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☆スキタイ☆

 3人は激しく動きながらスキタイと対決している。

 氷の魔法は束縛効果が強く、大振りな回避を要求されるのだ。

 その愚鈍な動きとは裏腹に尻尾の範囲と機敏性は判断の難しさの由縁である。

 3人もひっくり返そうとはするのだが、腹が水に浸かっていつでも凍らせる準備は整っていると言わんばかりである。

 つまり感知されぬように近づきひっくり返してぶっ刺す。

 頭ではイメージできるのだが、それを行動に移すような隙がない。

 ひっくり返し方をどうするか、という話もあるのだが、それは完璧である!

 腹にカタナ刺してぐゎん、クルン、そのままぐさぁ。

 我ながら完璧な作戦である。

 が、一つだけ重大なことがある。

 それはひっくり返すまでである。

 どういう手順でやるかは決まっているのにやり方がわからないとはおかしな話である。

 三人の戦闘に今入ると邪魔にしかならないだろうし、下手したら攻撃に巻き込まれる。

 そんなことで怪我したら他の3人にトラウマを植え付けてしまう可能性があるだろう。

 つまり、下手に横槍を入れられないのだ。

 さて、どうしようか。

 スキタイに全く隙がない。

 やはり頭がいいのだろうか。

 広範囲にばらまかれる零氷(れいひょう)は皮膚が凍りつくぐらいに乾いて冷たい。

 そして、作戦を思いついた。

 腰のカタナに手を乗せて3人のそれぞれの視界に入る場所に向かって走る。

 そこで戦闘に入るような動きを取りつつスキルの発動を準備する。


「ユニーク 掃除屋!」


スキタイの周りの水を亜空間に吸い取り地面から水を取り除く。


「ユニーク 料理屋!!」


乾いた空気とスキルでスキタイの弱点炎を直火で食らう。

 そのままザクッと砂に刀が入っていく音と空に舞うスキタイの体と砂塵。

 そしてそのままマラが腹を裂く。

 ドォンと重い体が乾いた砂に落ち、舞う。

 その瞬間自分の中に倒したという達成感が押し寄せる。


「さすが、オリだよ!」

「ごめん、長い時間3人に戦わせてた……」


視線が勝手に落ちていく。


「守る、なんて思い上がってたよ」


マルのその言葉で空気までも重くなって落ちていく。

 だけど、


「そんなことない!」


スルッと、ヌルッと、でた言葉に驚く3人。


「君たちがいなかったら落ち着いて作戦なんて考えられてない」


私はさらに続ける。


「だから、一緒に来てくれてありがと!」


3人はぽかんとしたあとあからさまに頰を赤く染めている。


「早く帰ろう!」


マリは恥ずかしくなったのかオオカミの姿になって乗るように促している。

 私は素直にまたがり、来た道を戻っていく。

 スキタイの体をよく見る。

 傷はついておらず、きれいだ。

 爪も綺麗なままのため、使えそうだ。


「楽しみだー!!」


私はつい声が出た。

 盾や鎧になるのが楽しみでしょうがない。

 ギルドの受付まで乗らせてもらい、そのままスキタイの引き取りを願う。

 すると、


「魔法使いかぁ!?」


私のスキルを覗いてそう声を大きく言った。 

 周囲の視線を強く感じる。

 笑い声とともに覗き見るような感覚にひどく不安を覚える。

 高そうな服を身にまとった彼にスキルで火を付けるギルドマスター。


「うるさいですよ。和を乱さないでください」


容赦なく使うスキルに驚いたのか空気が凍りつく。

 スキタイがいるのか……?

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