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萌え絵師への道  作者: 昔昔亭或処@休眠中
さんさつめのおしごと
46/59

#さんのにじゅう




 ありえないありえないありえない。


「先生。大いに不満があります」


 片手を上げて、粗筋説明中の先生サマにモノモウス。


 先生サマの作品にケチ付ける気は毛頭無い。しかし。


「コレばっかりは譲れません。どうしてマッチョがそんなにオイシイ役なんですか」


 大雑把な説明によると、マッチョが主人公にとって憧れポジション。許せない。


「最終的には転落しますが?」


「それでもです。あんなマッチョ見て『ステキーカッコいいー!』とか? ナイナイ」


 断固拒否の姿勢を示したあたしに、先生サマ、頷いた。


「地の文では客観的な面を強調しますよ。格好良いと思い込むのは主人公のみ。最後には勘違いだと気付きますよ」


 飄々とハンドル捌きながら嘯く。


「でもやっぱ物語は主人公視点で進みますよね? 『カッコいい』扱いで終盤まで?」


「まあ、多少は。しかしその辺主観と客観のズレをコミカルに表現します。主人公の視野が狭くなっている部分でもありますし、丁寧に」


 ……うーん……。


「……でも、あのマッチョを『カッコよく』は……。その、何だかんだ言ってですね。描く時は、対象を好きでなきゃ良い絵にはならないと言うのが持論なんですが。どっか一点でも感情移入して妄想でも何でも膨らませて、愛ある絵にしなきゃなんですよ」


 うん。前回酷すぎて自主的にボツした絵は、愛の欠片もなかった。


「そこは、実在の人物と切り離していただけると助かりますが。出来上がりを読んでもらえたら、印象はかなり違うだろうと思います」


 やっぱり引き気味なのがバレバレなのだろう。先生サマも慮ってくれたらしい。けど。……ホントかなぁ……。


「…メインのキャラって、それぐらいですか?」


「ですね。後は主人公の父親と、親友、幼馴染くらいです」


 ん? 幼馴染?


「幼馴染って、男の子?」


「はい。主人公に一方的に嫌われている」


「ンでもその子は、主人公嫌ってないんですよね?」


 お? 今までの二作ともラブい要素皆無だったけど、ひょっとして?


「幼馴染は、主人公の両親のゴタゴタも全部知っています。そして、主人公が意固地になっていると分かっている。何となくどうにかしてやりたいとは思っているけれど、どうしていいのかも分からない。男だというだけで毛嫌いされて、イライラしています」


「おおー! それですソレ!! 青春! 幼馴染一押しじゃないですか!」


 真っ向否定された少女漫画の王道が!


「主人公の感情としは、男である幼馴染が羨ましい。嫉妬ですね。ですから、性差を容認できれば最終的に良き理解者、友人ポジションで収まります」


 ……がっくり。


「なんか、先生の話ってラブはないんですか。胸キュンな展開は」


 ライトノベルの読者層なら、少しぐらいはそう言う展開あってもいいんじゃないかなー。


「泥沼の愛憎劇なら一度テーマにしたことがありますが」


「ソレ胸キュンじゃないし」


 初恋の甘酸っぱいアレコレな爽やかな話はないんだろうか。


「そうですね。なら、四作目にはそう言う要素も入れて見ますか?」


「できるなら、ゼヒ。やっぱラブい要素もあったほうが楽しいですよ、あたしが」


 挿絵のお仕事的にね。ドキドキ頬染めちゃう少女とか。


 ホラあたし少女漫画家だし!(←主張)


 先生サマは、わかりました、と請け負ってくれた。やった。


「大まかに構想はあるんですが。恋愛要素も、……入れようと思えばいけるでしょう」


 切り良く話もまとまった所で、先生サマの操る車は高速道路のインターを降りた。


 あれ、ドコだここ。結構な距離走った気がするけど。



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