告発と反論
それは、異母妹アニカの葬儀を終えたすぐ後のこと。
私ディアナ・ブライトと婚約者マリウス・ローランドが、怒りと悲しみに震える両親──と言っても、父の現在の妻は妹の実母なので、私には義理の母に過ぎないが──に、我が家の居間へと呼び出されたのは。
「──さて、マリウス君。お聞かせ願えるかな? 我らが愛娘アニカに、あろうことか毒を盛った理由を」
「あなた、何を仰るの!? アニカの死の原因は、ディアナの化粧品でしょう! あの娘はあれを使った途端に倒れて、救急車の到着を待たずして息を引き取ったのよ!? ならば毒を盛ったのは、持ち主だったディアナに違いありません! その証拠に、ほら! 彼女の顔には涙の跡もないではないの!」
相も変わらず、甲高いお声の義母だこと。愛娘が亡くなったのみならず、殺されたと思っているのだから無理もないけれど、耳障りには変わりなく。
まあ、私が妹のことで一粒の涙もこぼしていないのは事実なので、言い訳はしない。元より、姉妹仲がいいなどとは口が裂けても言えない間柄だから。葬儀の最中はヴェールで顔が隠れていたので、周囲にごまかす手間は省けた。事情をよく知る親戚や我がブライト・グループの社員たちもいたけれど、そうではない上に口が軽すぎるという面倒な方々も参列していたしね。
とは言え、言いがかりには違いないので、ここはしっかり反論させていただきましょうか。
「……お義母さん。いくら普通ではない状況とは言え、あんまりな言葉だわ。私が妹に毒を盛っただなんて……そもそも、どうして私がそんなことをしなければならないの?」
「決まっているでしょう! だってアニカは──」
大企業の一翼を担う会社社長の妻として、日頃はわざとらしい淑女ぶりを殊更にひけらかしている普段とは程遠い様子で、義母は口を大きく開けたまま、とても不自然に声を途切れさせた。
悲しみのせいだろう、濃い化粧の上からでも分かるこけた頬を、ひとすじの汗が伝う。レディらしからぬ振る舞いやその汗は、間違っても悲しみが原因ではないけれど。
無理もない。ここにはマリウスという、家族ではない上に大手取引先ローランド社の重役と跡取りを兼ねる人物がいるのだから。可愛い可愛いアニカが、腹違いの姉の所有物を日常的に掠め取っていただなんて、他人の前で明言できるわけがないものね。ええ、既婚者だった父に色仕掛けで言い寄った挙げ句、まんまと子供まで身籠るような、厚顔無恥を極めた気性であっても。
けれど生憎と、いくら多忙な身とは言え、できる限り頻繁に私とデートをしているマリウスは、せっかくのプレゼントがほとんど身に着けられていないことに気づかないほど鈍感な人間ではない。私の趣味を知り尽くしてもいるので、アクセサリーや服を気に入らなかったなどという誤解をするような人でもないし、そもそも私は聞かれれば正直に説明をしている。だって隠す理由がないから。
何よりパーティー等に顔を出せば、見目の良い男性を数多く侍らせるアニカが、彼女の姉へ贈ったはずの品物を何故か誇らしげに身に着けていたことが何度もあったのだ。それでおかしいと思わない方がおかしな話よね?
そんなマリウスは、恐ろしいほどに整った顔立ちを一切崩すことなく、淡々と義母へ続きを促す。
「──アニカ嬢は、何なのですか? ミセス・ブライト」
「い、いいえ……その。と、とにかく! ディアナは、腹違いの妹だからと、ずっとアニカのことを憎んでいたのです! ですからきっと、化粧品に毒を入れて、アニカが使うように仕向けて──」
「いい加減にしないか、アマリア! あの化粧品は、アニカが使うまで未開封だったと、警察が言っていただろう! それにディアナは、アニカが化粧品を持ち出すのを必死に止めようとしていて、それは私もお前も見ていたはずだ! アマリア、お前がなさぬ仲のディアナを疎んでいるのは知っているが、無実の罪を被せるなどという真似は絶対に許さん!」
「そ、そんな、あなた……!」
いつも甘やかしてくれる夫からの叱責に、愕然とする義母。
でも父にしても、今になって妻を叱ったところで、とうに手遅れなのだけどね。それに、無実の罪云々は貴方も同じなのよ、パパ?
「では、ミスター・ブライト。あなたが先ほど僕に仰ったことは、『無実の罪を被せる』ものではないと?」
「当然だ。アニカの死因となったのは、マリウス君。君がディアナに贈ったプレゼントなのだから。それがアニカの使用直前まで未開封だったと言うならば、毒はあらかじめ、ディアナの手に渡る前に仕込まれていたとしか考えられないからな」
「まあ! ではパパは、よりにもよってマリウスが私を殺すつもりだったと言いたいの!?」
「──何?」
あんまりな言い分に抗議すれば、父はあからさまに不意を突かれたという表情になった。
……まさかご自分の言葉の意味を理解していないのかしら。悲しみの余り錯乱してのことだとしても酷すぎるわ。ブライト・グループの社員が有能揃いなのは紛れもない事実だけれど、そのうちの一社とは言えトップがこうでは、先が思いやられてしまうわね。
グループ会長を務める母方の祖父が一連の発言を聞いていたら、即座に首を切られるどころか、この家を含めたお二人の財産が完全に凍結されて路頭に迷う羽目になりそう。何せ祖父は、私じゃなくマリウスが実の孫かと思うくらい彼と気が合っているものね。でもいくら仲が良くても、二人がかりで私を徹底的に甘やかそうとするのはやめてほしいと切に思う。
二十五年前、祖父にも大歓迎されて娘婿となったはずの父は、そうとは到底思えない様子でこんなことを言ってくる。
「……ディアナ、何故そうなる。現に死んでいるのは、お前ではなくてアニカだろう」
「だって、パパが言ったのでしょう。毒はあらかじめ、私へのプレゼントに仕込まれていた、と。それならば、その毒とやらで殺されるはずだったのは、アニカではなくて私だと考えるのが自然ではない? でもマリウスに限って、私を殺すなどということは有り得ないわ。マリウスは私のことを、この世の誰よりも愛してくれているし、私にとってもマリウスは最愛の人だもの」
「ディアナ……嬉しいよ」
「マリウス……」
私の手を取ったマリウスは、手の甲や指先、手のひら、手首にと優しく口づけてくる。
マリウスは私の肌や長い髪の手触りをとても好んでいて、こうして隙あらばすぐに私に触れてくるのだ。問題の化粧品も、その手触りを保つために、彼の実家が経営するローランド社に開発させた完全なる特注品。最新のそれは、あえなく妹に奪われてしまったけれど……
少々濃い目の、文字通りのスキンシップはいつものこととは言え、嬉しくもやはり恥ずかしくて、顔が熱を持ってしまう。身内の葬儀を終えたばかりで不謹慎だが、こればかりは仕方がない。
幸か不幸か今は二人きりではないので、横から無粋な邪魔が入った。
「──つまりマリウスさん。貴方はアニカと正式に結ばれるために、ディアナを殺そうとしたのね!? あの娘は言っていたわ!『私は心からマリウスを愛してるのに、姉さんが邪魔をしてばかりで。彼だって私を愛してくれてるのに、どうして姉さんが婚約者なの?』と! だからきっと──」
「──ミセス・ブライト。妄想もほどほどにしていただきたい」
──ぞっとするほどの冷気が、さほど大きくもない低い声に乗り、部屋の隅々にまで広がっていく。
ああ、これはマリウスの堪忍袋の緒が切れる寸前だわ。
「あなたがた母娘には、揃って多大なる妄想癖があるようで、ディアナも僕も甚だ迷惑を被っています。あらゆる意味で僕の理想そのものであるディアナがいなかったとしても、自分がこの世界の中心であると信じて憚らないアニカ嬢のような女性など、何があろうとも伴侶とするつもりはありませんよ」
「……ひ、酷い……! 亡くなったアニカをそんな風に言うだなんて、何て残酷なの!」
「亡くなろうがどうなろうが、婚約者の僕も含めた、腹違いの姉の持つあらゆるものを全て奪い取ろうとしていたという、彼女の生前の所業は変わりませんからね。──それに、ミセス・ブライト。もしも万が一、いえ十億が一にもあなたの言っていた通り、僕とあなたの娘が恋仲だったなら、毒を仕込んだ張本人である僕は、『あの化粧品に触れば命に関わるから、何があっても触らないように』と、アニカ嬢にしっかりと言い含めておいたはずでは?」
「あ……っ!!」
意気込んで身を乗り出してきていた義母は、真正面から撃退されてあえなくその場に崩れ落ちた。未来の娘婿と勝手に見なしていた相手に、愛娘の悪行を知られていたことへのショックもあるかもしれない。
続いてマリウスは、父にも反論の余地がない事実を突きつける。
「そして、ミスター・ブライト。あなた方ご夫妻のお話の前提がおかしいことに、そろそろ気づいていただけませんか? 問題の化粧品に本当に毒が入っていたのなら、僕は既に被疑者か重要参考人として警察で取り調べを受けているはずで、そのことは即座にお二人の耳にも届くでしょう。何せ僕はディアナの婚約者なのですから、そんな事態になればこちらに知らせが来ないわけがありません」
「う……だ、だがアニカは、現にあの化粧品で──!」
なおもしつこく食い下がる父と、床にぺたりと座り込んでいる義母に、私は首を傾げて尋ねた。
「パパ、お義母さん。アニカを亡くされたお二人の悲しみは、私も重々承知しているわ。──でも警察の方々は、アニカの死は不幸な事故と結論付けたでしょう。それなのにどうして、マリウスや私に殺人の容疑をかけるなんていう、無駄に波風を立てるようなことをするのかしら?」
──純粋な疑問と言うには、我ながら少しばかり毒を含みすぎていた質問に、お二人は見事に顔色を失くして、凍りついたように固まった。
「そんなにも、あなた方ご自身の行いから──私の持ち物を奪おうとしたアニカを止めようともしなかったばかりか、むしろ抵抗する私の方がおかしいと言うように叱り飛ばして、みすみす彼女にとっての猛毒を使わせてしまったことから、目を逸らしたいの? どうして私があの時、『アニカにだけは絶対に、それはあげられないの!』と言ったのか、あの娘が死んでようやく気づいたんでしょうね。──お二人の妨害がなければ、私はあの娘が邪魔をされないよう部屋に閉じ籠る前に、間違いなくこう言っていたわ。『重い蜂毒アレルギーのあなたに、蜂蜜入りの化粧品なんて使わせるわけにはいかない。命にも関わる事態になるから』と」
そう口にした私は、自分でもはっきり分かるほどに、暗い嘲りに満ちた微笑を浮かべていた。
アニカがミツバチに刺されたのは、父が義母と正式に籍を入れ、彼女たち母娘が我が家で暮らすようになってすぐの頃。私が十歳、妹が七歳の時だから、ちょうど十二年前になる。
私の母はその二年ほど前に亡くなっていたので、別に重婚ではない。アニカの年齢が明らかに不倫の証だということが大問題だっただけで。
念のためということで、アニカのDNA鑑定は親戚一同の要請のもと速やかに実施された。もっとも、ブライト・グループは私の母方の一族所有なので、父と血の繋がりがあろうとなかろうと、アニカに会社関係の相続権は発生しない。そのため、財産面の揉め事は生じる余地もなく、父と義母の再婚は当事者の意思のみに委ねられる形となった。
ただ、私に環境の変化やら何やらで悪影響があってはいけないからと、祖父と伯父は私をブライト家本邸に引き取るつもりでいたのに、父は頑としてそれを拒んだ。確かに私はブライト家に連なる存在だが、同時に父の娘なのだから、と。
それはとうに成人した今でも変わらず、私は大学寮に入ることさえ許されなかった。無論これは、父が過保護だとかそんな理由からではない。
今にして思えば、明言や差別はされなくとも、父やアニカはブライト家の皆から向けられる感情の差を感じ取っていたのだろう。だからこそアニカは、正式な家族になった当初から、私に対して大小問わず様々な嫌がらせをしていたのだろうし、父は父で、次女を長女よりも贔屓するようになったのだと思う。……悪手でしかなかったけれどね。
盛大な前科持ちの父や義母はともかく、子供のアニカは、ないことないことで変に私を貶めるような言動をしなければ、いずれは親戚たちにも、私に対してと同じように接してもらえるようになったはずなのに。
アニカはミツバチに刺された時にも、「お姉様のせいで蜂に刺されたの」と両親に泣きついていた。本当は、自分がミツバチが止まっていたことに気づかず、花を乱暴に扱ったことが原因なのにね。
それがきっかけで後々、アニカに蜂蜜が食べられないほど重度のアレルギーが判明したこともあって、私はますます義母に嫌われ、父には敬遠されることとなった。
それからの十二年弱、我が家に蜂蜜製品が持ち込まれたことはない。私としては嫌いではなくとも好物というわけでもないから、別にどうでもよかったりする。むしろあの甘い香りが少し苦手だったので、どちらかと言えば家からなくなって良かったと言えなくもない。なお、義母は蜂蜜が大好物なので、私に対する感情に食べ物の恨みが上乗せされてグレードアップした気がする。
そんな私の肌に蜂蜜成分がてきめんに効くというのは、最初に聞かされた時は何とも不思議な気分になったものだ。香りの方もマリウスはしっかり考慮してくれて、ほぼ無香のものをいつもプレゼントしてくれる。
五歳年上の彼と婚約したのはハイスクール卒業間際で、大人な彼からの贈り物の数々に困惑しきりだったけれど、二十歳になる頃にはすっかり慣れさせられてしまったのだから恐ろしい。
まあ、あまり頻繁だと感覚が麻痺してしまいそうなのと、家に持ち帰れば妹に取られてしまうからと説得して、基礎化粧品以外のプレゼントは誕生日等のイベントの時だけにしてもらったのだけど。
基本的に貰ったものは全て、ブライト家本邸の私の部屋とマリウスのペントハウスに、それぞれ保管スペースを作ってもらってしっかりとしまい込んである。彼からのプレゼントが家族の目に全く触れなくなるのはおかしいからと、マリウスからの提案でカムフラージュ用の品物を持ち帰れば、漏れなくそれはアニカの餌食になってしまうのだったが。
とは言え、再来月の大学の卒業式以降はペントハウスでの同棲が決まっているので、マリウスのプレゼント攻撃の箍が外れはしないかと、密かにひやひやしていたりもする。来年予定の結婚式が前倒しになるから尚更だ。
私とマリウスの婚約成立後、入れ替わりでハイスクールに入学したアニカは、欲しがり病という名の嫌がらせを既に常態化させていた。そのせいか、マリウスからのプレゼントは無論のこと、マリウス・ローランドという存在自体にもアニカは執着するようになった。私が絡んでいなくとも、容姿権力財力地位とあらゆる面で、彼はあの娘の好みに見事なほどに合致していたから、こうなるのは時間の問題ではあったろう。
隣に私がいるかいないかは関係なく、場を問わず熱烈に彼にアプローチを仕掛けるものの、難攻不落を極めるマリウスには最低限を超える対応は一切してもらえないことで尚更、アニカの所有欲は際限なく膨れ上がっていったらしい。
元から敵視されてばかりの上に、よりにもよって相思相愛の婚約者を略奪しようとする妹へ好意など抱けるはずもない。極論すれば穏便な付き合いすら不可能だろう相手だけれど、いくら鬱陶しくても死んでほしいわけではないので、私は持ち帰ったプレゼントの中でも、蜂蜜成分入りの基礎化粧品だけは何があろうとも奪われないよう、とにかく厳重に管理していた。
けれどあの日、新たな贈り物をしまい込む前に、高まりすぎた所有欲に突き動かされた執念と、こちらの話を聞きもしない両親による援護射撃が加わった襲撃を受け、私はただただ無力を晒すしかなく終わってしまったのだった。
──「地獄への道は善意で舗装されている」ということわざは真実だと、この時ほどはっきりと実感したことはない。
若すぎる死を迎えた妹に対し、不憫に思う気持ちは確かにある。──だがそれとは別に、十二年間で溜まりに溜まった黒い感情が、彼女の死で何割かが目減りしていることも否定しきれない事実だ。
私のこんな胸の内を知れば、人でなしと罵る人もいるかもしれない。でも、想像してみてほしい。──大好きだった亡き母の形見や、最愛の恋人からの真摯な贈り物を、にやにや笑いながら無断で掠め取っていく相手と。その所業を咎めもせず、ただただ甘やかして助長するだけの存在のどちらにも、一切の負の感情を抱かずにいられる存在がいるのだとしたら、聖人でなければそれこそ、人ではない精神の持ち主しかいないだろう。少なくとも私は、心の底からそう思う。
そして今、紛れもない世俗の人間である私の嘲笑を見て、幸か不幸か義母は気力を取り戻したようだった。
「……何よ。アニカが死んだことが、そんなに嬉しいの!? そもそもあの娘のアレルギーのきっかけは、他でもない貴女でしょう!! それに、妹のアレルギー物質と知りながら、この家に持ち込んだあなたには責任がないとでも言いたいの!? 自分の持ち物が可愛い妹を死なせたというのに、よくもまあそんな風に笑っていられるものね!!」
見当外れもいいところの言葉に、私はついつい吹き出しそうになる。
「まあ酷い。相変わらずお義母さんは、私について誤解してばかりだわ。──私が笑っているのはアニカではなくて、パパとお義母さんよ? 姉の持ち物は妹の物、だからいつでも好きに取り上げて構わない──そんな風にお二人がアニカを育て上げた結果、愚かで愛らしくて不憫な私の妹は、自ら手にした凶器で重いアレルギー症状を引き起こし、たった十九歳の若さで死に至ったの。これはお二人が何と言おうとも変わらない事実であり、アニカの所業を知る誰もが賛成してくれるでしょうね。
とは言え、確かに私はお義母さんの言う通り、妹の死に繋がりかねないアレルギー物質を、同じ家に持ち込んでいたのだから、責任が皆無だとも思わないわ。そしてあの時、もっと上手くやれていれば──化粧品の成分について先に口にしていたなら、事態は変えられたかもしれないとも思う。でも、アニカやお義母さんの思考回路からすれば、化粧品を取られたくない単なる言い訳と受け取られて、信じてもらえない可能性が限りなく高かったでしょうけれど」
「そ、そんなことしないわ! あの娘の命に関わることなのに、言い訳だなんて──」
「本当に?『いくらそれを自分の物にしておきたいからって、よりにもよってアニカのアレルギーまで持ち出して嘘をつくだなんて、ブライト家の淑女にあるまじき見苦しさだこと。義理とは言え母として恥ずかしいわ』なんて言うつもりは欠片もなかったとでも?」
「ううっ……!」
どうやら同じようなことを言うだろう自覚はあったらしく、反論できずに唸るしかできない義母だった。
それを受けてマリウスが口を開く。
「つまり、ディアナが何を言おうがどうしようが、結局は同じことになった可能性が大というわけか。
とは言え、ディアナに責任があるのなら僕の方も当然同じだね」