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色館  作者: 雪華97/SekkaKuna
第二章「扉は開かれる」
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第五話

 二人の少年は、緑のアルストロメリアが飾られている扉の前に立っていた。

 二人は意を決して扉をノックした。

 封筒と指輪、そしてリボン、何かの紋章が描かれたブローチを持って。


 ノックしてから少し経って、扉は開いた。

 中からは淡い緑の髪に青の瞳をした女性が出てきた。


 女性は、目の前にいる二人の少年の姿を見てとても驚いていた。

 部屋の中に案内された。

 その時、少年たちを見る目は優しくて、温かくて、愛で満ちていた。


 二人の少年のうちの、少し髪の長い一人がお茶を用意していた女性に話しかけた。


「……えっと……えっと……か、か……母様?……」


 少し髪の長い少年の言葉を聞いてその女性は固まった。

 そして同時に、もう一人の髪が短い少年が手に持っていた指輪やリボン、封筒を目にした。


 女性は気づいたら二人の少年を抱き寄せて泣いていた。


「ええ、ええ、あなた達は私とシアン様の子供ですよ……。二人が無事で良かった……。本当に良かった……。」


 女性は左手の薬指に綺麗な指輪をつけている。

 その指輪をよく見れば、文字が彫ってあった。

 読むと『オムニシアン』とある。


 そして、二人の少年は先程会った男、いや、父様から渡された指輪をよく見た。

 すると、同じように文字が彫ってあった。

 読むと『シャリテ』とあった。


 女性は暫く抱き寄せたまま泣いていた。

 抱き寄せていた腕の力が弱まると、その女性は二人の少年をよく見た。


「ああ……本当にシアン様によく似ているわ……。そして……二人が持っている物たちはなにかしら……?」


 その女性は少年たちが手に持っているリボンに指輪、封筒、2つのブローチに目を向けている。

 少年たちは女性に、いや、母親に色々なことを説明した。


 母親はその話を聞いてまた、涙ぐんでいたが、指輪と封筒、そしてリボンを渡されたことで泣いてしまった。

 それは、嬉しさのような、悲しさのような、なんとも言えない涙だった。


 母親は静かに封筒を開いた。

 封筒になんて書いてあったのかはわからない。

 けれど、その封筒を読んだ母親は涙を目にしながら笑っていた。


 少年たちはなんて声をかければ良いのかわからなかった。

 母親は、笑いながら楽しそうに、でも泣きながら、思い出話をしていた。

 封筒を読み終わった母親は二人の少年に体も目も向けた。


「二人とも、その2つのブローチは、ラ・ファンの正当なる後継者を表していて、王族の証なの。二人がラ・ファンの王族というのはその姿を見れば分かるのですけれどね……。銀髪に金の瞳はラ・ファンの王族の色ですから。」


 母親は二人からブローチを受け取ると、それぞれの服につけた。

 そして、そのブローチには文字が刺繍されていた。


 少し髪の長い少年が『ルミエール』。

 髪の短い少年が『エスペランス』。


「……ふふ……。シアン様にもこの姿を見せてあげたかった……。でも、二人の元にそのブローチたちがやってきて良かった。そのブローチは私とシアン様でつくったものなのですから……。」


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