Phase25 戦況
野営地についた。
手入れし終わった剣を騎士の人に渡すといい笑顔で次の分を渡されてしまった。
かなり大げさに褒めてくれたので、正直手入れなんてしたくもないが少しはやる気が出た。
周りの人が野営の準備をしているのでそれを手伝いつつ、たまたま隣にいたおっさんに話しかけられた。
おっさんの名前はミルドというらしく冒険者ギルド所属でDランクらしい。
今回の一般市民からの徴兵は冒険者ギルドを介して行われたらしく、給金目当てで来たそうだ。
店にいきなり騎士が来たのを話すと驚かれたが、魔道具関係のものを扱っていると言うと半分納得された。
普通は従業員や抱えている職人のうちの誰かが行くものらしく、親方が行くものではないみたいだ。従業員って言ってもカルビンしかいないし、カルビンに行かせるのは流石に可哀想だろう。
「戦況予想聞いたか? 俺は給金目当てで来てちょっと後悔しているぜ」
「いえ。街ではそういう話は聞けてないですね」
「さっき俺の友達に話を聞いたのだが、おそらく劣勢になるらしいぞ。俺らが行ったとしても英雄とかいるんじゃ最悪逃げるのも考えなきゃな」
街に第一報が届いた時点で第十王子は捕われていて、建前上奪還が急務になったらしい。
街でも聞いたが、第十王子は貴族の口車に乗せられ大将に立候補したみたいで、お飾りであることに我慢ができなくて自ら指揮をとったようだが最悪だった。
本来なら捕まらないように軍の中でも最も安全な所にいて、敗けても余程のヘタを打たなければ捕まらないようになっているはずなのに、工作部隊の連中に混ざって酒宴を開いていたらしく、結果は英雄率いる部隊に奇襲を受けて敗退。
貴族軍は損害を出したくないからという理由で早々と敗走し、第十王子直下の工作部隊と騎士団が損害を受けたらしい。
おまけに奪還戦に口車にのせた貴族は協力したがらず、さらに貴族の派閥間の牽制があって泥沼化。
しょうがないので第二王女が救援に赴くことになったが、優秀とはいえ相手に英雄のスキル持ちがいるとどうだかって感じらしい。ただ、第十王子と違って無能じゃないので、周りの経験豊富な将軍の意見は聞くだろう。
「貴族の派閥間の牽制って、国益とかは考えてないのですか?」
「考えている貴族はいるさ、例えばガブリル伯爵とかはその筆頭だな。ただ、どの貴族も利益は出来る限り多く取ろうとするのに対し、負け戦になると嫌な部分を敵対派閥に押し付けたりするからドロドロだよ。」
「国が腐ってきているのですかね?」
「ああ。昔はそうじゃなかったのだがなあ」
「やはり貴族ですか?」
「ああ、貴族の中でも古参の貴族連中が幅を利かせているよ。それでもこの国は王様のお陰で何とかなっているが、新興貴族に頑張ってもらいたいな」
王様の政策の一つに国益を考えるような人材を雇用、新興貴族にするというものがあるらしい。
簡単に言うと囲い込みだ。階級は準男爵からみたいだが、国益になるものなら何でも支援してくれるそうだ。やはり自分が取り立てた臣下がほしいらしい。
新興貴族の力で古参の貴族の権威を失墜させたいみたいだが、なかなか実にはなっていないみたいだ。
なり方も試験を受け、技能を持つことを証明すればいいらしいが、とんでもなく難関らしく必要がなければ俺が受けることはないと思う。
他にも色々なことを聞いたが、ほんとに工作部隊は安全なのか不安になってくる。
そもそもこの国自体が大丈夫なのか疑問に思うが、一応この大陸では有数の大国らしいので国力はある方みたいだ。
それでも今は他の大国とも戦争中らしく、そちらの方に本隊はいるらしい。
そんな中で小国を攻めるのはアホかと思ったが、片手間に滅ぼせるようなところだったので第十王子に任せ、英雄のスキル持ちさえ現れなければ余裕で勝てたみたいだ。
イレギュラーによって計画が狂うのは多々あれど、俺が居る時にそういうことが起きるのはやめてほしい。
野営の準備が出来た。
俺はテントとかをひたすら組み立てたりするだけだったが、出来る限り食料を節約するため、周辺の森から獣や果物を獲ってきてくれた人がいるらしい。
食事を作っているところに行ってみると、牙が四本もあるイノシシっぽい獣が解体されてる途中だった。
俺の体よりでかいし、十分な食料だろう。
魔物を食べるってどうかと思うが、むしろ栄養は豊富で魔力も回復するしいいことずくめみたいだ。魔素含有率がどうとかいっていたが、要は栄養があるってことで納得した。
食事の用意を手伝い、自分の分を受け取る。
騎士団から配給のパンと、魔物肉をこんがりと焼いたものを渡された。
そのままだと肉の味しかしなさそうだったので、こっそりと手に塩を作成し肉にまぶす。
周りが食べ始めたのを見計らって食べると、パンは固いし肉は獣っぽい臭みが取れておらず、さらに死後硬直でもおきているのかかなり固い。
だが、周りの人はそんなことを気にせず普通に食べている。一々目くじら立てている俺が神経質なのだろうか。
かなり固いので頑張って口の中で咀嚼し、食事を終えた。久々に食事に苦労したと思う。
ステータスを見てみると魔力がそれなりに回復していたので、それなりに効果はあったらしい。
「やっぱり軍の食事ってこんなのばっかなの?」
一応自前で保存食を持ってきて入るが、もしもの時のためにとっておきたい。
「これでもまだマシな方よ。今回は遠征だし、籠城戦と違って食料があるだけいいわ」
しようがないと思いつつ、騎士の人にどこで眠ればよいか聞いてみると、割り振られたテントはレミアとメリッサと同じだった。
護衛っていうのもあるし、その辺はちゃんと考慮してくれたらしく、不寝の番は騎士団の方がやってくれるみたいだし、普通に寝るだけで良いみたいだ。
明日も朝からずっと移動みたいだし、早めに寝て出来る限り体力を回復させておきたい。
そう思いつつ、店から持ってきた布団もどきを広げ、寝ることにした。
俺が真ん中で、メリッサとレミアは両脇にいる形だ。
寝る体制に入ったが、以前迷宮に行った時レミアが抱きついてきたのを思い出してしまい眠れない。
残念ながら今回のレミアは寝相がよく、期待していたことは起こらなかった。
期待し過ぎて外が明るくなってきてからやっと眠れた。
とれたての猪の肉って臭いし固いですよね。
タイトルの件ですが、変えるなという旨の超長文に説得されたのでこのままにしておきます。
曰く、完結してからやれだそうなので、完結させたらタイトルを変更することとします。
正直今のタイトル長すぎるしずれてきているのでよくわからないんですがね……




