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掃除のスキルで世界無双!? ~雑用スキルで最強になっちゃった~  作者: わらうクジラ
第一章 ヴェラ戦争
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☆終わり☆

唯一、バーダという宗教を国教としているダラニでは戦力と領土を大きく拡大するであろうステージを警戒していた。


「あの凶国を打ち破るとはなぁ……」


ダラニにとってもヴェラはとても鬱陶しい国であった。


「彼の国は今農業の国を併合されましたわね」


ステージは農業だけでなく鉱業でも潤う国であった。つまり、国としての価値も大きく上がったことになる。


「永き時をかけた弱体化の画策も頓挫」


いろいろな資源の輸入で図ってきた枯渇させる作戦ももう諦めざるを得ない。

 正確にはモノカルチャー経済を誘導していくというものだ。


道諦(どうたい)はどう考える?」


この国では四諦(したい)という4人が王家を守る、そして発案権をもつ権力者である。

 苦諦(くたい)集諦(じったい)滅諦(めったい)道諦(どうたい)だ。

 

「そうですね……」


そして一つ声を漏らす。


「どうもこうも無いのではないでしょうか。我らは貴方様に従います故貴方様が成りたいように成れば良いと存じます」


その回答に頭を押さえて熟考を始める。


「彼らと組み、彼らの統治を認めるしかあるまい」


苦諦はそう伝えた。


「そうだな。ではそのようにするとしようか」


みな深く敬礼してこの場は解散となった。




その2時間ほど前。ヴェラに勝った、敵将を討った、という吉報が届いた。

 それにより緊急総会が開かれた。


「勝利の宣言を行おうと思う!」


そこの言葉で拍手が鳴り響いた。

 そして近頃国際会議が開かれてヴェラの国土の領有が認められるはずだ。

 そうしたら国防の観点も見直さなければならないし、さらに言えば内乱が起こる可能性もある。宗教統一などもするべきか。

 するべき議題は尽きることはないだろう。そう思えるほどに国土の拡大というのは大変なのだ。


「被害の確認をしよう」


そしてまだ未確定だが、おおよその被害状況を読み上げていく。

 国の兵や、冒険者、一般市民に住宅、さらには森などの自然での戦闘の後処理。


「国土の併呑(へいどん)は必要なのでしょうか?」


もしこのあと新たな政府が生まれるのならばそこに賠償責任を突きつけるだろう。

 だが、賠償を払えるような能力があるのかといえば怪しい。

 国家の威権は失墜し、国交や貿易が行えるほどになるにはある程度時間がかかる。

 

「いるな。新政府に損害賠償を払えるような力などあると考えることが愚かだ」


そう結論付けるしか無かった。

 新政府が必ず払ってくれるとは限らない。

 前政府に責任を丸投げだろう。まぁ前政府は形骸化していたのだが。

 併呑してしっかりとした支援を見せつければ他の国からの復興支援などもあるかもしれない。

 

「そうですか……」


その言葉に国王は小さく頷き、あとは他の国の出方次第だと議題を無理やり終わらせたのだった。




凄い量の武器だ。

 どれだけの遺跡に潜って、冒険者を狩ったのだろうか。

 確か国王は「好きなの取って良いよ!」って言ってたはずだ。

 全て武器の収納場所に丁寧に置かれている。

 剣、槍、大剣、刀、曲剣、拳、盾などなど。そのどれも質が良く、戦闘ではとても役に立つだろう。

 どうやってここにたどり着いたかというと、ついさっき合流した地面ホリホリ部隊と共に城内を探索していたら見つかった。

 生き残ったのは20人と少し。他は死んでしまった。

 着た道を戻りつつ色々な扉を開けていくと見つけた大扉。その鍵はいつの間にか持っていた。

 おそらく倒した兵の一人が持っていたのをパクったのだろう。記憶にないけど。

 鍵穴に挿して扉を開けるとそこには大量の武器が、というわけである。

 吸い込まれるように歩を進める先には黒色の大きな鞘。その鞘が守る武器を引き抜く。

 良く手入れされた上質な片刃剣。つまり、カタナだ。

 今使っているカタナももちろん使いやすいが、手にしっくりくる太さと重さ。

 不思議な跡が残った刃は長く、僅かに反っている。


「バス姉はそれでいいの?」


その声でその武器から視界がそれる。

 鞘を腰に刺してそこに納刀する。


「うん。マニは?」


そう聞くと待ってましたと言わんばかりに小走りで移動して細身な剣を持ってきた。

 その剣の刃は僅かに光を帯びている。

 パワーを感じるその剣身は美しい。


「これ、かな」


小さな声でそういった。

 息を浅く吐き出す彼女は見惚れているように見える。


「良いじゃん」


私のその言葉と同時に鞘に収める小気味いい音が鳴る。


「さあ、帰ろうか」


イオアンが一つの武器を拾いながらそういった。

 その武器は小ぶりな剣。ダガーと言ったところか。

 みんなが好きな、自分の戦闘の形に合った武器を吟味し終えたのだろう。

 報酬としてはかなり破格である。

 そして城をあとにしたのだった。




5日ほどでイオアン率いる部隊が帰投(きとう)した。

 それを見た国民たちは歓喜の声を上げた。

 そして国王含めた情報の共有を終えて緊急事態宣言が取り下げられた。

 周囲の国々は勝利を認め、国際会議が開かれることになった。

 開催地はステージの東側の国、アーガである。

 ここは中立国であり、様々な国と不可侵条約を結んでいて、戦争の介入の経験は皆無である。

 さらに、お金持ち国家であり、優雅で豪華な装飾の礼拝堂が多い。

 そして有名なリゾート地であるアルトにてほとんどすべての国王が集まる会談が開かれるということだ。

 アルトはメラー湖というところに浮かんでいる島であり、メラー湖はダラニとアーガの領地にまたがっている。

 西側の国々は遠いが、アーガが補助金を出すという大盤振る舞いを見せたため、喜んで参加するという話だ。

 警備も頑丈であり、あり一匹すら入れぬほどのモノだそう。

 はっきりと通る声で議長が、


「これより、会談を始めます。ステージ王前へお願いします」


と、始めの言葉を述べた。

 そして今その場所に今回の主役であるステージ国王が現れる。


「余はステージである。今回の会談の主催であるアーガ王には感謝する」


皆が国王としての矜持を持ってこの場にいる。

 

「いえ、この度は戦勝おめでとうございます」


アーガの政治を含めたすべての主権を持つアーガ姫が祝いの言葉を述べる。

 中立国であるため、片方に加担するような言葉は話さない。

 ステージ国王はその言葉に目を少し、閉じる。


「それでは、元ヴェラの領地の分配に関して、ステージ人民王国より提案があります」


一つ、ヴェラの統治をステージ人民王国に任せること。

一つ、ヴェラの財産含めるすべての権利をステージ人民王国に譲ること。

一つ、ヴェラの結んだ条約の破棄を認めること。

一つ、ヴェラの製品の輸出を一時的に見送ること。

一つ、旅行者の一時的な入国制限を許すこと。


「この条件にかんして質問は在るか?」


ステージ王はそう問うた。

 すると、アーガ姫が手を挙げた。


「どうぞ」


議長はいきなり始まった質疑応答に驚きつつもそれを外に出すことは決してせずに議事進行をしていく。


「では、ヴェラの統治に関しては異論などない。だが、国民に関する被害状況の公開を求めたい」

「では、ステージ王はお応えください」


その質問は予想してあったのか淀みなく答える。


「統治が始まれば、その情報収集をしよう」


話し終えたのを確認してから、


「質問者はご納得できましたか?」

「わかった」

「では、この条件も追加させていただきます。ほかに質問の在る方はいらっしゃいますか?」


手を挙げる者はいなかった。興味のある王は少ないようだ。


「では認められるとご判断された方は拍手を」


拍手が響く。

 そしてこの条約は認められた。

 これにより、正式にヴェラの敗北が決定され、ステージの統治が認められた。

 そして、波乱の戦争は幕を閉じたのだった。




黒・鋭夜ノ断片(オニキス・ソード)


昏い月夜の底の武器。

 高い技量を必要とするが、獣だろうと、悪魔だろうと一太刀で切り裂くだろう。

 昔の持ち主は悪魔狩り(ダークハンター)の1人であり、リーダーであった。

 だが、悪というのは魅力であり、持ち主は堕ちてしまった。共に堕ちたこの武器だけ今在る。特殊な素材を使われていて他の国では別の呼び名を持つ。

 この武器も魅力的だった。それは運命であった。




爆星之聖剣(ノヴァ・ソード)


薄く星の煌めきを持つ魔法の剣。

 念じれば体内から星の破裂を攻撃時に起こせる。

 言い伝えでは星はセイメイの象徴である。

 星に祈ればカイセイできるだろうか。星が見えれば、それは叶うだろうか。

 



星夜ノ雑片(スター・ダスト)


控えめに散らばった(あか)の宝石が目立たずに埋め込まれた小さな武器。

 持ち主を発見しづらくする効果を持つらしい。

 隕石の欠片で作られたこの武器は熱を帯びている。

 それは出来るだけ痛めつけるための工夫だろう。それはとても心強いものである。

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