☆銀位☆
連続勤務などもう二度としたくないと思っている。
それにもしかしたらあり得るかもしれないと期待していた感動の再会などではなかった。
母が何か吹き込んだのだろうが、別におかしい話ではないのだ。
貴族としての汚点である私を無かったことにしたいのは単純な考えだから。
すこし憂鬱な気分になってしまったが、犯人を捕獲出来た以上何も文句はない。
しかしさすがである。年齢差を感じさせないスキルの使い方と身のこなしだった。
そんなことを思いながら亜空間から出すと、荒々しい呼吸とともに、
「息苦しいったらありゃしない!」
「動物虐待になる……?」
「誰が動物だ!? ……いや、動物では、あるか……」
勢いよく言い返してきたのにその後に失速していく。
そかそか、動物虐待ではないなら安心した。
「オレの鼠人間たちを……」
ギルドの中でそんな発言を堂々とするとは。
あっ、となったのも束の間、
「ほう、詳しく聞かせてもらいたいな……?」
彼の笑みは私には向いていないのだが、背中がヒヤリとする。
空気が冷たいのだ。
「ぇや、んと……」
目が泳ぎまくっている。
競泳選手くらい泳いでいる。
口をパクパクさせ、右上を見ながら必死に考えているようだ。
「おいで」
その猫な
で声のような優しい声音はゾッとするぐらいに恐ろしい。
結ばれた腕は抜けていないが、必死に抵抗している。
そんな抵抗も虚しくスキルか何かで持ち上げられ、連れ去られていった。
「彼は駄目だね」
「残虐な冷酷非情オーラを醸し出していたよ」
「抵抗するべきではないわ。アタマの悪いバカは手痛い罰を受けるわよ」
いつの間にか横にいた彼らは顔をしかめている。
危険な人なのは間違いなさそうだ。
「んじゃ、かえる……か」
重苦しい空気に私の声が通る。
「ちょっと、まってください!」
その声にとめられる。ふと振り返ると受け付けの人がいた。
「あなたの昇級手続きを……」
忘れてた!
そう、討伐数に応じて昇級ができる。
昇級に関してはチーム総討伐数が500体である。
対人で100換算である。
そして、捕獲ボーナスでプラス150。
これで500ポイント取得できたということだろう。
思ったより早く昇級できた。
「これでより難易度の高いモンスターと戦えますね」
一般市民が相手取るには手こずってしまうが、冒険者に仕事が行く中でも比較的荷が軽い敵たちがでてくる。
油断したら死ぬという話もあるが。
「野生も大量繁殖してますしね……」
そう、野生大量増殖が問題視されまくっている。
森に隣接する村の被害が後が絶たず、「あれ、ここに村あったくね?」ということもあるようになってきた。
「最近では遥翼鳥の被害も……」
バジリスク!?
ほぇええ。結構強めである。
美味いらしい。卵も肉も美味いってこの前自慢された。
ふっくらジューシーなその肉質はソースなどとの相性が最高らしい。
「なんなら、行ってきてもいいですよ」
そう言われ、ハッとする。
肉につられてとんでもない場所に連れて行かれるところだった。
そう胸をなでおろし、断ろうとしていると、
「肉ですか……」
マラたちがしびれを切らして会話に入ってきた。
あれ?
「行こう!」
「賛成!」
「ほう、それでは全会一致ということか……」
なにかつぶやいている。
連勤確定演出に涙を禁じ得ないのであった。
遥翼鳥
体長2メートルほどである。
鷲の体にヘビのように自在に動く尾を持つ。
炎の魔法を使って知能はそこそこである。
嗅覚と視覚がとても良く、村や畑を狙う害獣である。
赤やピンク寄りの翼を持つためとても目立つ。
その羽の保温性はとても高く、高級な布団やジャンパーなどに使用される。さらに言えば卵も肉もとても美味い。
オス一匹とメス数匹のプライドを形成する。5〜7匹ほどの子供を作る。
因みに羽の保温性も素晴らしいが防御力も馬鹿にならず、羽を接いで出来た外套を羽織れば魔法属性カットがつくのだ。
くちばしも薬になるらしいが、使われることは多くない。
総討伐数はノーマルゴブリンを1とする。
オーク→一匹で5換算
プロトゥン→2匹で3換算
下位狼郡長→1匹で10換算
ローウルフ→1匹で6換算
黑位→10000000〜
金位→ 1000000〜99999999
紅位 → 100000〜999999
蒼位 → 10000〜99999
山吹→ 4000〜9999
銀位→ 500〜3999
銅位→ 10〜 499