その29 犬狛国宮殿・庭
大きな池と草むらが広がる庭。猛スピードで走るシロネに追いつくコブタエ。
「待って、シロネ!」
シロネが驚き振り向く。
「何やってんだ! 試験の時間だろ。行け!」
「今はクロネくんが大事です!」
スパに少しずつ追いつくシロネとコブタエ。
「いいから行け!」シロネが怒鳴る。
「いやです!」
スパの斜め後ろまで来たシロネ、右手の爪が4本の剣に変わる。
「ほお?」
スパの爪も4本の剣に変わり、シロネに切りかかる。
何とか避けるがふらつくシロネ。
さらにシロネの頭上から襲い掛かるスパ。
「危ないっ!」
シロネを守ろうとしたコブタエのローブにスパの剣がかすり、裾が裂けた。
スパをキッと睨んだコブタエ、右手を天に掲げる。
「ピンチをピンチに!」
その様子に身構えるスパ。しばし動きが止まるコブタエ。
だが、何も起こらない。
「あら?」首をかしげるコブタエ。
「見掛け倒しか。まとめて始末してやる!」コブタエに襲い掛かるスパ。
「コブタエ!」
シロネがコブタエの前に出て、コブタエを守ろうとする。
その瞬間、コブタエの右手に強烈な光が集まる。その光に目がくらむスパ。
「な、何だ…」
コブタエの右手の光が、巨大なマタタビの実に変わる。
「マタタビが!」シロネが叫ぶ。
コブタエが、スパにマタタビの実を思い切り投げつける。
「超絶マタタビーム!!」
「ぎゃーっ!」
マタタビの実が当たって倒れるスパ。
だが、何とか起き上がり、ふらついたまま、缶切りでツナ缶を開ける。
「これさえ食えば……」
「そうはさせません!」ツナ缶を蹴り上げるコブタエ。
缶が後ろの池にチャポンと落ちる。
「あ!」同時に叫ぶコブタエとシロネ。
「この野郎…」コブタエに殴りかかろうとするスパ。
その胸倉をつかむコブタエ。
「ツナ缶に何てことを!」
「いや。蹴ったの、おまえ……」シロネが思わず突っ込む。
「とどめです!」
スパを地面に倒し、真上から右拳で顔を思い切り殴るコブタエ。地面に開いたスパの体の形の穴。
穴をのぞきながらコブタエが尋ねる。
「クロネくんはどこですか?」




