覚えがあった。


僕は女性店員さんの顔をまじましと見つめると、その女性店員さんは幼なじみの優だった。


「優」


僕が少し驚いた口調で言うと、優は笑顔で頷いた。


「何だ、君たちは知り合いか?」


上司が驚いたように言ってきたら、優が答えてくれた。


「私と大ちゃんは静岡出身で、高校の同級生だったんです。」


優は髪型がロングのストレートでメイクも濃いめにしていて、とても美しい女性に変身していた。


「優は、ここで働いているの?」


「そうだよ!


 ママさんは、男の私を女性として雇ってくれているの…」


優の言葉に、僕は驚いてばかりだ。


僕は優は今幸せなんだろうかと率直に感じた。


「優は高校卒業後、ここで働いているの?」


僕は高校卒業後の優のことを知りたくて質問した。


「高校卒業後、すぐに就職口は決まらなくていろいろ探したら、静岡の旅行会社の仕事が見つかって就職したの…


 でも、なかなか仕事になじめなくて2年程して旅行会社を辞めて上京して別の仕事を探したら、男が女性として働ける仕事があることがわかったのよ!


 それは夜の仕事でおかまバーなんだけど、体験入店して働いてみたけど、この仕事も性格的に合わなくて入店するのをやめたのよ!」


僕は優が苦労している状況がわかると、身につまされる思いがした。


優の話は続いた。


「私が就職口を探していると、転職情報サイトでスナックの店員募集の記事を見つけたのよ!


 そして面接を受けた時に私は男だけど女性として働きたいということを話して、その私の気持ちを理解して雇ってくれたお店がこのお店なのよ!」


話しを聞いているうちに、僕は優の事がだんだんと心配になってきた。


それは優の顔をまじまじと見ると、優は痩せたような感じがしたからだ。



----------



「優は、このお店で働き始めて、どのくらいになるの?」


「1年と少しかな!」


化粧をした優はまったく男性には見えなくて、美しい女性になっていた。


見た目だけではなくて、しぐさや振る舞いも女性そのものだった。


「お店に来るお客さんは、優が男性だと気付かないんじゃない?」


「そんなことないよ!


 やっぱり話しをすると少し声が低いから気付かれているみたいだよ!」


優の話し方は高校の頃と変わらなくて僕には少し懐かしい感覚と、見た目は変わっても高校の頃と変わらない優を感じていた。


「優、今度飲みに行こうよ!


 飲んだ後、同伴でこの店に来た方がいいのかな?」


優は満面の笑顔で、


「うん、いいよ!」


と元気に返事をしてくれた。


この日の優と僕は、高校の頃の思い出話で盛り上がった。


時間を忘れて話していると、そろそろ終電の時間が近づいてきて上司から声をかけられた。


「そろそろお開きにしようか?」


「はい、今日は誘っていただいて、ありがとうございました。」


僕は、上司にお礼を言った。


会計している時、僕はスマートフォンの番号とLINEのIDを優に伝えた。


帰り際に僕は、


「ママさん、ご馳走様でした。


 優、また来るね!」


と言って店を出た。



----------



アパートに帰ると、さっそく優からLINEのメッセージが届いていた。


「大ちゃんと再会できて、私はとても嬉しいよ!


 今度、飲みに誘ってね!」


このメッセージを見て、僕も優と再会できたことが心から嬉しかった。


翌週末の金曜日、僕はさっそく優を誘って飲みに行った。


優は勤めているスナックのお店の中だけでなく、外でも女装していた。


優が行きつけの小料理屋に連れて行ってくれて、おすすめの料理を注文してくれた。


僕は優のことをいろいろ知りたくて、少し突っ込んだ質問をしてみた。


「優は、『ニューハーフ』なの?」


「いいえ、私は『おとこのこ』だよ!


 『おとこのこ』は、男の子供の子と書く『男の子』ではなくて、男の娘と書く『男の娘』だよ!


 いわゆる、『おかま』なんだけどね!」


優の説明がよく理解できなかった僕は、さらに質問した。


「『ニューハーフ』と『男の娘』って違うの?」


「違うんだよ!


 『ニューハーフ』は女性ホルモンの注射を打っているんだけど『男の娘』は女性ホルモンの注射を打ってなくて、純粋に女装しているだけなんだよ!


 『男の娘』は、『おかま』だけでなくて『女装子』と呼ばれることもあるんだよ!」


この話は、僕のまったく知らない世界の話だと痛感した。


「大ちゃん、実は私も女性ホルモンの注射を打とうかと思ってるんだ!」


僕は優の体の事が心配になって、優に質問をぶつけた。


「女性ホルモンの注射は、何か体に影響しないの?」


優は少し神妙な面持で答えてくれた。


「女性ホルモンを摂取すると副作用が起きる可能性があったり、海外の研究機関では癌になる可能性があると発表されているんだよ!」


僕は急に優のことが心配になって、


「できれば、やめたほうがいいんじゃない!


 優の体の事が心配だよ!」


と自分の正直な気持ちを伝えた。



----------



「大ちゃんは、相変わらず優しいね!」


優は微笑みながら、


「大ちゃんのお嫁さんになる人がうらやましいな!」


と少し恥ずかしそうに話をした。


小料理屋でお腹が満足すると店を出て、優と僕は優のスナックに移動した。


スナックではカウンターに座って、カウンターの中の優とカウンター越しに話しをした。


僕はこのスナックに通うことになるだろうと思って、焼酎のボトルをキープすることにした。


優と話をする時間はとても楽しくて、僕は時間を忘れて優との話に夢中になっていた。


終電の時間が近づくと、僕は帰りを惜しみながらスナックを後にした。


僕は、週末の金曜日になると優と飲みに行って、そのままスナックに同伴することが多くなった。


優と過ごす時間は楽しくてそして癒されて、僕にとってはなくてはならない時間になっていた。


12月に入って寒さが増した頃、僕はインフルエンザにかかってしまった。


優にこのことを話すと看病に行くと言ってくれたが、僕は優にインフルエンザをうつしたくないと思ってアパートには来ないように伝えた。


しかし僕は、インフルエンザをこじらせてしまったようで、肺炎を引き起こしてしまい入院することになった。


この頃から、優が心配して毎日のように病院にお見舞いに来てくれた。


そればかりではなく、僕の身の回りの世話をしてくれた。


僕は学生時代の頃から優に助けてもらってばかりで、優には感謝しきれない気持ちで一杯だった。


優の親身の看病によって僕は順調に回復し、無事退院して仕事に復帰することができた。



----------



2月14日、この日は珍しく優から飲みに誘われた。


優が個室のある居酒屋に案内してくれて、店に入るとまずはいつものように生ビールで乾杯した。


料理を注文して待っている間に、


「大ちゃん、これバレンタインチョコレート!」


と言って、優がカバンからチョコレートを取り出して手渡してくれた。


実は優は男性なのに、僕は何の違和感もなく受け取った。


「優、ありがとう!」


優は少し微笑みながら頷いたが、どことなく寂しそうな雰囲気だった。


「優、どうかしたの?」


優は少し沈黙していたが何か思いがあるようで、神妙な面持で僕に話しをしてくれた。


「大ちゃん、私高校の頃、大ちゃんに告白したの覚えてる?


 やっぱり大ちゃんにとって、私はただの友達なのかな?」


僕は高校の頃優から告白されて、複雑な心境になったことを思い出した。


しかし今の僕は優のことを男性だと理解しているが、女性を好きになるように優のことを好きになっている自分がいることに気が付いていた。


「優、僕も優のことが好きだよ!」


僕は、優に対して自分の気持ちを正直に伝えることができたことに、自分自身でも驚いていた。


この言葉を聞いた優は、少し涙で目をうるうるとさせながら、


「ほんと!


 嬉しい!」


と僕の目をまっすぐに見つめながら言った。


「優、僕達一緒に生活しないか?


 男同士だから結婚できないけどね!」


優は、また沈黙してしまった。



----------



優は何か考えているようで考えがまとまったのか、僕に話しをしてくれた。


「私、まずはホルモン注射を打つ!


 そして、性転換手術する!


 そうすれば、戸籍上女性になって、大ちゃんと結婚できる!」


僕は、驚きのあまり言葉が出なかった。


確かに優の言っていることは間違いないけれど、ホルモン注射と性転換手術はどちらもリスクがある。


優の僕に対する気持ちは、生半可なものではないことは十分に理解できた。


今の僕にとって優は、大切な存在だ。


だから、優にリスクのあることをしてもらいたくない。


僕は、率直に話しをした。


「優、ホルモン注射と性転換手術は、やめてもらえないか?


 僕にとって優は大切な存在で、優にリスクのあることをしてもらいたくないんだよ!」


優は少し納得がいかないようだった。


「それじゃ、大ちゃんと一緒になれない!」


僕は戸籍上優と一緒になることにこだわっていない。


でも優は僕と戸籍上も一緒になりたいようだ。


そこで僕は、別の提案をすることにした。


「パートナーシップ制度がある地域に引っ越しをして、そこで一緒に住まないか?


 全国的には、パートナーシップ制度のある自治体は少ないけれど都内にもあるよ!


 そこに引っ越しをしてパートナーシップ制度を認めてもらおうよ!


 パートナーシップ制度は、女同士、男同士が、男女が結婚したのと同等の権利を得ることができるんだよ!」


優は僕の真剣な発言をしっかりと聞いてくれているようだった。



----------



「大ちゃん、私大ちゃんについていく!」


優は僕の提案を理解してくれたようだ。


僕は今言わなければ後で後悔するような気がして、自分の気持ちを優にぶつけてみることにした。


「優、僕は優のことを一生大切にするよ!


 だから、僕と結婚してください。」


突然のプロポーズに、優はとても驚いたようだった。


「私男だから、子供産めないよ!


 それでもいいの?」


優の発言に、僕は真剣に答えた。


「優が子供を産めないのは承知の上だよ!


 優、もし僕達の間に子供を授かって育ててみるんだったら、養子縁組という方法もあると思う!


 2人で相談して決めればいいと思うよ!」


僕が優と一緒になることを真剣に考えていることが優に伝わったようだ。


優は涙を流しながら答えを返してくれた。


「大ちゃん、こんな私で良ければ結婚してください。」


僕はとても嬉しかった。


「今日は、作戦会議をしよう!」


優は笑顔になって、


「まずは、パートナーシップ制度のある自治体を探すところからかな?」


と積極的に発言してきた。


この日の優と僕は、明るい2人の将来について話し合った。


まるで時間が止まったかのように、2人の時間は終わることなく永遠に続いた。


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