タイムカード・ロマンス
今はアプリ管理や、QRコード管理が多そうです。
朝、慌ただしく印字され、ズレて付いた跡……。
あなたに付けられた刻印が、いびつに浮かび上がるの。
夕方、ゆっくりと丁寧に打刻される跡……。
この余韻を楽しんで、明日を待つわ。
ああ、でも、明日はお休みなのね。
その次も、その次も。
間を空けて、久しぶりに来たあなたを見て、身体が疼く。
ゴツゴツとした指がなぞり、わたしをマシンに入れる準備をするわ。
誰かに注意されたの……?
確実に打刻できるよう、印字がずれないよう、あなたはゆっくりとわたしを押し込むの。
久しぶりの感覚に、高鳴りと共に、じんわりとできる打刻の跡。
月が変わったのね。
提出されるのは前の月のわたし。
真新しいわたしに付いた、あなたの刻印。
あなたは安心したかのように跡をなぞる。
これで、もう、跡がズレてるなんて、注意されないわ。
わたしは慌ただしいあなたの手も、嫌いじゃないのだけれど。
今朝の逢瀬はこれで終わりね。
あとは夕方の、あなたとの触れ合い。
ほんの少しの、ほんのわずかな時間を、打ち込むようにして。
わたしとあなたの絆を、お金に換えるのね。
でも。前の月のわたしも、次の月のわたしも。
あなたとの時間、嫌いじゃないわ。
お仕事お疲れ様です。