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☆合格☆

テントを片付け、町へ向けて歩き始める。

 バックの中から小さな地図を取り出す。

 

「この地図は、えーと、どこ?」


いかんせん地図が読めない。

 ノースが東西南北のどこかもわからない。

 わからないことだらけだ。だが、町は低いところに多いと聞いたことがある。

 今はかなり高いところにいる。

 このおかを上って見渡すか、下るかの2択だ。

 そう、12歳になった今ならそう考えられる。

 が、6歳の私は丘を下ったのだ。

 それは安全性や体力面を考えるならさっと上って見下ろすべきだろう。もしかするとその下った先には何もないかもしれないのだから。

 流石にそこまで神は私を見捨ててなかった。

 少し下るとすぐにまた上りぎみになる。

 2つ丘が繋がった地形だったのだ。

 だが、冒険者になりたいという夢を目前に私はそこを駆け足で頑張った。

 すぐにその丘の頂上まで登りきり、丘から下を見る。

 そこには質素な作りの家々が。


「やったぁ!」


私は俄然やる気を出し、走る。

 丘を全力で下り、数十分たてば小さい脚でも町までおりられた。


「うーわ、まちだ!」


そこははじめてみる低い建物の密集した土地。

 そこでは活気の良い声が聞こえてくる。

 

「君、迷子?」


活気の良すぎる声に目眩がしていたら赤の長い髪を肩まで伸ばした女性が声をかけてきた。


「困ったなぁ、この町に交番は無さそうだし……」


交番? 交番はこの世界の城下町のようなところじゃないとない。

 それは家庭教師さんから教わっていた。


「あ、ギルドにいくか」


その女性がたった瞬間、胸元で赤色のバッチが光った。


「おねーさん、なぁに、それ?」


私はこらえきれずにそう聞いた。


「あ、これ? これはね、ギルドの会員の証明だよ。

 上から黑位(ブラック)金位(ゴールド)紅位(レッド)蒼位(ブルー)山吹(イエロー)銀位(シルバー)銅位(ブロンズ)ってあるんだけど、う〜んまあつまりその人の強さを示すんだよ」


この世界のギルドの色は鉱石の価値に比例する。

 魔鉱石の黑色。金の金色。ルビーの紅色。サファイアの蒼色。琥珀の山吹色。銀の銀色。そして、銅の銅色。

 つまりはその鉱石に匹敵するくらいの価値のある人間だという証明なのだ。

 各位に褒賞があり、武器や鎧、ものによっては魔法武器(マジックウェポン)のものまであると自慢された。

 



そして、3分ほど歩くとリグネという文字の下にギルドの文字が。

 中に入るとわらわらと人が話しかけてきた。

 私ではないけれど。


「あ、ねぇさん! お久しぶりです!」

「おう、1年半ぶりか?」

「そっスよ! もう、銀位(シルバー)までなりましたんですから!」

「まだ銀位(シルバー)?」

「これは手厳しいっスね……。1年で1つ上げるのを目標にするって話だったじゃないスか」

「そんな低い目標だったのか?」


うっ、と口を噤んだ。そして、なにか残念そうな顔をしたあとに私の方を見た。

  

「何スかこの子は? 誘拐?」


少し怪訝そうな表情で私を見ている。


「そんなわけがなかろう? (あや)めるぞ?」


なんかすごいことになってる!?

 私は2人の会話に耳を傾ける。


「この子はギルドに入るんスか?」

「いや、ただの迷子じゃないか?」


ん、わたしはぼうけんしゃになりたいです!


「見た感じ貴族スかね? 肌とか髪の艶すごいし。6歳頃ならまだギルドには入れないスよね」

「ああ、確かにな」

「私は冒険者になりたい!」


私は大きな声でそう伝えた。


「そう言われてもなぁ……」

「ねぇさん、ねぇさん!」


手招きして、おねえさんをおにいさんがつれていった。

 むうっと頬を膨らませる。

 周りの人たちが何やら盛り上がっているが、私は近くの椅子に頑張って登る。高くない?

 まぁ、ここは大人の休憩の為の場所なのだから当たり前なのだが。

 2分ほどだろうか、待っていると、2人が戻ってきた。

 私はこの空間が少し怖かったから、駆け寄った。

 さらに周りが騒がしくなる。


「こっちにおいで」


赤髪のお姉さんが呼んでいる。

 私は駆け寄り飛びついた。

 それを持ち上げ、小さな部屋に連れてこられた。


「君は、冒険者になりたいんだよね?」


うんと、深く頷いた。


「12歳まではギルドには入れないんだ。だから、私たちが育てる」

「ありがとう、ございます」

「料理も掃除も、バカにされるべきではない。あなたが望んだのなら、死ぬまで続けなさい」


意味がよくわからなくてとりあえず頷く。そして、私は気が付かなかった。

 生い立ちについて聞かなかった優しさに。

 そして私はギルドに引き取られ、成長することになる。



   ──6年後──



グッドモーニングエブリワン!

 今日は12歳の誕生日です。

 つまり、ギルドに入れます!

 そのために一生懸命にスキルを理解したんだから!

 私はギルド会員の皆さんに飲み物を配る。


「お、おはよう。今日も元気だな!」


私もここのおじさんたちとも大分仲良くなった。


「じゃ、試験するぞー」


こっちもすっかり仲良くなったギルドマスター(おっさん)だ。

 何度も来た、この体育館。

 中心には怪しい魔法陣。そして入ると降参を告げるか勝つまで出られない。

 死ぬまで攻撃を受けるのだ。

 初めて見たときは吐くかと思ったくらいにグロい場所である。

 9歳の頃にここで働くことを許可されて、10歳の頃にここの清掃を担当したのだ。

 毎回、ここに入った清掃員が死にそうな顔で帰ってくるのだから、手伝ったのだ。

 そしたら、犬に喰い殺された死体を見た。

 モザイク処理お願いします。いやぁ、怖かった。

 だが、今の私に恐怖はない。

 スキルの研究もやったし、何度か冒険者と模擬戦したりもした。


「ユニーク 料理屋、発動」


手元に長い刃の片刃剣を創製する。

 所謂、カタナというものらしい。

 最近発明された武器種である。


「おお、あの雑用スキルにあんな使い方が……」


そう、これは雑用スキルであり、攻撃用のスキルではない。

 だが、ユニーククラスであり、そこまで弱い権限の能力ではないのだ。

 

「では、これより、試験(テスト)を始める! 召喚、青ゴブリン、堕戌(だけん)


前に出てきたのは青い体表のゴブリン。

 水魔法をつかい、回復する。

 一撃で殺さないといけない、結構めんどくさい敵である。

 が、カタナをふるだけで首が吹き飛ぶ。

 この『ユニーク 料理屋』の補正で創製した武器、ちゃんと購入した武器ともに攻撃力3倍されるのだ。

 だから、強敵である青ゴブリンすらも一撃で倒せるのである。

 そして、犬。

 こいつはゴミカスである。強さではない、存在が。

 この犬の本物は20から40程の群れで生息しており、一匹でも十分な強さを持つ。

 それは連携して来る。

 つまりは1匹にてこずってる間に他の何匹かに喰い殺されるのだ。

 だが、今回は1匹。

 簡単だ。殺すだけ。

 今回は心の中で謝り、爆殺させてもらう。

 爆弾を創製し、置いて逃げるだけだ。

 知能が高いため、爆弾に気が付いて離れる。が、創製した爆弾である。もちろんいつでも爆破可能なのだ。

 一瞬で試験は終わり、冒険者の証、銅位(ブロンズ)になれた。


「おめでとう!」

「あんさん、強いんだな! こんど修行メニューでも教えてくれよ!!」


皆に話しかけられる。

 少し照れてきたが私の実力が認められた証拠である。

 そして、銅位(ブロンズ)のバッチを首にかけられる。

 明日からは任務、頑張るぞ!

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