「不思議な穴と魔王様と。」
ちょうどその時、王都の騒動を収めて戻ってきたソフィアとハルが、中也とグロフ、そして不思議な穴が生成されていた。
「中也さん、何してるんですか!そのモンスターが主犯でしょう!」
ソフィアが剣を構える。
中也は事の顛末を慌てて説明した。
ハルが、恐る恐る穴に近づき、中を覗き込んだ。
「あ!中に、何か、お城が見えるよ!」
中也とソフィアが覗き込むと、穴の向こう側には、紛れもなく魔王城の威容が確認できた。
「こ、これは空間転移の魔法!?しかも、こんなに完璧に……」
ソフィアが戦慄する。
グロフは驚愕し、次の瞬間、意を決した顔で穴の中へ入っていった。
「魔王様に会いに行きます!これが、唯一の道かもしれない!」
「馬鹿め!待て!」中也は叫んだが、グロフは消えた。
「仕方あるまい。私の主題が逃げてしまう!」
中也は、ソフィアとハルを伴い、その不思議な穴の中へと身を投げた。
中也たち三人が穴から出た場所は、まさに魔王城の玉座の間であった。グロフが玉座に座る人物に、必死に事の顛末を説明しているところだった。
魔王は、冷徹な美貌を持つ女性であった。彼女は、中也たちを驚きもせず、静かに見つめた。
「貴方が、グロフが連れてきた異邦人ですか。……私に、会いたかったそうですね。」
「ふむ。相違ない。貴様は私の主題たり得るか、それを確かめに参ったのだ。
何か、悩みがあるのではないか。」
中也は魔王の玉座に堂々と近づき、魔王の悩みを問いただした。
魔王は、長く深い溜息をついた後、静かにその心を語り始めた。
「私の悩みは、人間とモンスターの平和的共存だ。戦いでは、誰も(だれも)幸せになれない。しかし、どうすれば、この根深い憎悪の連鎖を断ち切れるのか……。」




