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Calamity Children  作者: 輝血鬼灯
Bloody Blood
3/11

prologue 呪われた愛

 月が美しくも妖しい夜だった。

 地には凄惨な死が描かれていて、倒れ伏した細い体からはどこまでも赤い血が流れ続けている。満足そうなその白い死に顔から、目を離すことさえできない。

「ファタル」

 心中した男女の遺体から目を離さない連れに、少年は声をかけた。のろのろと振り返る青ざめた顔に、短く一言で促す。

「行こう」

「……ああ」

 彼らが無為にこの現場に留まったところで、もうこの街でできることは何もない。誰も救えない。救いを望んでいる者もいない。

 死者を救うことはできない。それに救われたいのは――本当は自分の心だ。だから。

「行こう」

 終わりのない旅が再び始まる。

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