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掃除のスキルで世界無双!? ~雑用スキルで最強になっちゃった~  作者: わらうクジラ
第一章 ヴェラ戦争
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☆勅命☆

戦争の言葉が多く出てきます。苦手な方は気をつけてください。

鞭が地面を叩き土埃が舞う。

 目に入らないように腕で目を隠す。

 その隙に元の視界から彼の体はなくなっていた。

 一応回避行動をしておきそのときに敵の位置を確認する。 

 上方向から鞭が落とされる。

 ヘビのようにうねりながら私に向かっている。

 私はさらに横に避けて距離を取ってカタナに炎をつける。

 鞭の動きをジャンプで避けて、距離を詰める。

 間合いのうちに入ったことを確認してからカタナを首に向けて振る。

 がそこにはすでに彼はいなくて、背後に居た。

 私は振り返って振りかぶって放たれた鞭を無理やり避ける。

 

「料理屋起動(スキルオン)」


私の近くで炎の塊が破裂する。

 その炎のカケラが四方八方に飛び散る。

 鞭に着火して塗られた毒に炎が走る。

 可燃性のある毒のようで、すぐに火が消えたことから毒だけが燃えたらしい。

 毒はスキル由来のものではなく、事前に塗るタイプ、つまり毒薬のようだ。

 が、燃えたのは向かって右の鞭のみでもう片方は未だに毒は健在なようだ。

 さらに追い打ちをかけるように鞭から毒液が噴出される。

 振り出しに戻ってしまったようだ。

 私は彼に向かって走って近づく。

 横から飛んできた鞭を前に回転して避ける。

 上からもう一本の鞭が地面に吸い込まれるように落ちてくるが、それは横回転で避ける。

 単調だ。

 地面に無数の線状の跡が残っている。

 足がそこに滑らないように走り抜ける。

 姿勢を低くして彼の一挙手一投足を完全に把握するつもりで、だ。

 地面スレスレの鞭攻撃は飛んで避ける。そこに合わせるように繰り出される横攻撃はそのまま間を縫うようにしゃがんで避ける。

 いける……!

 顔を上げて彼の顔を視界に入れる。

 彼の心臓の音が聞こえる。

 彼の表情の変化を感じる。

 次こそ、首を裂き、飛ばす。

 一層炎の火力が増して熱気を放っている。

 背中に痛みが走る。

 鞭が当たったようだ。

 そのまま私の彼を巻き付けるように鞭が動く。


「ぐぁ……」


私の口から声が漏れる。痛くないというのに。

 そして彼の首を落とす。

 柄を握った私の手に不愉快な、慣れることのない感覚が襲う。

 首は燃え尽きて、体が制御を失ってグラリと倒れる。

 私の体にへばりつく様な鞭を体から離す。

 痛みを遅れて感じる。

 息を整える。鞭はもう地面の上に落ちている。


「掃除屋起動(スキルオン)」


体の毒を取り除くように、抜き出すように念を込めてスキルを使う。


「大丈夫!?」


向こうの処理も終わったみたいだ。

 残兵はもう居ないのだろう。

 巡り合うはずだったであろう軍隊は4人に処理を任せたのだ。

 

「お疲れ、様」


私は朦朧としつつある意識の中でそう言った。

 靄(もや)のかかる視界。白濁していく。

 霧のかかる思考。まとまらない思考。 

 そして体を支える力を失った。




目が覚めた。

 暗い。死んだのだろうか。

 体を起こそうとすると背中に痛みが走る。

 

「うっ……」


私の隣にはマニがすやすやと寝ていた。

 そして枕元には鞭が。

 それは彼の遺品であろう。

 普通武器は戦死者の遺体とともに火葬、埋葬されるのだが、今回は遺体がないため貰えるのだろう。

 戦利品とでも言えば良いのだろうか。


「おはよう」


マリはニッコリと笑いながらそう言った。


「おはよう…」

「体を洗いに行こうか」


マリが珍しくそう誘ってくれた。

 大きな扉を開けるとそこは街だった。


「あれ……、なんで……」

「あの戦場は制したから、戦争での負傷者を集めて介護してたんだよ」


マリがそう教えてくれた。

 そうか、まだ終戦したわけではないようだ。

 

「戦況は良いらしい。勝てそうという話だよ」


そうか、小川で水浴びでもしようかと思っていたが、臨時銭湯に行くらしい。


「ねぇちゃん……?」


マニが私の後ろで眠い目をこすりながら私を呼んだ。


「マニも来る?」


彼女はまだまだ眠いらしくあまり状況を把握できないようだ。

 彼女が小さく頷いた。


「じゃあ行くか」


部屋は私とマニの二人部屋だった。

 貴族……、まぁ私も一応貴族、ということでギルドの一室を病室としていたらしい。

 感謝だ。

 そして広場の中央に大きなテントが張ってあってそこに銭湯があるらしい。


「マラ、マルは先に湯船に浸かっているって。だから私たちも入ろうか!」


マリが目を輝かせながらそういった。

 マリについていくとそこは見た目からは想像できない豪華な風呂場であった。


「え……?」

「ここは魔法でできてるんだって!」


詳しく聞くとある『五輪天使(オリアン)』が一柱(ひとり)『静空之女神(カオス)』の能力だそう。

 空間を拡張してそこに完全断熱にする。

 つまり空間を隔絶するのだ。

 そうすることで熱を逃さず、水を綺麗に巡回させているそうだ。

 御託はいい。早く入ろうか。




あったけぇ〜。

 心の底から溢れ出る温かさ。

 誰も居ないのがまた良い。

 というのも1グループずつ分けられているのだ。

 そうすることで戦場から帰ってきたばかりの人たちも自分の匂いを気にせず入れるということだ。

 マニはジャバジャバ音を立てながらお風呂を仰向けで泳いでいる。

 マリはもう慣れたのか静かに温泉を堪能している。

 浴槽は3つ。ジャグジー、露天風呂モドキ、ヌルメの水風呂と掲示板(マップ)にかいてある。

 水風呂はおそらく水浴びに慣れている人たち用なのだろう。

 何分ほど浸かったかはあまり覚えていないが、温泉とやらを堪能できた。




ギルドに戻るとギルドマスターに呼び出された。


「温泉は堪能できましたか?」


それにマニが自信満々に、


「そうね! とてもよかったわ」


彼女の背中には鎌槍を収めていた。

 そのおしゃれな武器の意匠は敵国のモノだ。


「君はその鎌槍の意匠を掘り直してきなさい」

「え〜、そりゃそうか。りょーかい」


彼女はギルドを飛び出して鍛冶屋に向けて走り出した。

 

「さて、君は体調が治り次第、ヴェラの宝物庫の運搬を手伝って欲しんです」


よく分からないことを言うものだ。

 それこそその空間の天使を使う人に頼めば良いものだ。


「言い方を変えましょうか。勝戦したのですよ」


私は驚いた。


「まあ、事実上の戦勝です。侵攻軍はほとんど倒し切り、停戦条約のお話もきたそうです。それでですね、あなた達のチームが倒した二人組はリーダー格」


私は頷きながら話の続きを促す。


「なのでおそらく新軍、そして彼らに配布されるはずだった新武器(ニューウェポン)をそれぞれを倒した人に配ることになったのです」


なんということだ。


「その前に貴方がたを含めた強者を預言者、イザヤの討伐の勅命です」


勅命。それぞれの個人に向けて国が命令する。


「御心のままに」


わたしはそう言ってその場を出る。




五輪天使(オリアン)


5属性の、『空』『地』『炎』『水』『風』を操るそれぞれの天使。

 ちなみに『七与賜物(プローフ)』として『聖』『邪』を含めて七柱(ななにん)とすることもある。

久しぶりのこっちですね。しばらくまた掃除屋を書きます!

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