#にのじゅう
目が覚めたら、おしゃれなスタンドライトと品のいいカーテンが目に入った。
……うん。夢だ。夢。
…………ってことにして欲しいな!!
「なんで」
いつの間に寝てたんだあたしは。昨日のオサレな春コーデワンピースで寝てるって、何となく大失態の気配が。
よくよく考えて、昨日ご飯食べてお腹いっぱいになった後、高尾先生のお車の中でウツラウツラしちゃったあたりを最後に記憶が無い。
状況証拠はばっちりだ。寝オチだ。
ここまで誰が連れてきてくれたのかなんてそんな少女漫画的なことは絶対に考えない。
ちゃんと服着てる。高尾先生は筋金入りの紳士だった。きっと食欲も睡眠欲も性欲も無いよ!
時計を見ると、5時チョイすぎだった。
どうしよう。
とりあえず着替えたい。お風呂はいりたい。でも他所のおうちで勝手にお風呂なんて。
起き上がると、作業机の上にメモがあった。
『キッチンにパンを買ってあります。朝食は自由にしてください。家のものは好きに使って構いません。12時までは絶対に起こさないで下さい』
流暢な几帳面な字だ。そして睡眠欲はあるらしい。
至れり尽くせりです。お気遣いありがとうございます。
先生が12時まで就寝と分かったので、遠慮なくお風呂使わせてもらっちゃえ。
……でも早く着替え取ってこないと、下着がアレしかない。
バラの香りの洗面セットを取り出して、ちょっとどんよりした。
お風呂は広くて、湯船も足伸ばせてゆったりで、そしてホテルのバスルームのように高級感溢れるインテリアで、ばばんがばんばんばん、なんて絶対許されない感じで、やっぱりどんよりした。
最初はバス無しトイレ共同って言ってたっけ。
銭湯とか通ってたのかな。風呂桶小脇に抱えてコーヒー牛乳飲んだりしたのかな。
考えると、ちょっと面白いかも。