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分裂☆

 飛鳥が言っていた紙ってのはこれか。B4サイズの紙が一枚。そこには球技大会の種目と俺たちの名前が書かれていた。


サッカー:カラスくん、健斗くん

ベースボール:飛鳥

バスケ:アゲハちゃん、美来ちゃん


 これも勝つための選択なのだろうか。まあ、俺はサッカーなら何も文句はない。


「飛鳥様………どうしてですか」


 天音の声が震えている。飛鳥の言うことならなんでも受け入れてしまいそうな煮えたぎった想いを持っているのに、ここに書かれていることに対して何か不満でもあるのだろうか?まさか、どろどろの想いをバスケ嫌いが上回ったなんてことはないよな。


「どうして私ではなく………上波さんの名前が先に書かれているのですかっ!」


 なるほど。それでゴゴゴゴゴってメジャーな効果音が流れているわけか。


「美来ちゃん、落ち着いてっ」


 アゲハ、オマエがそれを言ったら逆効果だぞ。ほら、天音の気がどんどん大きくなってる。一般人の俺でも感じることができるんだから、かなり強い気であることは確かだ。


「上波さん………あなた私に隠れて飛鳥様にくっついているんじゃない?」

「そ、そんなことしてないよ」

「嘘よっ じゃあどうして私の名前の方が後なの!?」

「そんなの………アゲハ知らないよ」

「天音、もうやめろよ。いくらアゲハに問い詰めてもわかる訳ないだろ?」

「………………」


 天音は俺の肩を押して走っていってしまった。強く言ったつもりはなかったけど、傷つけてしまったか?………悪い、天音。でもアゲハは何もしてはいないんだ。それだけはわかってほしい。


「カラス………」

「何も言わなくていい。アゲハの言いたいことはわかってる」

「………………」


 俺の名前を呼んだ後、アゲハらしくもなく(うつむ)いてしまった。しかし流石(さすが)に落ち込むか。アゲハだって女の子。友達とのトラブルに関しては、きっと深く考え込んでしまうのだろう。………アゲハの悲しそうな姿は見たくない。こういうときってなんて言葉をかけたら(なぐさ)められるかな。

 いろいろ頭を巡らしていると、机を強く叩く音がした。なんだ、この嫌な感じ。


「美来ちゃん怒って行っちゃったじゃない!このままバラバラになったらどうしてくれるの!?」


 アゲハが顔を赤らめて怒ってる。これは予想外だ………完全に落ち込んでいるものだと思ってた。それになんか俺に責任負わされてるような言い方じゃないか!


「俺のせいかよ!?」

「そうだよ!カラスのせいっ」

「んなバカな!?」

「バカなんてよく言えるねっ!そんな適当な事言うのはどの口!?」

「おぃ、あえおっえ!!(おい、やめろって!!)」

「説也、言いたいことかろうじて伝わったよ………」

「えぅお………(けんと………)」

「上波さん。もっと引っ張ってほしいって」


 ダメだ。口を思いきり引っ張られていて母音しか使えない。しかも健斗が変な解釈をしたせいで、引っ張るだけじゃなくて口の内側と外側を指で強く押さえつけられているから余計に痛い。

 必至に抵抗していると、気持ちが落ち着いたのかふぅ~と一息ついて、そのまま手も放してくれた。


「いってぇ もしこれで俺の顔が変形してブサイクにでもなったらどうしてくれるんだ。みんな悲しむだろっ?」

「みんなって誰?」

「ん?えと………例えば、俺に好意寄せてる人…とか」

「ぷっ いるわけないでしょ!?」(………アゲハとケンケンくらいしか)


 (ひど)いこと言いおって。俺だって結構モテるんだぞ?………たぶん。………最後小さい声で何か言われたような気がするけど、聞こえなくて正解だ。どうせ俺を(けな)していたに違いない。


「まあ、美来ちゃんなら飛鳥さんが科学部にいる限り離れたりしないと思うけどね。(むし)ろ人体に被害を受けるカラスの方がいなくなる可能性あるよねっ」

「殺人未遂で捕まってしまえ!!」


 いなくなる=俺の命が尽きる。何の躊躇(ためら)いもなくよく言ったものだ。

 しかし、アゲハの言っていることはもっともだ。事実、俺の身体は心身共にダメージを受けている。今後もこういったことが続くなら、俺が崩壊するのも時間の問題だろう。だが、簡単にやられるわけにはいかない。このサバイバルで生き残るのは俺だ!

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