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月がくれる勇気

7月、明日に迫った体育祭の実行員に選ばれてしまった僕は暗くなるまで学校に残って作業をしていた。

その帰り道。

隣には、同じクラスで同じ実行委員の女の子。

帰り道が途中まで同じだというので僕は自転車を降りて、徒歩の彼女の隣を歩いていた。


会話が続かず、何気なく視線を上に向けるとそこには大きな月が一つ、こちらを覗いていた。

あまりに強く輝いていたので、普段周りを囲んでいる星たちはその輝きの影でひっそりと息を潜めているようだった。

そんな夜空を見た僕は、

「月。」

「えっ?」

彼女は下に向けていた視線を僕に移しながら少し驚いた様子で聞き返してきた。

僕は自分の心の中での言葉が口から洩れていたことに恥ずかしさを感じながら素直にその後の感想を続けた。

「月。きれいだね。」

彼女は僕から夜空に視線を移して、2,3秒黙った後。

「うん」

ただ一言、そう答えた。

僕は口にした後で僕の言葉に別の意味にあることに気がついて視線を歩道傍にある花壇に移し、変に誤解されていないか不安になっていると、隣を歩く彼女がほんの少しだけ僕に近づいた気がした。


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